借家の契約(賃借契約)は「借主と貸主」がいますね。借主が母である場合、母が死亡したら、この賃借契約は法定の相続人に引き継がれます。
賃借契約は現金などと同じで「相続する財産」(遺産)にあたります。この財産は現金や動産・不動産などの「プラスとなるもの」以外に、借金(ローン、クレジット残高、未払金など)などの「マイナスとなるもの」も含まれます。
一般的に、契約者が死亡することによって解除あるいは終了される契約以外(生命保険や、クレジットカードの「名義人」としての契約など)は相続の対象となります。
母が死亡したとき、財産を引き継ぐのがあなただけであるならば、通常はあなたがその借家の賃貸契約を引き継ぐことになります。すなわち、その時点で発生している家賃等の支払い義務も引き継ぐことになります。
次に、母が死亡したことでその物件を退去するときは、通常の賃貸契約の終了または解除の手続きを取ることになります。この際に、借主負担で行われるべき原状回復に関する費用、退去時点までの家賃は、当然ながら契約を引き継いだ人(この場合はあなた)に請求が行われます。
借家を「建て替える」のは貸主側の問題ですから、建て替える費用を借主に負担させることはありません。
原状回復は「通常の使用における劣化、経年による劣化を除いたもの」に対して行われます。フローリングを不注意で傷つけたとか、壁紙を破いたとか、勝手に棚を取り付けたとかです。ハウスクリーニングは本来行う必要はありませんが、賃貸契約を結んだときに「特約」を結んでいると、覆すのは難しいでしょう。
法的にも支払い義務は発生します。
「相続放棄」をすると、相続するべき財産すべてが「なかったこと」になります。ただし、この相続放棄は一部だけを行うことができませんので、プラスマイナス両方をゼロにすると考えてください。
当然ですが、相続放棄をした時点で賃貸契約は無効となりますので、速やかに明け渡さなければいけません。ただし、この方法でも居住実態がありますから、法的に争うと「あなたにも負担するべき部分がある」とみなされる可能性も否定はできません。