オウム真理教と浄土真宗の悪人正機説はまったく関係ありません。両者は両立しません。排斥しあいます。
「悪人正機説」というのは、阿弥陀様の「衆生・衆愚(おろかな一般人)を救済するぞ」という決意(本願)に頼って、我々は極楽往生を遂げよう・遂げることができるのだ、という浄土真宗の考えに基づきます。
浄土真宗は、ひたすら「南無阿弥陀仏」と唱えて他(阿弥陀様)の力に頼る「他力本願」なのだから、一般人は自分で極楽往生をめざして修行などする必要は無い、と考えるのです。
なので、功徳を積もうとはしない人(これが言うところの悪人)こそ、阿弥陀様の決意によって救済が成されるべきであり、実際に救済が成されるであろう、という考え方が「悪人正機説」なのです。
どこにも、自力で救済されるという発想も、自分たちには他者を救済できるという発想も出てきません。
なので、阿弥陀様ではなく「自分たち」が他人をポアすることによって他人を救済しよう、「自分たちには他者を救済できる」というオウム真理教の思想は、
「阿弥陀様しか衆生を救済できない」「だから、ひたすら阿弥陀様の本願にすがるのだ」という『浄土真宗』の教えの対極、正反対側にあります。
オウム真理教の考えと浄土真宗の考え方は、矛盾するのです。両立しないのです。
故に、オウム真理教の「ポア」の考えと「浄土真宗の上に成り立つ悪人正機説」の考え方とも、矛盾し、両立しないのです。
故に、オウム真理教の考えよりは、キリスト教の教えのほうが、まだ悪人正機説に近いと言えるでしょう。
どちらも、ひたすら阿弥陀様・ヤハウェという、自分とは違う存在(他人)の「力に、ひたすらすがる」。その力にすがって、極楽浄土・天国へ行こう、という発想ですから。