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ベアリングのクリープによる軸摩耗と異音発生のトラブル
- 直径55mmの軸に玉軸受を取付け、300kgのラジアル荷重がかかり、20rpmで回転しています。
- 軸受のクリープにより軸が摩耗し、公差外れによる異音が発生しました。
- 公差外れの程度によって、ベアリングのクリープが生じる可能性があります。
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軸のクリープには内輪の内側に沿って軸が転がるような形で位置がずれているものと,軸が空回りする形で回っていしまうものがあります. (転がりのクリープとすべりのクリープです) 今回の使用条件で転がりのクリープが発生しているとすれば,振動や繰り返し荷重を負荷し続けていた事が考えられます. ただ,しめしろもタイトを狙っていますし,軸磨耗が発生するほどのクリープやフレッチング(接触面の相対的ズレによる磨耗)がこの使用条件で発生するとも思えません. もし軸摩耗が出ているとすれば,軸受の回転不良やロックによる軸の滑り・空転が発生したのではないかと思われます. 軸受の回転具合はどうだったでしょうか? スムーズに回転しましたか? 回転トルクが重かったり,ゴツゴツ感や引っ掛かりが出ていないでしょうか? 20rpmだと回転数が遅いので,ボールと内輪や外輪,保持器といった軸受内部の部品の接触部に十分な油膜が生成されず,金属接触が発生しやすくなります. そうなると内部摩耗や傷,フレーキングといった不具合が接触部に発生し,回転不良が生じます. 同じ条件で使用していて,問題が出るものと出ないものがあるとすれば,懸念されている軸の出来映えによる差の影響がが考えられます. k5狙いの軸が5ミクロンはずれても,上記のような要因の影響を受けない限りは,それが直接のクリープの要因にはならないように思われます. 潤滑や軸軸受の取り付け状態(傾きなどは無いか?),振動によるグリースの流出はないか?といった,回転不良の原因となりうる一次要因をつぶしていくのが先決ではないかと思われます. 錆色の変色や錆の様に見えるのはおそらく摩耗粉の酸化したものが付着もしくは固着したものであると思われます. 鏡面化は鏡面摩耗が発生した結果だとおもわれるので,軸摩耗が発生したことにより鏡面化したと考えるのが自然です. 摩耗粉が発生すると(特に大量に発生した場合)パウダー状に付着してそれが酸化して,全体的に茶色くなる場合があります. 6211の内輪内径公差は標準精度品で0~-15ミクロンです. つまり穴が小さくつくられています. 規格の中央値周辺でできているとして7~8μマイナスになっているわけですから,k5の軸がマイナス側に5ミクロン外れてもギリギリシメシロが残ります. 仮に規格上限近くの物であった場合は最大で5ミクロンのすきまばめになります. 軸受がスムーズに回転する状態であり,振動もないのであれば,鏡面摩耗が起きるのは何か特殊な要因があったのではないでしょうか. 軸受組み付け状態が傾いていた為,組み付け時にはスムーズに回転していなかったという例もあります. また,組み付け時にはアキシアル方向のすきまがマイナスの予圧状態になっており,組み付け時の回転トルクが非常に重くなっていたなんていう例もあります. いずれの場合も軸受を取り外して1個の状態では問題なく回転します. 軸受メーカに調査を出しているならなんらかの見解は出ると思いますが・・・ 軸受は問題無しでしたか. 軸受内径は摩耗して寸法変化が出ていたとおもうのですが・・・ クリープの発生原因の推定についてメーカ見解はなしでしょうか. さて,軸がk5で設計されているとなると最悪(小さい状態)でも+2ミクロンです. 軸受は標準公差品φ55に対して0~-15ミクロンですから,最悪品(穴が大きい)の0ミクロンと組み合わさっても2ミクロンのシメシロが残る事になります. 軸受の加工レベルはかなり高く,出来映えとしては規格の中央近くに分布すると言われていますので,-4~-10ミクロンといったところでしょうか. 私の経験から考えると,手でもスムーズに内輪が通せるくらいルーズだと荷重条件や回転条件などの使用条件に関係なくクリープが出やすいと思います, 軸受の出来映えに問題がないとすると軸が10ミクロン以上,軸受が規格値いっぱいに近いところでできていたそすると5ミクロンくらいは外れていないと完全にルーズにはならないでしょう. はめあいがルーズになっていたとすると,軸受の組込み工程で,いつもよりスムーズに軸受が挿入できるといった感覚があったと思います.(手作業という前提ですが) 組立工程で異常の報告はないですか? また,軸の単純な寸法だけでなく,真円度が狂っていると,当たりがすくなくなるので,クリープしやすくなります. 測定部位と方法によっては真円度が大きく狂っていても軸径は問題無しという結果になることもあります. とりあえず,軸側の問題としてお話しをしていますが,問題の発生していない設備と比較する形で一つ一つ要因をつぶしていく事が重要だと思います.
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回転速度が非常に遅く、ラジアル荷重も小さいですのでクリープが生じるとは思えないです。 ただし、回転速度も荷重も変動していれば可能性はあると思います。さらには、ここに記されていない事実があるように思えます。玉軸受を組み付け時に壊すことは結構有ります。
お礼
回答ありがとうございます。 軸受の破損も確認しましたが、回転不良など特に異常はありませんでした。 もう少し調査してみます。
回転速度が非常に遅く、ラジアル荷重も小さいですのでクリープが生じるとは思えないです。 ただし、回転速度も荷重も変動していれば可能性はあると思います。さらには、ここに記されていない事実があるように思えます。玉軸受を組み付け時に壊すことは結構有ります。
お礼
非常に丁寧な回答ありがとうございます。 私も軸受の回転不良を懸念しましたが、分解してみると軸受はスムーズに回転し、回転トルクが重かったり、ゴツゴツ感、引っ掛かりは全く感じられませんでした。軸受は現在メーカーにて調査中ですが、軸受の回転不良ではないようです。 もう少し補足しますと、軸受は軸に2つ取付けてあり、軸に段付き部を設けて5mmの間隔で軸受を取付けています。 このクリープを起した2つの軸受の内、1つは軸受の内輪内径部及び軸表面が鏡面化していますが、もう1つは軸受の内輪内径部は鏡面化などの変化は特に見られず、軸のみが摩耗して表面は錆色に変色しています。 クリープはさらに進行すると、鏡面化から軸摩耗、錆色に変色と変化していくのでしょうか? 更なる質問ですが、回答頂ければ幸いです。 早々の回答ありがとうございました。 昨日、軸受の調査結果が出ましたが、軸受に異常はありませんでした。 やはりはめあいの問題なのでしょうか? もう一度、現物を調査してみます。 ちなみに今回の場合、どの程度の軸径の公差外れでクリープが生じると推測されるでしょうか? 大変遅くなりましたが、回答ありがとうございました。 軸受に問題はなかったと記載しましたが、内径や側面の摩耗はもちろん発生していました。ただ、回転不良という観点では問題はなかったという結果です。 メーカーの見解は軸受の使用条件、構造には問題ないので、軸の出来栄えが怪しいのではないかという程度で、どの程度の公差外れで今回のようなクリープが発生するかということまでは見解は得られません。 やはり貴殿のアドバイス通り問題の発生していないものと比較して要因をつぶしていこうと思います。 非常にご丁寧な回答ありがとうございました。