NHK実践ビジネス英語2017年6月号Lesson 6(2)のGraceさんの台詞で、”And about time too.”が登場します。これいきなりではわからないと思いますが、この1つ前でCollinsさんが、「(1990年代にはペーパーレス・オフィスが到来すると予言されてきたものが、その後も紙の使用量は増え続けて、)それが最近になって減少し始めた。」と説明しています。その言葉を受けたものです。
「Mr. Bean」の脚本でお馴染みのリチャード・カーティスRichard Curtis監督・脚本の映画「About Time~愛おしい時間について~」を念頭に入れているのかな?邦題は苦労して考え出されていますが、逆に言えば”about time”は訳しにくいということですね。
そのせいか、Weblio英和対訳辞書での「about time」の意味としては
about time 良い頃, よい頃, 良いころ, いい頃
となっていますが、テキストのWords and Phrasesでは、「ようやく、やっと」となっています。
It’s about time to start. そろそろ出かける時間だ。@研究社英和辞典
NHK土曜時代ドラマ「悦ちゃん」の父親がお見合いの前日、お座敷遊びで羽目を外し酔いつぶれてのお泊り。翌朝、大寝坊で慌ててお見合い会場に駆けつけます。ドアを開けての開口一番
Sorry to be late. And about time too!
遅れてすまない.こんな時間になってしまって - Eゲイト英和辞典@Weblio
今まさに帰ろうとしていた先方ですが、お相手の御令嬢は、「バイロンはお好きですか。」
と尋ねます。それに応えて、「僕としてはボードレーヌの方が好きです。」そして、何事もなかったかのように二人の会話が進みます。
副詞”too”は、”Me too.”や”too much”でお馴染みですが、辞書でも、[文全体を修飾する]と[副詞・形容詞を修飾する]のが2大用法で、”about time too”はその形式からも文全体を修飾する用法ですよね。“about time”「漸く」ですが、ここで”too”があるのは、「漸く(その時間になった)なんてもんじゃない、とんでもない遅刻だ」という強調の”too”ですよね。
そうは考えるものの、“Me too”と”about time too”では、距離があり過ぎてすっきりしません。
また、Web検索では、遅刻の言い訳場面しか見つかりませんでした。そういった限定した使い方でしょうか?
どなたかもう少し解説いただけないでしょうか。
Collins: Actually, folks, the paperless office may finally be happening, believe it or not. For the first time in history, there is a steady decline of about one to two percent a year in office use of paper. The number of pages churned out in the U.S. by office printing and copying was 10 percent less last year than in 2007.
Grace: And about time too. @ 2017年6月L6(2)
※OKWAVEより補足:テーマ「実践ビジネス英語」から投稿された質問です。
そういった限定した使い方でしょうか?
いえ、むしろ年中使います。散々待たされた時、というのが鍵でしょう。
例えば、延びに延びた工事が竣工した、と聞いたら、And about time too 「今頃やっとか、もうとっくに出来上がってたかと思っていたよ」
結婚式場に定刻についた新郎が、おめかしに念には念を入れてさんざんご参集の皆さんをお待たせした後現れた新婦に、And about time too
などとよく使います。その点、 too のない It’s about time to start. そろそろ出かける時間だ。@研究社英和辞典」などは通り一遍の使い方にすぎません。
たった3語なので、前後によってはさまざまな場合があり得ます。
I know something about (the) place.
というのであれば、
About time too. だと、
I know something about (the) time too.
ということになるでしょう。
でも、そういう about place と about time のような置き換わる要素が今回は見当たりません。
それに the がつくでしょうし。
(まあ、the のない例も作ろうと思えば作れるでしょう)
こういう少ない語数で、簡潔な単語であればなおさら、
他の言語で考えると多義、あいまい、ということはよく起きることです。
ただ、今回の場合は、「遅すぎ、ということも言えるけどね」
という意味合いで言っていると考えられます。
わかりやすい例でいうと、
He is late. 彼、遅れてるね。
Usually too.
いつも、でもあるけどね。
ただ He is late. でなく、
He is usually late. でもある、
というふうに、「~も」と言っても、もとの文で入れ替わりがあるのでなく、
加味されている。
だから、「~というだけでなく~でもある」のような意味合いになることが多いと思います。
I like this one.
Me too.
とあれば、
I と me は別人で、主語が変わります。
多くの場合、X too とあれば、
主語なり目的語なりが入れ替わって「~も」となるわけです。
しかし、今回の場合は
The number ... was ... less ...
のような文に対して、
It is about time the number ... was ...
ただ、減った、というだけでなく、
ようやく減ったとも言えるね。
というふうに、about time のような副詞的な意味合いで
もとの内容に加味された表現があるわけです。
そういう意味で me too のように置き換わるのとは違っています。
お礼
NHK実践ビジネス英語の狭い世界だけで生きているので、いつも広い世界を教えていただきありがとうございます。