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この使い分け方を教えて下さい。
商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、受寄者は、善良な管理者の注意をもって寄託物を保管する義務を負う。 答えは◯ですが、 この手の問題で 【善良な管理者の注意をもって】 と 【自己の財産に対するのと同一の注意をもって保管する義務を負う】 の二つがありますよね? 確か民法と商法であったと記憶しています。 この使い分け方を教えて下さい。
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【善良な管理者の注意】とは、「その人」個々の注意能力から離れて、その人が属する職業や社会的な地位などによって期待される「客観的・抽象的・一般的に期待されるレベル」の注意義務のことです。 例えば、特定物の引き渡し債務を負っている債務者、その特定物を引き渡すまで、「善良なる管理者の注意をもってその物を管理しなければならない」とされています。 ウッカリ者で、注意力散漫な賃借人でも、借りた不動産は返すまで善良な管理者の注意を払って管理しなければなりません。 「私ってウッカリ者じゃないですか。天ぷらを作る時、火を消すのを忘れちゃったんですよね」とか言っても、「善良なる管理者の注意」を払わなかったという点で「過失あり」とされています。 くどいですが、善良なる管理者の注意義務は、個々の行為者の注意能力とは無関係に、社会から期待されているレベルの注意だからです。 また、別になんらかの義務(この場合は、「引き渡し義務」)を負っているからだ、とも言えます。いい加減な注意では、(引き渡し)義務を果たせなくなるからです。 他方、特にこの注意義務のレベルを下げて、行為者の能力などを基準にして過失の有無を考える場合があります。 この、下げたレベルの注意義務が【自己の財産に対するのと同一の注意】です。 社会一般などからの期待ではなくて、個々の行為者の注意能力などに合わせて想定される義務のレベルです。 プロではない人(例えば隣人)が、無報酬で物(お届け物)を預かった時にも、その人の能力を超えた「善良なる管理者の注意義務」を課せば、その義務を恐れて誰も善意・無報酬で預かろうとしなくなると思われます。 良い近所づきあいという善意の風習が失われる、というようなことを考えると、その場面では、預かった人の能力で「自分の物に対するのと同じ程度の注意」を払って管理していれば何かあっても責任を問わないことにしたほうが良い、という判断になったわけです。 それに対してプロの商人の場合、自分の仕事の範囲内で、たまたま今回は無料だとしても、次の利益につながるから預かるわけなので、義務を軽減する必要がないわけです。 というわけで、「使い分け」ですが、一般的には、何かの(社会的な)義務を果たす前提として、「善良なる管理者の注意義務」が課されます。 それでは過酷に過ぎるとか、「善良なる管理者の注意義務」を課することが他の善良なる風俗・習慣などを破壊すると考えられる時に限って「自分の物に対するのと同じ程度の注意義務」に軽減される、と考えるべきであろうと思います。
お礼
ありがとうございますm(_ _)m たいへん助かりました! 重ねてお礼申し上げますm(_ _)m