お店の規模にもよりますね。全国チェーン店や席数が何百席もあるような大型の店では量が多いですから卸業者に持ってきてもらったほうがよくなります。
しかし個人規模でやっているような小さな店では、スーパーで買ってきたほうが安くなることもしばしばなのだそうです。業者に配達してもらうと配達コストが上乗せされるからです。これは扱う量が少なくなればなるほどその割合が大きくなります。ネギ1本でもネギ50本でも配達の手間はたいして変わらないですからね。
それでも多くの飲食店が業者を使うのは、「いちいち買いに行くのが大変」「業者は月末締めの翌月払いをやってくれる」という理由の他に「求めた質の食材を持ってきてくれる」というのもあるそうです。
要するに、一般的にいい食材はスーパーには回ってこないのです。だいたい飲食店に卸されちゃう。業者だって高く売れる質のいい食材は飲食店に卸したいものですよ。確実に買ってくれるんですからね。
ネット問屋の存在意義もそこにあるようです。先日テレビ番組で各地の漁港で直接魚を買い付けて、それを専用の飲食店向けネットショップで売っている卸業者さんをやっていたのですが、顧客には築地の飲食店もあって、テレビのスタッフが「このお店は築地の市場から歩いて来れる場所にあるのになぜわざわざネットショップを使うのですか?」と聞いたら、飲食店の主人は「こういういい食材は卸業者は付き合いのある料亭やお寿司屋さんに送っちゃうから我々は市場に行っても手に入らない」と答えていました。
飲食店によっては、農家と人脈を作って農家から直接仕入れる人も珍しくないですね。採ってすぐ宅配便で送れば市場を介するより早く手元に届きますし、中間マージンが一切ないので飲食店は安く仕入れることができて、農家はJAより高い価格で引き取ってもらえるというウィンウィンの関係になります。
特に農家にとっては頑張って有機栽培で味のいい作物を作ってもJAでは一律同じ料金での買取になるので、農家側にもメリットがあるのです。また当然、そういう農家を探して直接買い付けて飲食店に卸す業者も存在します。