韓国に限りませんが、特定の大学の起源を論じる場合には、「その国の学校制度の中で大学として位置づけられた時期」と「その元となった教育機関が成立した時期」のどちらを議論しているのか、明確にする必要があると考えます。
「韓国の大学」を、「(現在の)韓国の学校制度の中で大学として位置づけられた教育機関」のことだとすれば、当然日本統治時代の「京城帝国大学」などは入りませんので、日本の統治が終了して韓国が独立を回復し、その(現在の)韓国の教育制度で大学が位置づけられた1946年以前にはないことになります。しかし「その元となった教育機関」まで考えれば話は別で、14世紀末の朝鮮王朝の教育機関にルーツを持つとする成均館大学校や19世紀から20世紀初頭にかけて外国人(日本人ではない)キリスト教宣教師が作った病院・医学校に起源がある延世大学校のような古くからの事例があります。
日本で言えば、近代的な制度としての大学の成立は、1877年(明治10年)の東京大学の創立だとされていますが、「日本の大学の歴史は東京大学から始まる」と主張すれば、例えば慶應義塾の関係者は必ずしも納得できないのではないでしょうか。慶応義塾が(旧)大学令によって「大学」として制度的に認められたのは1920年(大正9年)ですが、1858年(安政5年)に福沢諭吉が江戸の中津藩奥平邸内に開いた蘭学塾をその起源とし、1868年(慶応4年)に芝新銭座に塾舎を建築した古い歴史を持っているからです。
一方の東京大学も東京開成学校と東京医学校が合併してできたものであり、そのそれぞれにも前史があって、徳川幕府の洋学教育機関にまで起源を遡ることができますので、このあたりの議論は単純ではありません。
お礼
なるほど。参考になりました。ありがとう御座いました。