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魚って塩分過多にならないの?

魚は餌を食べる時、というか海に生きる全ての生物は餌を食べる時、海水も一緒に飲み込みますよね? 塩辛いですよね? 塩分過多で腎臓病(人間的にこんなような疾患)とかにならないんでしょうか?

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  • kagakusuki
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回答No.2

 現在生存している魚類には、ヤツメウナギやヌタウナギの仲間である無顎類(場合によっては無顎類は魚類と見做されない事もあります)、サメやエイの仲間である軟骨魚類、その他のタイやヒラメ、コイなどと言った魚の大部分を占めている硬骨魚類があり、硬骨魚類はシーラカンスやハイギョの仲間である肉鰭類と硬骨魚の大部分を占めている条鰭類に分けられます。  海水魚は海水という濃い塩水の中に棲んでいますから、言うなれば常に塩漬けになっているのも同然ですので、浸透圧の関係で体内の水分が海水中に出て行ってしまい、水分不足になる恐れがあります。  そのままでは水分不足になって生きてはいけませんから、海水魚の殆どは大量の海水を飲む事によって水分を補給しています。  しかし、海水を飲めば塩分も一緒に摂取する事になり、血液を始めとする体液の塩分濃度が高くなり過ぎて良くありません。(ヌタウナギだけは海水と同じくらいの塩分濃度の体液を持っているため大丈夫です)  ヒトの場合、余分な塩分は腎臓を使って血液よりも塩分濃度の高い尿を作って体外に廃棄する事で、体液の塩分濃度を調節しています。  一方、殆どの海水魚の場合、鰓にある塩類細胞という特殊な細胞を使い、血液中に含まれている塩分やアンモニア等のイオンを取り除き、海水中に排出しています。  尚、条鰭類は元々淡水魚から進化したものと考えられており、淡水魚は真水の中で暮らしているため、浸透圧の関係で体内にどんどん水が滲み込んで来ますので、腎臓を使って血液中から水分を濾し取って余分な水分を尿として体外に排出しているのですが、この時塩分を一緒に排出してしまったのでは、塩分濃度が低い淡水中では体液中の塩分が欠乏して生存出来なくなりますので、条鰭類の腎臓は尿の中に含まれている塩分を回収して、塩分濃度が極めて低い尿を作る様になっています。  そのため、その塩分濃度が低い尿しか作れない腎臓を持つ淡水魚から進化した海棲の条鰭類の腎臓も、体液よりも塩分濃度が高い尿を作る事が出来ないため、腎臓は塩分の排出にはあまり役に立ってはおりません。  厳密に言いますと体液の塩類の濃度の調整に関わる事に全く役に立たない訳ではなく、鰓の塩類細胞は主にナトリウムイオンやカリウムイオン、塩化物イオン等の1価のイオンを体外に排出する働きをしていますが、カルシウムイオンやマグネシウムイオン、硫酸イオン等の2価のイオンを効率的に排出する事は出来ないため、こうした2価のイオンを排出するための働きを腎臓が担っています。(この他に、腸にも2価のイオンの吸収を抑える働きがあります)  とは言っても、硬骨魚類の腎臓は体液よりも浸透圧の高い尿を作りだす事は出来ず、海水中に高濃度で含まれているナトリウムイオンや塩化物イオンによる海水の浸透圧の高さと比べれば尿の浸透圧は低く、その塩分濃度も海水よりもずっと低いものに過ぎないのです。(条鰭類の体液の浸透圧は海水よりも低いので、尿を作ると体内から水分が失われるのに対し、海水と共に飲み込んだ塩分は体内に残る事になる)  又、軟骨魚類やシーラカンスでは、鰓の塩類細胞で余分な塩分を排出するとともに、血液中に尿素を高濃度で蓄積して、塩分濃度を低く抑えたまま体液の浸透圧を海水並みに高める事によって、海水中に水分が出て行き難くもしています。  又、軟骨魚類やシーラカンスでは、鰓の塩類細胞で余分な塩分を排出するとともに、血液中に尿素を高濃度で蓄積して、塩分濃度を低く抑えたまま体液の浸透圧を海水並みに高める事によって、海水中に水分が出て行き難くもしています。 【参考URL】  塩類細胞(エンルイサイボウ)とは - コトバンク   https://kotobank.jp/word/%E5%A1%A9%E9%A1%9E%E7%B4%B0%E8%83%9E-676991  魚類におけるイオン調節と塩類細胞   https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/35/5/35_5_376/_pdf  魚類のイオンホメオスタシス維持機構   http://www.jbsoc.or.jp/old/event/magazine/pdf/84-10-02.pdf  魚類の体液調節しくみ - 海水環境への適応機構-   http://www.saltscience.or.jp/symposium/2-takei.pdf  海に生きる動物たち/第4回 魚は水を飲む   https://www.press.tokai.ac.jp/webtokai/uminiikiru4.pdf  魚が陸上を歩くまで > 第3章―7 代謝系   http://panmsato-1.jimdo.com/%E7%AC%AC3%E7%AB%A0%E3%83%BC%EF%BC%97-%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E7%B3%BB/

kanaragi
質問者

お礼

非常に分かり易い説明、大感激です。 ありがとうございました!

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その他の回答 (1)

  • tzd78886
  • ベストアンサー率15% (2590/17104)
回答No.1

強力なろ過機能を持っているのでならないわけです。とわ言え、負担になることに変わりはなく、慣れるように徐々に薄い塩分の海水に変えていくと成長が早くなったりすることが知られています。

kanaragi
質問者

お礼

回答感謝です。

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