標準外航利用運送約款(平成二年運輸省告示第五百八十六号)によると
(危険品及び禁制品)
第十四条 危険性を有する運送品は、その性質、品名、ラベルの種類、分類、無害化の方法並びに荷主の氏名及び住所をあらかじめ書面により外航貨物利用運送事業者に申告し、危険品の性質を包装の表面に明示しない限り、その運送を引き受けない。この場合において、荷送人は、外航貨物利用運送事業者がその運送に同意する旨の特別の積付指図書を受けなければならない。
(中略)
4 荷主は、荷主の無申告若しくは不正確な申告又は不適当な荷造りにより外航貨物利用運送事業者が被った損害について、外航貨物利用運送事業者に補償しなければならない。
と書かれています。
危険物の無申告を罰する刑法は無いようですから刑事罰は受けないと思いますが、危険物の輸送により損害が発生したら、民事責任を負わされる事になるでしょう。
例えば「発火して積荷が全部燃えた」とかだと「積荷全部に対する賠償責任」を負う事になります(実際には、積荷に掛けられた保険金が、他の荷主に支払われ、保険会社が払った保険金の「全額」が、損害を発生させた荷主に請求されると思います)
なお、船積み前に税関で発見された場合は「所有権放棄」させられるだけで済む筈です。
蛇足ですが「荷主が危険物である事を事前に申告し、運送業者が、その危険物の輸送を承諾した場合」には、ちゃんと運んで貰えます。このことは標準外航利用運送約款にも書かれています。
但し、輸送中に危険な状態になり、危険回避のために海洋投棄されたり、危険回避のために異なる荷揚げ地に荷揚げされても、文句は言えません。また「禁制品」は申告・承諾の有無に関わらず、運んで貰えません。