まず、ガソリンのオクタン価は、全く関係ありません。
ナチス・ドイツは自給できる石炭を液化した人造油脂で戦争を遂行することが大前提であり、ドイツ全軍のエンジンは、これでベストの性能を発揮するようにデザインされています。戦後アメリカ云々ももちろんウソです。
ガソリンのオクタン価に泣いたのは日本の軍用機です。戦後アメリカ云々も日本機の話です。
もっとも、零戦21型の取り扱い説明書では、エンジンオイルが、テキサコ・エアプレーンと、アメリカの品物が指定されているので、それこそトホホな事実ではあります。
ドイツの人造油脂は生産量のピークが1944年上四半期です。それまでは一方的に制空権をとられたりはしていません。昼も夜もです。
Bf109ですが差しなら、どの連合軍戦闘機とも十分戦えます。そもそもドイツ航空省は試作段階から空中戦性能に優れること、と要求しており、実際、バトル オブ ブリテンでも英空軍戦闘機に2倍のキルレシオを残しています。
戦後、アメリカでテストした高名なパイロットのチャック イェーガーも、狭いがむしろ人馬一体の感触が操縦しやすさにもつながり、大柄なアメリカ製戦闘機に空戦性能ではまさる、と評しています。
実際、Pー51は燃料システムが煩雑で(タンクが多いからですが)、コックの切り替え操作が操縦の邪魔になる大欠点があり、これが原因で編隊からはぐれてしまい、単機で迷って不時着する事故が続出しています。
Bf109は武装が少なそうに見えますが、機首の狭いところに集中配備されており、当たれば狭い範囲に着弾が集中するので威力は大きく、これも問題ではありませんでした。
Fw190は、小さい機体に最強のエンジンを目指したBf109のみで戦争をすることに不安を感じた当局がデザインさせ、実は無名の会社だったフォッケ ウルフ社が少数精鋭のデザインチームで作り上げた、Bf109とちがい、全体的に余裕のある戦闘機でした。特に整備性は英米機を遥かにしのいで良く、高い稼働率をほこります。
戦闘機としても重武装でエンジンも耐久性があり、戦闘機としてはもちろん、偵察、爆撃、とこなせる一種の万能機でした。
しかし、ドイツは過給機、ターボの開発で英米に遅れをとり、高高度戦闘で苦戦します。英国に展開したアメリカ第8空軍は昼間高高度爆撃で、ドイツの軍需インフラを攻撃します。大損害を出しましたが、後半はP47 P51の増加タンク装備型がエスコートを始め、数でドイツの戦闘機を押しきり始めます。
さらにドイツの人造油脂精製プラントを攻撃し始め、これがドイツの終わりの始まりとなりました。
人造油脂精製プラント以外にも、ルーマニアのプロエシチに油田を有していたドイツですが、こちらもイタリア、中東から爆撃機が押し寄せ、米軍に大損害をあたえはしたもののーー同盟国のハンガリーや、ブルガリアのBf109も米軍が懸念するほど働いていますーーこちらはソ連地上軍に取られました。
1944年までは耐えたドイツ戦闘機部隊でしたが、6月に西側連合軍がノルマンディに上陸して、より多くの軍用機をヨーロッパ本土で稼働させ始め、ここからドイツ空軍戦闘機部隊は燃料も搭乗員の補充も難しくなり、先細りになります。そしてボーデンプラッテ作戦で、亡びることとなります。
ハードは、ほぼ負けていませんでした。実際、私の体験ですが、マイクロソフトのコンバット フライト シミュレーターで、Bf109は非常に軽快で、速度を絞ってフラップを使うと、よく旋回し、加速もよい、差しだったら本当に英米機なぞこわくなかったです(これは零戦や隼にも言えました。隼だったら、勝てなくても、負けたことは無いです)。
ドイツ戦闘機部隊は、アメリカの物量にものを言わせた戦略爆撃に負けたとおもうのです。