私なりに整理するならば、日本が集団的自衛権を行使できなければ、アメリカは日本を守ってくれない、というのが、ご質問の前提であろうと考えます。
尤も、安倍首相の私的諮問機関の座長である、〝御用〟学者北岡伸一が言うように、これが「抑止力」を高めるという論理です。
結論的に言えば、この論理を覆すには、特に在沖縄米軍が日本を守るために戦ってくれるのかについて、根本的に問わねばなりません。何と最近、これが事実であることが歴史的に証明されました。六〇年安保改定時に米国は、日本に「核の傘」を差し掛けると述べて、沖縄の米軍が日本を守っているかのように見せかけたらしい。
詳しくは、以下の論文を参照下さい。
中西哲也「ビキニ事件と安保改定――「核の傘」の論理の形成」現代史料出版『年報日本現代史』第一九号
下記にて、Amazonの書評を直接引用します。
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旧日米安保条約では、米軍の日本防衛義務が明記されていなかった。60年新安保条約の最大の焦点は、在日米軍の基地使用を制限してその対日防衛義務を明記することであった。「ビキニ事件」を契機として、国内の反核感情が高まり、「核持ち込み」が沖縄に偏る。中西の論考は、安保改定に至る過程で形成された「核の傘」の論理を解明している。
「核の傘」の本質とは、沖縄の核兵器で日本を防衛すると論じることによって、「例外状態」の決定権、すなわち「友敵」の判断を奪い取った点にある。アイゼンハワー政権のダレス国務長官は、重光葵外相が北方領土の「四島返還」を進めるならば、米国の沖縄支配(潜在主権)が揺らぐのではないかと危惧した。彼は日本の「自主外交」に対抗するべく、沖縄の核兵器で日本を守ると論じて「極東有事」と「日本有事」が直結しているという情勢判断を日本側に迫ったのである。結局、戦後日本の「吉田路線」は、このような特質を有する「核の傘」の中にいたのであり、日本外交の主体性は大きく制限されてきた。
北岡伸一や五百旗頭真といった御用学者、動的防衛力や集団的自衛権の行使を唱道しているが、以上の「沖縄問題」を捉え切れない。彼らは、沖縄返還時に米国が、日本に「核の傘」を差し掛けるといいながら、米中和解の「ニクソン・ショック」に踏み切ったという本質を理解できないのである。
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要するに、「核の傘」の本質を捉えることなく、沖縄の基地自由使用を許す限り、集団的自衛権を叫んだところで、「抑止力」が増すどころか、日本外交の主体性を損ねてしまうだけなのですね。
お礼
なるほど。日本が直接標的になっている時にということではなく限りなくあまり日本に関係がないアメリカの独自の戦争にもまきこまれるということですよね。 それはいやですね。 ただアメリカ自体が窮地に陥っている時に助けなければ、益々日本のためにも戦ってはくれないでしょうね。 アメリカは一体何を計画しているのでしょうか。日本はその時ノーと言えるのでしょうか。