まず、鉄などの金属を水に浸漬したときの金属の腐食電位および腐食電流(=腐食速度)は、ネルンスト式と直接の関係はありません。
なぜなら、ネルンスト式は、単一の電極反応が平衡状態にあるときの電位を記述するものです。
これに対して、水中の金属の腐食反応は、金属の陽極酸化反応と、水中の溶存酸素の電解還元反応や、水の電解による水素発生反応というような陰極還元反応の2つの電極反応の組み合わせ(=局部電池機構)によって起こっているものですので、平衡状態にありませんから、その電位を決定するためには、ネルンスト式を適用できません。
そして、上記の陽極酸化反応および陰極還元反応の速度がつりあっている状態では、腐食部位の外部に出入りする電流を観測できませんが、実際には、腐食部位に電流が流れており、これが腐食電流であり、そのときの電位が腐食電位です。
次に、温度が上昇したときの腐食電位および腐食電流への影響については、次のとおりに考えられます。
まず、腐食電位は、陽極酸化反応および陰極還元反応のいずれが温度の影響を受けやすいかによって決まり、どちらが影響を受けやすいかは、金属の種類や水に溶解している化学種に応じて異なると考えられ、一概に決まりません。
また、腐食電流については、一般に、温度が高くなるほど、陽極酸化電流および陰極還元電流のいずれも大きくなるので、増加するものと考えられます。
補足
早速のご回答ありがとうございます。 これに関して一つ私が考えたのが ネイルストンの式 E=E^0+RT/nF*lna から考えると、液温が上昇と共に電位もあがると 考えられるのですが、どうでしょうか? あくまで一般論、例えば鉄について考えた場合、 このように言うことは出来るのでしょうか? 再度ご教示頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。