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ボルタ電池の電子の流れについて

イオン化傾向のZn>Cuから, Zn → Zn2+ + 2e-で生じた電子が わざわざ導線を通り,銅の電極まで行って, 水溶液中のH+に電子を渡して水素が発生するという,電子の移動の理屈がわかりません。 銅の表面から,水溶液中の水素イオンに電子を渡して水素が発生するのなら, 亜鉛の表面から,水溶液中の水素イオンに電子を渡して水素が発生することと,何ら変わりがないように思えます。 亜鉛,銅の両極とも,水素イオンを含む溶液に,同じように浸かっているだけなのですが, 銅の方から,水素が多く発生する理由は,何かあるのでしょうか? よろしくお願いします。

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  • htms42
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回答No.3

>イオン化傾向のZn>Cuから,Zn → Zn2+ + 2e-で生じた電子が わざわざ導線を通り,銅の電極まで行って, わざわざ離れたところまで行っているのではありません。 金属の内部には自由に動くことのできる電子が詰まっているのですから銅電極の表面で水素発生に使われた電子はその電極にもともとあった電子であるとしても構わないのです。 でもそうであれば両方から同じように水素が発生するということになります。 したがって、そのことと >銅の方から,水素が多く発生する理由, とは別のことであるということになります。 亜鉛は「水素過電圧」の大きい金属であるということが理由になると思います。 反応の起こりやすさはふつう標準電極電位という量で示されています。教科書に出てきている「イオン化傾向」と言われている金属のイオン化の起こりやすさの順番もこの電位の大小に基づいているものです。電気分解に必要な電圧を求めるときにもこの数値を使います。金属と金属のイオンが平衡状態にある時が前提になっています。でも実際に反応を起こさせるためには余分の電圧が必要になる場合が多いです。水素が発生する反応でどれくらい余分の電圧が必要になるかを表しているのが水素過電圧です。過電圧の値の大小は電極表面での実際の反応の起こりやすさの違いを表しているものです。その値は電極に使われている金属の種類、表面状態、溶液の種類、濃度で変わります。でも大小関係(順番)は変わらないとしていいと思います。 過電圧の大きい金属の代表はHgです。その次がZnです。水素過電圧の小さい金属の代表がPtです。実際上、過電圧=0であるとしてもいい値です。水素が発生するような電気分解で白金電極を用いることが多いというのはこれが理由になっています。 よく出てくる金属での水素過電圧の大きさの順番です。 Pt<<Ag<Ni<Cu<C<Pb<Zn<Hg    (炭素も電極に使うことが多いので含めています)  (イオン化傾向の小さい金属は過電圧が小さいと書いてあるサイトがありますが、違いますね。)   (CuとZnでは3倍程度の違いがあります。) よく授業でやる実験を紹介します。 ・試験管に希硫酸を入れます。深さは1/3から1/2ぐらいです。 ・亜鉛の粒を入れます。泡が出始めます。水素が発生しています。 ・ここに硫酸銅の水溶液を加えます。反応が激しくなります。溶液が白く見えるほどです。  反応が進むと亜鉛の粒の表面に黒っぽい付着物が見え始めます。  それがはがれて、水溶液中をごみのように浮遊し始めます。  その反応が進むと加えた硫酸銅の水溶液の青い色が薄くなっているのがわかるようになります。 黒っぽい付着物は銅です。 銅が付着するとその場所からは亜鉛が溶け出していくことはできなくなっています。でも銅の表面からの水素発生のほうが起こりやすいのですから亜鉛のイオン化の反応も起こりやすくなっています。それが亜鉛の表面積の減少を上回るということが全体としての反応の激しさの増加につながっているということになります。 簡単に見える反応でも実際は何段階ものステップが含まれています。 その各ステップで反応が進む条件が変化します。各ステップで反応の起こりやすさが変わります。 そういうのを全部ひっくるめて反応が実現するためにはと考えた時の実現の条件に当たるものが過電圧です。

math555
質問者

お礼

ありがとうございます。 なるほど,亜鉛と銅の水素過電圧のちがいによって,水素の発生のしやすさが異なるから,銅表面から多めに水素が発生することになって,そこで,亜鉛と銅をつないだ導線に電流が流れる仕組みになっていたのですね。 教科書や参考書も,ちゃんと書いて欲しいですね。 そうでないと,電池と電気分解の単元の初っぱなから,ボルタ電池で?ってなって,つまずいてしまいます。 水素過電圧については,自身で,もっと勉強しないとよくわからないのですが,ともあれ,ボルタ電池の仕組みがわかって,すっきりしました。 ありがとうございました。

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その他の回答 (13)

  • htms42
  • ベストアンサー率47% (1120/2361)
回答No.4

#3です。ちょっとおまけの話をします。 #3では「水素過電圧」を使って説明しました。 「水素過電圧」は高校の化学では出て来ません。 でも過電圧が生じる理由になると思われる現象や考え方はいくらか出てきています。 反応が起こるためにはいくつかのエネルギー的なハードルを越えなければいけないということは「活性化エネルギー」、「活性化状態」という言葉で出てきていると思います。反応熱のところです。電極表面での反応に活性化エネルギーが必要な中間状態があればそれは過電圧にも現れます。活性化過電圧と呼ばれています。 金属表面ではまずH^+がHになります。それが別のところでできたHと出会ってくっついてH2に変わります。HができてH2になるまでの間Hは金属表面に吸着されていなければいけません。出会いが実現するまでの時間は濃度や溶液の種類で変化します。その間Hのままで金属表面にいなければいけませんので金属の吸着能力の違いが出会いの実現には響いてきます。PtやNiは水素が関係する反応の触媒によく使われる金属です(Niは高価なPtの代用に使われることが多いです)。有機化学の分野に入ると水素添加反応の触媒としてよく出てきます。水素の吸着能力が大きくなければ触媒にはなれません。反応の場を提供する能力が高いということです。 Hができる反応の速さは濃度に関係するだろうというのはわかりますね。濃度過電圧とか拡散過電圧という分類もあるようです。 昔の乾電池には水銀が含まれていたという話を聞いたことpはありませんか。 高校の実験でも亜鉛版の表面に水銀を塗ったものを使っていたことがあります。水銀を使うと水素発生が抑えられますので電池の性能がよくなるのです。 めっきについてのサイトを見ると「亜鉛の電解めっきは酸性溶液中から行うことができる」と書いてありました。これはイオン化傾向から考えると不思議ですね。酸性溶液で電解をやるとイオン化傾向が亜鉛よりも小さい水素が発生するので亜鉛の析出は起こらないように思うからです。そのサイトには「これは亜鉛の水素過電圧が大きいからだ」と説明されていました。アルカリ性溶液では亜鉛は沈殿を作りますので酸性溶液で可能というのは具合がいいのです。

math555
質問者

お礼

なるほど,活性化過電圧とは,電極の金属の種類によっては,水素原子に対して,触媒になる度合いということですかね。濃度過電圧は,電極のまわりの生成物の濃度も,H2の出来やすさに,影響するということですかね。なるほど,過電圧の原因は複雑ですね。 水素過電圧を見ますと Pt<…<Fe<・・<Cu<・・<Zn<Hgとなってますね。 水銀を電極にすると,水素を発生させずに,水素よりイオン化傾向の大きい金属を析出させることができるとか…になってますね。 それと,鉄と銅板を果物に差し込んでも,ほとんど電流が取り出せないのですね。意外にびっくりですね。 ありがとうございました。

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  • ORUKA1951
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回答No.2

ボルタの電池で考えると  ■  ■  ■         ■↓過剰な電子が押す圧力  ■         ■↑押し上げる力  バランスを取ってつりあっている  Zn→Zn²⁺   H⁺←H タンクに電子と言う水が溜まっていると想像してください。電子という液体を持ち上げているのは金属がイオンになって溶け出そうとする力です。それがポンプの役目をしている。  このとき、ふたつの金属(タンク)をホースでつなぐと水面に高いほうから低いタンクに向かって電子が流れるます    ■============→====■  ■         ■↓過剰な電子が押す圧力  ■         ■↑押し上げる力  バランスが崩れる  Zn→Zn²⁺   H⁺⇒H₂  そのため、水素に電子が供給され気体になる。  イオン化傾向で説明すると K Ca Na Mg Al【Zn】Fe Ni Sn Pb【H】Cu Hg Ag Pt Au  そもそも、金属が酸と反応してイオンになりやすいと言う事は、水素イオンを還元するという意味ですよね。  Zn ⇔ Zn²⁺ + 2e⁻  H₂ ⇔ 2H⁺ + 2e⁻  このままでは金属の水溶液に対する電位が下がってあるところまで進むと停止する。Znと正極では電位差が異なります。

math555
質問者

お礼

なるほど,ありがとうございました。

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  • ORUKA1951
  • ベストアンサー率45% (5062/11036)
回答No.1

 ボルタの電池は厳密には水素と亜鉛の反応なので説明がややこしくなるので、最初にダニエル電池で考えたほうが楽です。  金属の性質として、電子を失ってイオンになりやすいという性質があります。これは金属元素の電子軌道の構成に由来する物です。  ダニエル電池の場合、いずれも接している金属イオンを含む水溶液と金属板の間では電子を置き去りにしてイオンになって溶け出そうと言う金属と、電子を受け取って金属に戻ろうが平衡状態になっています。  この時によりイオンになりやすいほうが電子が、そうでない金属に比較して電子の量が多くなっています。  ■  ■  ■         ■↓過剰な電子が押す圧力  ■         ■↑押し上げる力  バランスを取ってつりあっている  Zn→Zn²⁺  Cu²⁺←Cu タンクに電子と言う水が溜まっていると想像してください。電子という液体を持ち上げているのは金属がイオンになって溶け出そうとする力です。それがポンプの役目をしている。  このとき、ふたつの金属(タンク)をホースでつなぐと水面に高いほうから低いタンクに向かって電子が流れるます    ■============→====■  ■         ■↓過剰な電子が押す圧力  ■         ■↑押し上げる力  バランスが崩れる  Zn→Zn²⁺  Cu²⁺⇒Cu  そのため、銅に電子が供給され戻ってくる。  水中に銅イオンがなくなるまで続きます。 ボルタの電池の場合は銅イオンではなく、水素イオンでそれが起きている。 >わざわざ導線を通り,銅の電極まで行って,  わざわざじゃなくて、行き先が出来たから流れ出すのです。

math555
質問者

補足

いろいろと,図まで含めて,ありがとうございます。 電流(電子の移動)は,行き先があって流れるというのは,一応承知しておるつもりです。「わざわざ導線を通り,銅の電極まで行って」というのは,教科書なんかでも使われているので,問題を提起するのにわかりやすいかと思って使ってみました。指摘を頂き,ありがとうございます。そこで,図の説明から理解しますところは,2種類の金属のイオン化傾向の差によって,もともと電位差が生じているという理解でいいでしょうか? そうとすれば,ダニエル電池では,電子の受取手がCu2+ですし,また亜鉛の極の方には,素焼きの仕切り板があって,Cu2+はほとんどないはずですので,Cuの極のからのみ,電子が流れ出てちょうどいいのかなと思われますが,一方,ボルタ電池では,両極とも同じ水溶液に浸かっていて,両極ともH+に当たっているわけですから,言ってみれば,両極ともアースされてるようなことになってませんか?両極から同量の水素が発生することになりませんかね? それとも,銅の極からのほうが,多くなるのでしょうか, それとも,根本的に理解が間違っているのでしょうか。 すいませんが,もう一度,お願い出来ますか?

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