ご存じだと思いますが、「雑兵物語」には槍はみんなで声を合わせて上から打ち下ろせなんてことが書かれています。じゃあ撲殺目的だったのかというと、槍の穂先はそんなに重いものではないですからその重さで人を殺すことは困難でしょう。
みんなパソコンゲームをやりすぎだから分からなくなるんですが、人は基本的に死ぬまで戦わないのです。命あっての物種、逃げられるところがあるなら逃げるものなんですね。ましてや足軽ともなれば、こっちの大将が負けたなら、あっちの大将に雇ってもらえばいい話です。足軽ってのはフリーターですからね。仕事に命をかけるフリーターなんてほとんどいないわけでしょ。
だから、重要なのは相手の足軽隊をひるませて陣形を崩すことなのです。頭の上からバッシバッシと叩かれて、しかも穂先に刃物がついていたら危ないでしょう?それで陣形が乱れれば、そこを短槍を持った徒歩武者が斬りこんでいくわけです。するとひるんだ側はこりゃヘタすりゃ徒歩武者に斬り殺されますから、長くて重い槍なんかほっぽり投げて(足軽の槍は官給品)逃げちゃうわけです。
だから、戦国時代の合戦というのは、殺し合いというよりお互い本気のアメリカンフットボールの試合に近かったと思います。アメフトの試合でも、突破が決まるとタッチダウンが決まるでしょ。実際、古代の戦争に最も近いのがアメフトだと思います。
「合戦は、思うほど殺し合わなかった」というのが私の説。だってさ、幕末の北海道戦争での激戦のひとつ、二股口の戦いでは戦いのピークの2日間での新政府軍側の死傷者が約30名、一方の土方軍の死傷者はわずか3名でした。ライフルでの撃ち合いが主流だった幕末でそうなんだから、肉体のぶつかり合いの戦国時代の合戦でそんなにそんなにしょっちゅう死者が出たとも思えないのですよ。だいたい当時の人口は今の1/10くらいだったといわれてるんですからね。戦闘でやたらと人が死ぬようになったのは、大砲と機関銃が発達して以降なんですよ。
ちなみに昔話に出てくるあの鬼の金棒は当時の軍隊は持ち歩いていたようです。陣地を作るときに大きい石を動かすのにテコとして使ったりしたようです。他にも城攻めのときに門扉を壊すのに使ってたようです。あの柄の根っこのところが輪っかになってるでしょ。あそこに紐を通して遠心力を使ってぶつけたようです。当然、武器として使ったこともあったと思いますよ。
現代の軍隊でも、鉄砲をかついで最前線で戦う兵士と、その補給などを行う後方勤務の兵士の割合は少なくとも1:1で、理想は1:2だといわれてるんです。1個師団がだいたい1.5万人くらいなので、そのうち5千人くらいだということですよね。案外に少ないでしょ?だから、師団の死傷者が3千人くらいになると「全滅」扱いにされるのです。5千人のうち3千人が死傷したらこりゃほぼ全滅ですわね。
当時の軍隊も、寝泊りするためには陣幕も張らないといけないし、陣地を作るなら材木やら縄やら必要だし、食事を用意するにも煮炊きする薪が必要です。当時は今より自然豊かだけど、薪なんてそう簡単に大量には手に入らないですよ。1万人の軍勢なら、毎日2万食(当時は一日二食が一般的だったようなので)。当時は糒とかあったといわれますが、あんなのは今ならカロリーメイトとかソイジョイみたいなものです。いざというときならまだしも、戦争に出て帰ってくるまでずっとあれじゃあ士気が下がるでしょう?だから、相当数の非戦闘員が一緒だったはずなんですよね。
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