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複素関数論の特異点の定義の流儀
複素関数論の特異点の定義を見ると、「非正則点=特異点」という流儀と、非正則点のうち、うまく近傍をとれば正則点を排除できるものは特異点の定義から除外する流儀がありますよね。なぜ、このような違いがあるのでしょうか。
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<回答No.2補足 <(1) すみませんでした.これは僕がミスリードしてますね.弁明させてもらうと,最初に質問を見たときには(久々の複素解析で)孤立特異点と勘違いしていてごちゃまぜにしていました.(つまり孤立特異点の定義に除去可能な特異点を含めない流儀があるのかと読み間違えました.) なので最初の回答はたぶん本件には無関係です. <(3) 問題点は理解できました.この件に関して本を読んでみると僕自身いろいろ勉強になったのでまずそれをまとめます.手元にあった本でしか調べていないのはご了承ください. まず学部の頃に使っていた教科書『複素関数入門』(神保道夫) は本筋では孤立特異点しか定義していません.ちなみにその定義は次の通り.「領域D上の関数f(z)に対して,c∈D が孤立特異点であるとは,十分小さいr > 0をとるとき0 < |z - c| < rでf(z)が正則であることをいう.」続けて「この定義では特にz = cでf(z)が正則な場合も点cを孤立特異点と呼ぶことに注意しておく」とあるように,ここは流儀で分かれるようです.特異点の定義は注意4.17の中で与えられています:「関数f(z)が点aで収束べき級数に展開できないとき,z = aを特異点と呼ぶ.」これはひとつめのpdfにある定義と同じですね.またpdfの中で「以後特に断らない限り,孤立特異点のみを扱う」(p.57)とあるように今まで受けた講義を思い返してみても専ら孤立特異点だけしか問題にしてこなかったように思います. また『数学事典(第4版)』にも孤立特異点の定義はあるものの,このような意味では特異点という言葉は定義されていません.ちなみに孤立特異点の定義は上と同じです. まとめると,数学系ではそもそもこの意味では特異点という言葉をあまり使わないというのが実状のように思います―ただ僕は専門家でも何でもないので勘違いかもしれませんが.気になったら図書館へ言って複素解析の本にある定義を片っ端から探してみてください,たぶん合っていると思います.というわけで,僕の理解した範囲でもっともらしい解釈は次のふたつa, bのいずれかだと思います. ふたつめのpdfでは非標準的な定義が採用されている.これは(a)著者の間違い(専門は原子核物理のようですし)あるいは(b)病的な例を排除するためである(けれども,こういうことは数学者の方が拘りそうなのであまりなさそう). とは言うものの専門家でない素性の知れない人の解釈は信用に値しないというのであれば,いっそ本人に連絡をしてみて訊いた方が良いかと思います.そのときは結果を知らせてください.
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- ask-it-aurora
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<回答No.1補足 補足を見てよくわからなくなったのでまず3点,質問・確認をします.答えてください. (1) 質問文は「特異点」の定義について,補足は「除去可能な特異点」について書いていますが,本当の質問はどちらですか?落ち着いてよく整理した後にもう一度,質問を書いてください.(質問を明確にしていく過程で自己解決するかもしれませんし.) (2) 少なくとも補足に書かれている「除去可能な特異点」の説明は間違っています.ひとつめのpdfにある定義を見ればわかるように「除去可能な特異点」である理由に関数fの点aにおける値が決まっていないことは必要ありません.加えて,そこにある定義では「除去可能な特異点」は「孤立特異点」である必要はあっても「特異点」である必要はありません. (3) "「非正則点のうち、うまく近傍をとれば正則点を排除できるもの(=その点自身を含めて非正則点だけが属すような近傍がとれるもの)」"一体どこにそんなことが書いてあったのですか?(こんな状況はまず起こらないと思いますが.) ## 一般にリンクを張るよりも必要なところだけを引用してくれたほうが見る方はラクです.探す手間が省けるので.
補足
ありがとうございます。 (1)質問は(除去可能な特異点ではなく)特異点について、です。Riemannの除去可能性定理をお示しくださったので、質問とどう関連するか自分なりに検討した過程を書くために除去可能特異点に言及しました。 (2)私の理解不足でしたので、除去可能特異点についての言及は撤回いたします。 (3)ご助言に従い、関連するところを抜き出すと、一つ目のリンクでは 「関数f(z)が点aで正則でない(微分できない)とき、aはf(z)の特異点(singular point)という。」 とあります。ところが2つ目では 「関数f(z)はz=z0で正則でないが、どんな近傍をとっても、その中の少なくとも1点で正則であるとき、z0はf(z)の特異点であるという。」 というように、1つ目に比べて「どんな近傍をとっても」以下の条件がついており、単に「その点で正則でない」というだけでは特異点とは呼べない定義になっています。そこで、正則でない点のうち、どのような点が2つ目の定義で排斥されてしまうのか考えると、「どんな近傍をとっても、その中の少なくとも1点で正則である」の否定ですから、「正則な点が属さない近傍が存在する」となります。「こんな状況はまず起こらないと思いますが」というご感想は私も全く同様で、だからこそなぜ2つ目の定義でわざわざこのような制限を付けているのか、と疑問に思ったのです。
- ask-it-aurora
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あなたの言及している定義がどれとどれかは明示してもらわなくては細かい議論はしようがありませんが,いずれにせよ一言でいうなら「Riemannの除去可能性定理があるから」だと思います.
補足
ありがとうございます。例えば http://home.hiroshima-u.ac.jp/kyoshida/ComplexAnalysis/2012/Lecture/No6(MeromorphicFunctions).pdf の最初のページの6.2節の定義と、 http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/Amath06/am_chap11.pdf の最初のページの冒頭の定義の違いを指しています。 「除去可能な特異点」というのは、その点αで関数の値f(α)が定義されていないせいで非正則だが、lim_{z→α}f(z)が存在するような場合ですよね。それと「非正則点のうち、うまく近傍をとれば正則点を排除できるもの(=その点自身を含めて非正則点だけが属すような近傍がとれるもの)」とは全く異なるように思われるので、今のところ両者が頭の中でつながっていません。よろしければ上記PDFをご参照いただき、再度ご教授いただけますでしょうか。
お礼
ご親切に検討いただき、感謝しております。ご説明を理解いたしました。 手元の2冊の教科書を見てみますと、 アールフォルス『複素解析』では「孤立特異点」は定義されていますが「特異点」の定義はありませんでした。 芦田正巳『複素関数を学ぶ人のために』p103では 「関数f(z)が点αでは正則でないが、αの任意の近傍内に正則な点が存在するときαをf(z)の特異点という。」 と定義されており、いま話題としている定義と一致しています。こちらはPDFでも読めます。 http://collie.low-temp.sci.yamaguchi-u.ac.jp/~ashida/work/comp.pdf この一致を見ると、この限定条件はあながち無根拠なものでもないような気がします。私自身は病的なケースを自分で想像できたことがほとんどなく、言われて初めて「あぁそうかぁ」と気付かされるので、さしあたっては「もしかしたらあるかもしれない」と考えておくことに致します。本当にありがとうございました。