表題登記を申請する際にも,一応,
申請人に所有権があることを証する書面を提出するんですよね。
でも,表題登記は土地や建物の状況を示すための登記であり,
不動産登記法第27条3号による所有者の登記は,
その後所有権保存登記がされる際にその申請人と照合するための事項みたいなもので,
その所有権保存登記だって,その本人に限って登記できるわけじゃありません。
→ 不動産登記法第74条を参照ください。
ただこの登記をすることにより,
不動産登記法第74条により所有権保存登記ができる人が制限できますし,
実態として,その効果は,多少はあるかもしれません。
まあ,他の権利の登記をする際に,
一緒に所有権保存登記をすれば足りるだけですしね。
ただし,差押えされる際に,代位で所有権保存登記されちゃうリスクがあり,
その場合には,所有者は登記識別情報の通知が受けられなくなります。
もしも登録免許税が高いからなんて理由で所有権保存登記をせずにおき,
結果的に本人確認情報で登記せざるをえなくなったときは,
それに要する手間と費用対効果で,逆効果になりそうです。
個人が表題登記で止めておくことにメリットはないと思います。
あ,そうだ。
表題登記の所有者が,実体上,表題登記がされた時点で真の所有者ではない
という場合があります。
建売住宅の表題登記は,コスト削減のために,建築主である業者名ではなく,
それを買い取る予定の人の名義で表題登記をすることが多いです。
建物の代金が支払われているのであれば登記=実体ですが,
ほとんどの場合,代金支払い前に表題登記が(登記≠実体)されています。
その前の時点で表題登記をしておかないと後に控える手続きが面倒になったり,
新築扱いではなくなってしまったり,余分なコストがかかったりと,
デメリットが多いので,業者のリスクでそういうことが行われます。
法律がそれを想定して制定されたわけじゃなく,これは結果論ですけど,
そういう実態においても,表題登記所有者に対抗要件を認めるのは
実体的にも認められてほしくないかもですね。
ただこの場合でも,所有権保存登記は代金支払後にしていますので,
対抗力を備えるときには登記と実体が一致しており,
その点については問題はないと思います。
すごく長くなってしまって申し訳ないんですが,
実体上の要請からも,表題登記というのは,あくまでも,
土地や建物の状況を示すための登記でしかないし,
所有者登記に対抗力はない,で理解していていいと思います。
お礼
大変実態を詳しくお教え願い、有難う御座います。 まだまだ良く理解出来ない処があります、今後ともアドバイスお願い致します。