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ギリシャ語について。
今度、大学でギリシャ語の授業を取ろうと思うのですが、 ギリシャ語は難しいと聞きます。 本格的に学ぶわけではなく、興味があるので授業を取ってみよう、という感じです。 やっぱり大変なのでしょうか?
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こんにちは。 私も大学時代に1年間、古代ギリシャ語入門を受講しました。言語学を勉強していたわたしにとってラテン語やギリシャ語はロマンス系言語の祖として知っておく必要があったからです。 受けてみてどうだったかといいますと、自分が今まで拾得してきた言語と文法的に異なっており、結構とまどいました。字は比較的すぐに覚えられるのですが、それでも慣れ親しんでいるローマ字とは違ってさらっと読めないので視覚的にも難しいと感じてしまいます。しかし、入門程度ならものすごく複雑な文法事項は出てこないので、興味と勉強する意欲がある程度有れば大丈夫だと思いますよ。
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- maris_stella
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どんな言語であっても、ある程度の文化を持った社会の言語は、複雑な部分や難しい部分に違いがあることがありますが、いずれにしても学習するのはたいへんなことです。 しかし、ラテン語で書かれたウェルギリウスやオウィディウスの長編詩や「変身物語」にしても、古典ギリシア語で書かれた、悲劇・喜劇の台詞集や知的文化人の娯楽読み物だったとも言えるプラトンの対話編にしても、当時の文盲ではない人には読めたのですし、何より日常会話が、多少崩れた方言的な言葉であったとしても、構造的にはラテン語、古代ギリシア語で行われていたのです。 「新約聖書」はコイネーギリシア語という、古典ギリシア語がかなり簡単になった古代ギリシア語で記されていますが、これは多くの人に読んでもらうための文書で、当時の文字が読める庶民なら、誰でも読めたのです。従って、確かに難しい部分は、もの凄く難しいですが、入門水準だと、他の外国語を学ぶのと、それほど難しさで違いはありません。 (英語をすでに学んでいる人には、フランス語やスペイン語はかなり分かりやすいです。ドイツ語も分かりやすいです。これは、構造的に、語彙的に、これらの言語が、共通した部分をたくさん持っているからです)。 ラテン語や古代ギリシア語が難しいのは、近代西欧語の常識、基礎知識では、「底上げ」にならない、かなり近代語とは異なる構造・語彙・システムを持っているからです。英語を母語とする人にとって、フランス語やスペイン語を学習するというのは、まったく別の言語を学習するというのとは違っています。逆もまた言えます。 しかし、彼等西欧近代語を母語とする人たちでも、ラテン語や古典ギリシア語を学習しようとすると、「外国語」を学ぶと言うことになり、これはかなり難しいのです。 西欧では、「バスク語」はもの凄く難しい、学習の困難な言語だとされて来ました。それは、実は、バスク語がとりわけて複雑とか錯綜した構造や語彙を持っているからではなく、バスク語が「印欧語族」に属する言語ではないからです。西欧人にとって、日本語を学習するというのは、バスク語を学習するというのと同じぐらい、言語構造から言えば難しいことです。 日本人が英語を学習するというのも、実は、西欧人が、ラテン語や古代ギリシア語を学習するのと同じぐらい、あるいはそれ以上に難しいことだとも言えます。 ---------------------------------- 最初に学び始めたときは、古典ギリシア語の方が、ラテン語よりも障壁が高く、難しいように感じられます。この理由は、「文字がラテン文字ではない」というのが一つの理由ですが、それ以外に、「アクセント規則」がギリシア語は非常に複雑になっているということがあります。 ラテン語はアクセントが、二音節以上の単語の場合は、後ろから二番目に来るということになっています(ラテン語は、単語ごとの「固有位置アクセント」を失っています。どの単語の場合も、変化形も、後ろから二番目と決まっています)。 ところが古典ギリシア語は、「単語固有のアクセント」を維持しています。後ろから一番目にある場合、二番目にある場合、三番目にある場合と、単語ごとでばらばらで、しかも、ラテン語は一種類しかないのですが、ギリシア語は、「強アクセント」「弱アクセント」「曲アクセント」と三種類あり、語尾が屈折で変化すると、強アクセントと曲アクセントが入れ替わったりします。 最初に学ぶのは、文字の読み方やアクセント規則などなので、ギリシア語は、アクセント規則が複雑で難しいということになります。(その結果、最初に試しに授業を受けてみたという人は、ギリシア語はラテン語より難しいという話になります。しかし、それは最初の「アクセント規則」の障壁で躓くので、ここを過ぎると、それほど難しさでは差はありません。むしろ、深く学んで行くと、ラテン語の方が難しい言語だとされます)。しかし、これを通過すると、文法などは、ラテン語もギリシア語も、やたらに屈折変化が多いということで、同じぐらいの難しさになります。 ---------------------------------- 細かい部分で見ると分かりませんが、大きく眺めると、動詞は、「現在、未来、過去(アオリスト)、未完了過去、現在完了、過去完了」などの時制があり、「能動・受動・(中動)」があり、広義の「直説法対接続法・条件法・希求法等」があるということで、それぞれの変化や用法は複雑でたくさんありますが、印欧語西欧語派の類推でほぼ分かります。 文字は慣れの問題で、かなり易しいです。また文章を音読するだけなら、ギリシア語は、アクセントをすべて表記し、また母音の長母音と短母音の区別もほとんど表記で分かるので、意味はともかく、文章の発音を読むだけなら、1、2週間で読めるようになります。(また、日本人が日本語のように、古典ギリシア語を発音すると、実はこれら、本来のギリシア語の発音に一番近いというのがあります。高低アクセントで、均等ピッチ音節なので、それは日本語がそうなのです。欧米人の発音が間違っているということになります)。 ドイツ語を学んでいれば、「前置詞の名詞格支配」というのはすでに概念としては分かっていることになります。またフランス語・スペイン語などを学んでいれば、動詞の系統的屈折変化表の膨大な分量も納得が行きます。 未知の単語を覚えなければならないというのは、どの言語の学習でもあります。問題は、膨大な屈折変化と、それに伴う用法の区別です。不規則動詞の変化とか、古典語の本当の難しさは、中級課程の「原書講読」になると直面しますが、初級段階だと、記憶すべきことがたくさんあるという以外は、西欧語の大局的な構造とほぼ同じです。 (ギリシア語の「動詞」の特徴として、「前置詞+幹動詞」で新しい動詞を系統的に造っているという構造があります。これは、ドイツ語の分離・不分離動詞における「前置詞+幹動詞」による動詞生成に対応しています。英語の場合は、「動詞+前置詞」という形(例えば、make up など)がそれに対応しますが、系統性が消えてしまっています)。
お礼
言語についての説明ありがとうございました。 私の勉強不足で、少し理解できない部分がありましたが、勉強になりました。 言語を学ぶことの難しさを考えさせられた気がします。 ご回答ありがとうございます。
- Diogenesis
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大学で開講されているのは古代ギリシャ語ですよね。 哲学や西洋史の研究には欠かせない教養ですが, 私の場合はギリシャ文字の美しさに魅せられて ちょっとだけ齧ったことがあります。 たしかに易しい言語ではないし 現代ギリシャ語とはずいぶん違いもありますが, 今年はアテネ・オリンピックがあるので ギリシャ語がわかるとちょっと優越感に浸れるかも。
お礼
なるほど~。 言語ってどれも易しいものではないですよね。 興味を持って取り組めば楽しく学べると思えてきました。 アドバイスありがとうございます!
お礼
ギリシャ語を学ぶ前から、自分が文法と独特の文字で混乱しそうな感じがしてきました・・・。 でも、入門程度だと思うので始めの授業に参加して検討してみます!気持ちが変わらなければ、取ってみることにします。 アドバイスありがとうございました。