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この児童文学の作品名を教えてください。
昔々読んだ児童文学集に載っていた短編です。 その本に壺井栄の「石臼の歌」や「柿の木のある家」が一緒に載っていたような記憶があるので、 その手の「昭和・戦後の子供達の悲しい苦難の話」です。 もう一度読んでみたいと思っています。 児童文学に詳しい方、よろしくお願いします。 ___________________________________________ 主人公は小学生の男の子である。 学校の近くに河が流れており、粗末な木造の橋が架かっていた。 町の財政が厳しく(そもそも日本全体が戦争でダメージを受けているので) 木造の粗末な橋は少々の大雨で通行止めになったり流されてしまう代物だった。 橋が流れてしまうと学校に通学できなくなる。 しかしその心配ももう無くなった。 町が予算を掛けて、子供たちの教育のために、川向うの集落のために、コンクリート製の立派な橋を架けてくれたのだ。 もうこれで大雨で流れる心配もない。雨の日も風の日も登校できる。 子供たちは喜んだ。国語の授業の一環で、感謝の気持ちを込めてお礼の作文を作った。 少年の作文は全校生徒の最優秀作品に選出された。 橋の開通式という人生初の晴れの舞台で、校長以下全校教師・全校生徒、町の名士、町議会議員の並ぶ前で自分の作文を披露することになった。 少年は開通式の前日に母に開通式に来てくれるように頼んだ。 しかし母は行けないという。息子の晴舞台に来ていくモノがない、というのだ。 「野良着でいいから来てくんろっ!!」 少年は母にそう言って家を飛び出た。 開通式の事は父親には最初から言うつもりはなかった。 競輪のせいだった。 町に競輪場ができてからというもの、少年の父親は仕事をせず、酒を呑み競輪場へ通ってばかりになった。 父親は家に生活費を入れなくなり、家財道具は次々と質入れするようになった。 「直しに出す」と言って業者に運び出させた母の嫁入り道具の箪笥も「直しに出す」というのはウソだった。 その箪笥にしまってあった母の着物はとっくに売られていた。全部、競輪の賭け金と酒に消えていた。 開通式の日、式典を間近に控えて少年は橋のたもとにたたずんでいた。 少年はこの橋が競輪の収益で架けられたことを知ったのだった。 教えた相手が町会議員の息子だから本当の事なのだろう。 少年の家から何もかも奪った競輪。 少年の一家から笑顔と幸せを奪った競輪。 真面目一筋、仕事一本槍だった父親を変貌させてしまった憎き競輪。 その競輪のカネでこの橋はできたのだった。 母の着物と、母の嫁入り箪笥と、少年一家の幸せと、引き換えになった立派な橋。 開通式がせまっている。 少年を探す先生の声が聞こえる。 少年は橋のたもとにたたずんだまま、自分の集落の方を目を凝らしてじっと見つめたまま動かない。 少年の目に、母の姿は、見えてこない・・・。
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- Postizos
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山松ゆうきちの「にっぽん競輪王」ではなかったかと思います。 確かラストシーンは陰で見ていた父が「この橋を造ったのは俺だ!」と言って飛び出してくるのだと思いました。そして主人公の肩を抱くのです。 http://www.youtube.com/watch?v=QUra0sZns-k http://www.youtube.com/watch?v=mIkgYg4uu28 たしか続編があって、青年となった主人公は全てを奪った競輪から金を取り戻すため選手になって大活躍をするというものでした。
補足
ご回答ありがとうございます。 図書館に行って調べてみます。