『治安警察法』 明治33(1900)年に公布。集会・結社・大衆運動の取り締まりを目的として制定。明治維新後,欧米の思想が伝播しての自由民権運動に対する弾圧法であり,集会における演説者の発言内容を警察官の監視下に置き,発言中止や集会の解散を命ずることが出来る,としたもの。また,ようやく経済の発展に寄与し始めた鉄鋼や繊維産業その他,工場労働者の団結権・ストライキ権を大きく制限した。第二次世界大戦終戦に伴い,廃止された。
アメリカ独立宣言(1776),フランス革命(1789~99)等,欧米の共和制と議会制民主主義思想の影響を受け,明治の中頃には,我が国でも国民からの国会の制定要求,自由や幸福追求権を求める運動が広がり,これに対して明治政府は弾圧姿勢で臨んだ。
『治安維持法』 大正14(1925)年公布。国体の変革(天皇制廃止など),私有財産制度の否認などを目的とする結社活動(社会主義政党などの結成),個人的行動の自由を制限・否定する法律。
その後数次の改正により,主として共産主義運動の抑圧策として違反者には極刑で臨み,言論・思想の自由を制限した。また,逮捕された容疑者が裁判を待たずに拷問死するなどの,警察権力の乱用も招いた。第二次世界大戦終戦に伴い,廃止された。