>骨髄移植は、あくまでもレシピアントのT細胞が機能していない場合のことですよね?ですから、GVHDが起こるということですね?
はい、そのとおりです。
>では、もし健全にT細胞が機能している生物体に別の生物体のT細胞を移植すると、どうなるんですか?つまり、どっちが攻撃するんですか、それとも反応しあわないのでしょうか。
大抵の場合は移入されたT細胞側がレシピエントの免疫系に攻撃されると思います。同一種間での臓器移植(ヒト→ヒト、マウス→マウス)でレシピエントにとって移植片のことを「アロ抗原」と言います。 アロ抗原の最も代表的なものがMHC(HLA)という細胞表面分子です。レシピエントとドナーのMHCが異なる場合、アロ抗原反応が起こり、その実態はドナー由来のHLAに対する免疫反応です(臓器移植における拒絶反応のとき)。kryknさんがおっしゃるように移植片が拒絶されるときの反応には直接認識と間接認識が考えられます。しかし間接認識(マクロファージなどの抗原提示細胞;antigen presenting cells, APCsが大きなタンパク抗原を取り込んでMHC class IIへ提示)には少し時間がかかります。よって直接認識が拒絶反応の大元であるといってもイイと思います。 蛇足ですが、臓器移植にはHLAの型が一致していることが望ましく、兄弟や親族間でなくてもHLAの型が一致しているほうが生着率は上がります。しかしHLAが一致した移植でも稀に拒絶反応が起こることがあります。これにはHLA以外にマイナー抗原というものが存在するためであるとされています。更に一卵性双生児が理論上はHLAもマイナー抗原も一致していると考えられていますが、実際問題一卵性双生児間の移植でさえ拒絶が起こることがあります(ホントに稀ですが)。理由はよく分かっていなかったと思います。
お礼
毎回、正にかゆいところに手が届く回答ならびにサイト紹介、ありがとうございます!知れば知るほど、疑問が出てくるのですが、これもまた勉強の醍醐味ですね。