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TEM、STEMの分解能
電子顕微鏡をこれから仕事で扱うことになりました。 そこでわからないことがあるのですが、 TEMは収束させた電子線を拡大させるのに対し、STEMは収束した電子線を 走査すると習いました。 TEMは拡大するのですから、STEMよりも分解能が落ちると思うのですが、 結晶性の物質を高分解能でみるにはTEMがいいといわれました。 実際、高分解能観察にはTEMとSTEMのどちらがいいのでしょうか。 また、TEMは拡大させるのに高分解能で観察できるのはなぜなのでしょうか。
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SEMはある場所に電子線を当てて、放出される2次電子や反射電子を検出します。位置分解能は電子線の径に依存します。直径が100 nmだとすれば、その100 nmの内側の情報は平均化されてしまいます。 TEMで同様に径100 nmの電子線を用いたとします。(厳密な言い方ではありませんが)TEMではその100 nmの電子線を試料にあてて、透過してきた100 nmの電子線を磁場で拡大します。つまりSEMでは平均化されてしまう領域の内側を拡大して観察することになります。したがってTEMの方が位置分解能は高くなります。 どちらを使うかはケースバイケースです。 SEMは分解能に劣りますが取り扱いが楽です。通常のルーチン測定なら、数時間レクチャーを受ければ測定できると思います。試料の前準備もそれ程手間ではありません。また試料の立体的なデコボコにも強いです。 TEMは単原子層を区別できる高い分解能がありますが、試料の薄片を用意するのがとにかく面倒くさいです。経験者にレクチャーを受けつつ、しばらくは標準的な試料で練習する必要があります。いきなり本番では、実験で得た貴重なサンプルを台無しにしてしまう可能性が高いです。 通常のルーチン測定はSEM、検討を重ねた結果どうしても原子レベルでの位置分解能が必要な場合のみTEM、こういった運用をしている所が多いのではないでしょうか。 仕事で必要で今から勉強するということであれば、「表面分析技術選書」シリーズから実務向きの入門書が出ているのでお勧めします。 http://www.amazon.co.jp/dp/4621073613 http://www.amazon.co.jp/dp/462108156X
お礼
ありがとうございました。参考にいたします。