Q1:モスクワ大学出版のСовременный русский язык(現代ロシア語)という教科書によると、軟子音[г], [к], [х], [л]の前では軟音化しないそうです。
Наиболее подвержены смягчению зубные [з], [с], [н], [р], [д], [т] и губные [б], [п], [м], [в], [ф]. Не смягчаются перед мягкими согласными [г], [к], [х], а также [л]
(下記の参考URLの項目2より抜粋)
従って、доскеの"с"は硬子音(軟音化しない)ということになります。
Q2:これも同じ教科書の記述ですが、同じ子音をふたつ続けて綴ってあるのは、ロシア語では『長い子音』と説明されるようです。ご存知のとおり、子音というのは舌や唇で息の流れをいったん阻害して、それを開放することによって発せられる音ですから、音そのものを長くするのは無理ですが、どうやら息の流れを阻害している時間が『長い』ということのようです。
結果的には日本語の促音(ッ)に似た音になると思うのですが、この『長い』という感覚が人によってかなり違うようで、ほとんどひとつの子音と変わらないように聞こえることも多いです。
ロシア語の単語で、この『長い子音』が出てくるのは、だいたい接頭辞と語根のつなぎ目みたいなところで、例えばрассказなどがこれに当たります。発音記号を見ると[ss]のように書かれていますが、耳で聞くと、ほとんどひとつのсに聞こえると思います。またрассеиватьなどの発音記号を見ると、ひとつめの"с"も、二番目に引きずられて軟音化しています。
спагеттиなどは、もとのスペルをほぼそのままキリル文字に転写しただけの外来語なので、ロシア語の発音規則が厳密に適用されているかどうかは分かりません。でも、たいていの人は習慣的に『長い子音』の感覚で発音しているんじゃないでしょうか。そうだとすれば、最初の"т"が軟化すると同時に、ほとんどひとつの"т"のように発音されていると考えられます。
お礼
ロシア語学習の初心者です。入門書には「軟子音の前に書かれた"т д с з н" は同化して軟子音として発音されますとなっております。辞書で発音記号が確認できる単語の場合は、問題ないのですが、変化形は辞書に出ていないので困っていました。今回「軟子音[г], [к], [х], [л]の前では軟音化しない」ということが解り、だいぶ楽になりました。丁寧な回答本当に有難うございました。