ピアノ調律師になることを目的とした教育機関は全国で10校以上あるようですが大きくは専門学校(認可されていない各種学校も含む)とヤマハピアノテクニカルアガデミーのようなピアノメーカーの養成機関の2つに分かれます。
まずは講師ですが、メーカーの養成機関の場合、全員がピアノメーカーの現役技術者です。
ピアノ調律の経験だけでなく、楽器制作の知識・技術や全国の販売店・工房で働く調律師の情報網を持っています。専門学校の場合、個人単位では過去メーカー出身の技術者もいるでしょうが、中には専門学校を卒業後そのまま講師をしているところもあります。
また設備においては、ピアノ工場と学校が隣接しているため、新モデルのピアノやフルコンサートグランドまで教材として触れることができます。専門学校の場合、今だに2本ペダルのグランドしかない所もあるようです。
現在では学校のようなシステムになっていますが、元々ピアノメーカーは技術者を育てる事自体は戦前から行っていたので歴史的にみても教育水準が高くなるのは自然でしょう。専門学校の場合古い学校でも20数年ぐらいでしょうか。
生徒は就職先がメーカー系列の会社で内定している人をとるシステムのため、卒業後も安定していることから専門学校と比べ評価を高くしている一因でしょう。
そして、卒業後プロの調律師として何年も経験を積んでいる技術者に対してもコンサート調律などの研修システムがあるのも特徴です。
以上、学校としてのレベルの違いを列挙しましたが、実際に優秀な技術者になるかどうかはもちろん本人次第です。専門学校を出ても経験を積んだ後、良い師匠に出会いオーバーホールの技術を身につけたり、メーカーでの上級研修を受けコンサートチューナーになる人もいれば、メーカー養成機関をでても、その後勉強を怠り、技術が我流になってしまう人もいます。