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惑星探査機の「はやぶさにXeが搭載まれた理由は?
宇宙工学に詳しい方教えて下さい。「はやぶさ」のイオン・エンジンにXeが使われました。「原子量が重いため」とブルーバックスに書かれていました。 運動量はMVなので個々の原子量は関係なく総重量が重要と思うのですが… 良く分かりません。当方は数学と物理学に若干の知識はあります。宜しくお願いします。
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「ロケットエンジンの推進剤」→「静電加速」 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%8E%A8%E9%80%B2%E5%89%A4#.E9.9D.99.E9.9B.BB.E5.8A.A0.E9.80.9F を見ますと、キセノンは圧縮できる利点があるとされていますね。 >運動量はMVなので個々の原子量は関係なく総重量が重要と思うのですが… というのは、その通りです。ただ、得られるmvの大きさが問題になります。単位重量当たりの推進剤がはやぶさに与える運動量が大きい方が良い。 ちょっと単純化してみましょう。質量mの荷電粒子1個を考えます。これを加速することにより、推力を得ます。 イオンエンジンは電磁気力の推進ですから、電荷が同じであれば、質量に関わらず同じ力です。 イオンエンジンが荷電粒子に、その力を与える距離は有限で一定です。荷電粒子がエンジンから出て行ってしまえば、もうその荷電粒子に力を掛けることはできず、推力とはなりません。 同じ力で同じ距離だとすると、荷電粒子の質量が大きいほうが、長い時間を掛けて加速できます。逆に言えば、軽いほど、短時間しか加速できません。 極端な場合を考えてみると、途方もなく質量の大きい荷電粒子だとすると、荷電粒子はほとんど動かず、つまりイオンエンジン内にいる時間が長く、結果としてはやぶさは長時間かけた力積を得ます。力積は力×時間で、運動量ですから、要は大きな速度を得ることができます。 もし限りなく0に近い質量の荷電粒子だとすると、確かに荷電粒子に掛けられる力は同じでも、すぐにイオンエンジンから出て行ってしまいます。これでは、はやぶさが得る運動量が少なく、得られる速度も小さくなります。 実際には、残りの燃料の質量も含めて加速せねばなりませんので、ツィオルコフスキーの公式などを使って考える必要はあるでしょう。 しかし定性的に考えても、質量の小さい燃料なら大量に積まねばならず、質量が小さいことは、最終的に得られる速度には、あまり関係はありません。 そうしたことから、イオンエンジンに使いやすくて、質量もある程度大きいキセノンが選ばれたものと思われます。
- betanm
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たとえば、HeヘリウムとXeキセノンを比較します。 原子量(=分子量でもあります、なぜなら不活性ガスは単原子分子だから)は4と131です。 体積が同じなら、XeがHeよりも、約33倍重いですね。 ではこれをイオン化してみます。 イオンの価数は同じと仮定すると、それぞれのイオン数(電気量と比例ですね)は同じですから、静電気力は同じです。 すると、電気的引力・斥力は同じということになります。 ではその静電気力によって加速されたイオン粒子が、得る速度はどうでしょう。 これはF=Ma(ニュートンの法則)より、同じ力F(静電気力が同じだから)を与えたとき、質量が大きいと加速度は小さく、質量が小さいと加速度は大きい。 では速度は無制限に増すかと言えば、イオン粒子の速度が速くなるほど、相対論的効果により、速度の伸びは正比例しません。 つまり、あなたが言っている、イオン粒子の反作用による推進力は、1個のイオンのMVを全体に合わせたものですから、 Mを大きくするか、Vを大きくするかです。 そこで、Vはある値以上大きくなり難いですから、その積はMが大きい方が大きくなります。 そこで、アルゴンやクリプトンよりも、原子量が大きいXeが選ばれたのではないでしょうか。 想像するに、ラドンならさらに1.5倍ほど重いので、効率は上がるはずですが、放射性元素であることと、純度を上げられないことで、採用されなかったのではと・・・。
お礼
丁寧な回答をどうもアリガトウ御座いました。良く分かりました。 >速度は無制限に増すかと言えば、イオン粒子の速度が速くなるほど、相対論的効果により 私はニュートン力学の範囲内でのみ思考していました。 この問題は相対論の範囲で考えなければ行けませんね。 >ラドンならさらに1.5倍ほど重いので、効率は上がるはずですが、放射性元素… 「原子量は Rn>Xe でもRnは放射性物質だから扱いにくそう」と私も思っていました。
- fba
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…悩むような問題でもないような気が。 同じ22.4lの容量のタンクに詰め込める気体の質量は原子量が大きいほど大きくなる、ってだけでしょ。別に50lでも100lでも話は一緒ですけど。 昔F1のエンジンがターボだった頃にホンダはほとんどトルエンみたいな燃料を使ってたんですよ。当時のレギュレーションでは燃料タンクの容量に規制があった(現在のレギュレーションはガソリンじゃないとダメになってます)ので「分子量の大きな燃料なら同じ容量でもカロリー稼げるじゃん!」ってね。燃やす時の炭化水素の数とイオン化して噴射する分子量(≒分子量)との違いはありますけど、考え方は一緒。 宇宙工学に詳しいとかなんとか以前のレベルでしょ?難しく考え過ぎ。
お礼
回答ありがとうございました。大変良く分かりました。 >同じ22.4lの容量のタンクに詰め込める気体の質量は原子量が大きいほど大きくなる 原子量が大きいほどタンク容量が小さく軽くデキルということですかね。 >ホンダはほとんどトルエンみたいな燃料を使って… だったのですか、 知らなかった。でもアッタマ良い~ 私にとってプチ知識の話しになりました。
- misawajp
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>運動量はMVなので個々の原子量は関係なく総重量が重要と思うのですが 中途半端な理解です モルあたりの重量が違います この意味が理解できないと回答されても理解できないでしょう それが回答 >当方は数学と物理学に若干の知識はあります と 思っているだけで理解できていない
お礼
早速回答をアリガトウ御座いました。しかし、???だな~ >モルあたりの重量が違います 高校化学で学習する程度の「基本の基」ですよね。イオンエンジンのマイクロ波はモル当たりで電気料は異なってくるのですか?
補足
NO.1の回答でイマ理解できました。電気量はモルで異なって来るのですよね。単純なコトでしたが気が付かずにいました。 <N0.1の方に> 回答をモラッテおいてですが… 人にモノを説明するときはアマリ否定的な物言いはしない方が良いかと。余りよい気持ちはしませんヨ。世の全ての人間が宇宙工学に関してアナタと同レベルの知識を持っているワケではないかと。 説明の名手アインシュタインは「老婆に説明できなければ理解したことにはならない」と言っています。老婆心でした。
お礼
回答ありがとうございました。その後もイクツカ?がわいて居たのですが「疑問氷塊」しました。参考URLも張って頂き感謝です。さっそく目を通しました。 私は理学系の人間です。原理を実現させた「はやぶさ」ってスゴイ機械ですね。工学系の人に敬意を感じています。