私ハ お前ガ 好きだ。
日本語におけるハ格とガ格について その成り立ちを問い求めます。
なぜなら
( a ) 私ハ お前ガ 好きだ。
これは まづは
(α) 《Aハ Bガ Cナリ。 / Cスル。》の構文
と捉えますが このハ格とガ格の用法は 一筋縄では解けないと考えられるからです。次のようにまったく違ったふたつの解釈が ふつうに・そして互いに自由に対等に できるからです。
( a-1 ) 《 Aガ Bヲ 好く》という解釈例:
・ 私が好きな相手は お前だ。
( a-2 ) 《 Aヲ Bガ 好く》という解釈例:
・ 私を好きなのは お前だ。
言いかえると ハ格もガ格もそれぞれ同じように 主格(主語格)としてのガ格かまたは対格(目的語格)としてのヲ格かを意味しうるからです。
言いかえると 文の意味連絡を確かめ明らかにする前の段階では ハ格もガ格(ガ格一般)もともにその意味は確定しない。こういうことになります。
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そこで このように第二次の解釈作業を必要としてその結果明らかになる意味連絡のかたち――そのような文型――を 英文にならって次のように規定します。
(ω) S(主格)‐V(述格)‐O(対格).
すなわちこの言わば線形としての論理的な意味を示す S-V-O なる文型は 日本文の( a )文例が 解釈例の( a-1 )および( a-2 )として そのみづからの構文の中に含む文型である。言いかえると 次のようになりましょうか。
(α) 《 A‐ハ B-ガ C-ナリ。 / C‐スル。》なる構文 ~~~~
《 A-ハ B-ガ C-ナリ 。》
中心主題‐ハ格 関係主題‐ガ格 論述主題‐述格・法活用(断定法)
○ ( a ) 私ハ お前ガ 好きだ。
・ 話し手は 《私》を中心主題として提出した。
・ そのあと中心主題にかかわる関係主題を《お前》として引き出した。
・ そのふたつの主題について 答えを出すとするなら 《好きだ》という内容とかたちで提示した。
・ この段階ではまだ文の意味が明らかではない。あとで分かることとしては ( a-1 )および( a-2 )の可能性をもって両義的である。
・ すなわち この(α)の構文は 全体として非線形の構造を有していて その中に線形の文型(ω)をも宿している。
○ (ω) S(主格)‐V(述格)‐O(対格).~~~~~~~~
( a-1 ) 《 Aガ Bヲ 好く》という解釈例: I love you.
・ 私が好きな相手は お前だ。
( a-2 ) 《 Aヲ Bガ 好く》という解釈例: You love me.
・ 私を好きなのは お前だ。
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どうしてこういうあいまいな(=つまり両義的・多義的な)表現が日本文で起こるのか?
ハ格もガ格も もともとは主題をただ主題として提示するために用いられているものだからか?
もしそうだとしますと それらハ格がみちびく中心主題(A)やガ格で承ける関係主題(B)のそれぞれと 論述部の主題(C)ないしその論述格(‐ナリ。 / ‐スル。)との意味上の連絡は 二の次だから。と考えられて来ます。
つまり 文の構造は ハ格とガ格の両者ともが二重の用法を持つことによって成り立っている。こう考えられます。
すなわち両者ともそれぞれ 《一次として 〔単なる〕主題の提示 という用法》と《二次として 論理的な意味連絡の確定をみちびく用法》とを担い得て その構造が二層から成っていると考えられます。
あらためて示せば:
(α) 《 A‐ハ B-ガ C-ナリ。 / C‐スル。》なる非線形構文 ~~~
(α‐1) 一次として 主題提示の層
《 A-ハ B-ガ C-ナリ 。》
中心主題‐ハ格 関係主題‐ガ格 論述主題‐述格・法活用(断定法)
(α‐2= ω) 二次として 線形論理の層
《 (ω) S(主格)‐V(述格)‐O(対格).》
・ A love B.
・ B love A.
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言語表現を扱うにあたって 日本文とたとえば英文とを比較対照するというとき この基礎としての事実を捉えておくなら 何かと便利ではないか。
というよりも 英文に慣れ親しんでいる表現者は なぜ 彼のように言い表わし此のようには表わさないのかといった問題についてよく分析しうるのではないか。との予測をもって まづはこの基礎の問題を問いたいと考えます。
まづは基礎固めになりますが ちからをお貸しください。吟味し練り上げて行きたいと考えます。
お礼
回答ありがとうございました