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Schwingerの作用原理と摂動論
場の量子論の定式化には、正準量子化、Feynmanの経路積分による方法、Schwingerの作用原理がありますが、私はSchwingerの作用原理が気に入っています。それはこの方法が最初から量子場として出発できるからです。さてこのSchwingerの作用原理で、結合定数の変分について作用が不変であると要請して摂動展開を導くことはできないでしょうか。
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>私が言いたいのは、これが摂動展開ではないかということです。もしこれが正当化できれば摂動展開を導く最も簡単な方法でしょう。 摂動展開になっていることは間違いないと思います。 Schwingerの変分原理の形式解であるFeynmannのpath integral表示を 結合定数で展開したと見ることができると思います。 さて、正当化できるかという点に関してですが、 そもそも正当化とは何ぞやということはとりあえず置いておくことにして, >しかしLintが場の微分を含んでいる場合はどうかと考えると分からなくなってきました。そこで質問させて頂いたわけです。 とおっしゃるように、 Lintが場の微分を含む場合は単純にはいかないのではないでしょうか。 摂動展開に現れるのはLintではなくHintですから。 また、電磁気のように拘束系になる場合は 単純にはハミルトン形式に移れないためさらに問題です。 もちろん,上の方法が正当化できないと言う言い方はたぶん正しくなくて、 正準交換関係による定式化もSchwingerの変分原理による定式化も同値である以上、 通常の方法と上の方法を関係づけることは必ず出来ます。 展開したのちHamilton形式に移ったってかまわないわけで、 通常と同じ意味で難しさは変わらないと言った方が良いかもしれません。 通常の方法も、形式的に摂動展開をすること自体は大して問題はなく、 問題となるのは繰り込み効果も含め、 どうきっちりS行列を定式化するかそのものにあると思います。 そもそも、S行列をどう定義するかということを何の仮定もなしで 完璧に定式化するということは誰も出来ていないのだと思いますが、 もっとも妥当で、かつ多くの人が信じているのは LSZ reduction formulaに基づく定式化だと思います。 これは演算子形式に基づいていて定式化されますが、 経路積分が演算子形式と結び付いているのは 配位空間ではなく位相空間の経路積分です。 摂動展開も基本的にはHamilton形式でやります。 Lagrangianでいきなり扱えるのは拘束がない場合に限ります。 また,漸近場とのつながりは繰り込みを考えて初めて言えるわけで、 そのへんの議論もきっちりして初めて S行列の「正当化」というのだとすると, 上のように書いて摂動論が簡単に「正当化」されるというわけにはいかないのではないでしょうか。 繰り返しますが、S行列の定式化そのものの方が問題であって, 漸近展開をどうあつかうかはあまり問題ではないと思います。 通常の議論でも,展開自体はあっさりすませていて, むしろいろいろとごちゃごちゃやるのは 繰り込みの議論や拘束系との関連だと思います。 う~ん、こんな感じでgrothendieckさんの疑問に答えたことになっていますかね。 また、的外れなことをいっていたらすみません。
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- eae
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>Lintが場の微分を含んでいるときは(1)のようにしてはいけないはずなのに、私のやり方では(1)のようにできない理由が見当たりません。それとも摂道展開は(拘束のないときでも)Hamilton形式でしかできないことなのでしょうか。 簡単のため、場の理論でなく、普通の量子力学の場合を考えることにしましょう。 一般に相互作用が微分を含んでいても、 拘束系でさえなければ ハミルトニアンが運動量に関して2次までなら そこそこ一般に大丈夫ですね。 つまり、 f(x),g(x),V(x)を任意のxの関数として、 H=1/2 p^2 + k (f(x)p+g(x)p^2 +V(x)) とおくと、pの積分して \int dxdp exp[p\dot{x}-H(p,x)] =\int dx exp L(x,\dot{x}) となります。(\dot{x}はxの時間微分 こまかいt微分とか虚数単位とか省きました。) Lは上のHから得られるL。 微分の三次以上の巾を含む場合は確かめていません。 ちなみに場の理論で、繰り込み可能性を考えると 相互作用に制限がついて微分をふくむ高次のベキはダメになるから、 たぶん、現実的モデルとしては微分の2次を含むものまで 考えとけば良いようなきがします。 つまり、微分があっても拘束さえなければ かなり一般的に正しいといって良いのではないでしょうか。 ひょっとしてへんな考え違えをしているかもしれませんが取りあえずの返信です。
お礼
御回答ありがとうございます。お礼が遅くなって申し訳ありませんでした。おっしゃっていることがよく分からないのですが、相互作用が場の微分を含んでいるときはIを作用として δI/δe = ∫d^4x Lint とすることに問題があるような気がしてきました。例えば相互作用がφをスカラー場として ie(∂μφ†φ - φ†∂μφ)Aμ のような場合、部分積分して、 e∂μφ†φ Aμ → φ†∂μ(eφ Aμ) としてから δI/δe = ∫d^4x {δL/δe - ∂μ(δL/δ∂μe)} とすれば良いような気がしてきました。
>繰り返しますが、S行列の定式化そのものの方が問題であって, 漸近展開をどうあつかうかはあまり問題ではないと思います。 漸近展開->摂動展開 のあやまりです。すみません。念のため。
>Schwingerの作用原理で、結合定数の変分について作用が不変であると要請して摂動展開を導くことはできないでしょうか。 Schwingerの作用原理とはしぶいとこついてきますね。 少々質問の意味が正確につかめないので自信がありませんが、 こんなふうは回答ではどうでしょう。 まず、結合定数とは、 相関関数の母関数を作る際に導入する外場 J のことでしょうか。 もしそうだとすると(あるいはそうだとしても)、 Schwingerの作用原理はそもそも 「結合定数の変分について作用が不変である」べし というような原理ではないと思います。 通常やるように、母関数Jに関する変分をとって N点相関関数さらにはS行列要素を摂動的に計算することが Schwingerの作用原理に基づいてできるか? という疑問なのかと想像いたします。 (もし違っていたらすみません。) Schwingerの作用原理は、 遷移振幅<A,t1|B,t2>の変分が満たすべき関係式を Δ<A,t1|B,t2>=\int^{t2}_{t1}<A,t1|ΔL|B,t2> で与えるものですが、 そもそもこの関係を満たす遷移振幅<A,t1|B,t2>の形式解が Feynmannの path integral formula です。 従って、 Schwingerの立場でも摂動論を定式化できるか? という問いは Feynmannの path integralに基づいて摂動計算を定式化できるか? ということでありまして、 それはもちろんYESであります。 もしgrothendieckさんの質問の答えになっていなかったら ごめんなさい。
お礼
御回答ありがとうございます。まず私の質問が正確に述べられていなかったことをお詫び致します。そこで下に改めて質問させて頂きます。 ラグランジアン密度L が自由ラグランジアン密度L0 と相互作用 e Lint の和になっているとします。 L = L0 + e Lint ここで e は結合定数で、Lintは例えば Lint = ψ†γ0γμψAμ (0とμは添字) の様なものです。次にeが時間と空間の関数であるとし、これについてもSchwingerの作用原理が成り立つと仮定すると δ<A,t1|B,t2>/δe = i∫dt<A,t1|Lint|B,t2> 「結合定数は定数だ。定数について変分が考えられるはずがない。」と思われるかもしれません。しかし摂動論では場は漸近的に自由場になると仮定され、相互作用は断熱的にオンオフされるとされています。Bogoliubovの場の理論の本ではこれをt→±∞で結合定数が0にするという形で取り入れていたと思います。そうだとすれば結合定数の変分を考えてもおかしくはないでしょう。結合定数がe のときの振幅を<A,t1|B,t2>eとします。テイラー展開 <A,t1|B,t2>e = <A,t1|B,t2>0 + eδ<A,t1|B,t2>/δe + e^2/2δ^2<A,t1|B,t2>/δe^2 + … に作用原理を使うと <A,t1|B,t2>e = <A,t1|B,t2>0 + ie∫dt<A,t1|Lint|B,t2> + (ie)^2/2∫dtdt'<A,t1|T{Lint(t)Lint(t')}|B,t2> + … 私が言いたいのは、これが摂動展開ではないかということです。もしこれが正当化できれば摂動展開を導く最も簡単な方法でしょう。しかしLintが場の微分を含んでいる場合はどうかと考えると分からなくなってきました。そこで質問させて頂いたわけです。お手数をおかけしましたが、よろしくお願いします。
お礼
御回答ありがとうございます。確かにおっしゃる通りなのですが、Hamilton形式とLagrange形式が同等ならば、Hamilton形式でできることはLagrange形式でもできるはずではないかと思います。私のやり方では Hint = - Lint … (1) とおくと <A,t1|B,t2>e = <A,t1|B,t2>0 -ie∫dt<A,t1|Hint|B,t2> + (-ie)^2/2∫dtdt'<A,t1|T{Hint(t)Hint(t')}|B,t2> + … (2) となります。ここでLagrange形式を考えているので、Hintはハミルトニアンの相互作用項ではなく、「展開において、積分されるもの」、つまりHintはむしろ(2)で定義されているものとします。Lintが場の微分を含んでいるときは(1)のようにしてはいけないはずなのに、私のやり方では(1)のようにできない理由が見当たりません。それとも摂道展開は(拘束のないときでも)Hamilton形式でしかできないことなのでしょうか。