「クラスタートーン」ではなく、「トーン・クラスター tone cluster」です(笑)。
「音の房」「音群」という意味からも分かるように、狭い音程間隔にある
複数音が密集している状態の和音をいいます。一定音域内の音は
いっぺんにすべて鳴らす、といったほうが分かりやすいでしょうか。
特に厳密な定義があるとは、寡聞にして知りませんが、必然的に、
2度(長2度=全音、短2度=半音)間隔の音群になりますね。
具体的にいえば、ソ、ソ♯、ラ、ラ♯、シ、ド、ド♯、レ、レ♯をいっぺんに
ならしてみてください。これが(トーン)クラスターです。
記譜法では、2の方が仰るように、黒い塊が書かれている場合と(例えば、
ペンデレツキ)、一つ一つ、マメに音符を書き込んでいる場合(例えば、
リゲティ)があります。
実はトーン・クラスターを用いた傑作といわれる作品を、私たちは
非常に容易に聞くことが出来ます。キューブリック監督の映画「2001年」
ですね。この映画の中で、先述のリゲティの「アトモスフェール」という
曲が使われているのです。特に、主人公が道の領域に突入する、
最後の方のシーンで長く使われていますね。この曲はペンデレツキ
のいくつかの作品とともに、トーン・クラスターを用いた古典的作品
といわれています。お聞きになれば、お分かりいただけると思いますが、
単に「頽廃的」ではかたづけられないような、何か宇宙的な響きを
持つ忘れがたい音ですよ。
お礼
具体的でわかりやすかったです。映画も機会があったら観直してみたいです。どうもありがとうございました。