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「胡堂百話」に似ている本
最近、野村胡堂の「胡堂百話」を読み、とても面白かったので 似たような感じの本を探しています。 往年の文化人や政治家の身辺の話とか、 親交の深かった人がその人物について追想するようなものを読みたいです。 また、胡堂百話はこまぎれのエッセイみたいな感じだったのですが 当時(またはそれより前)の作家で同じように身の回りのことなど エッセイを書いている人がいればそれも読みたいです。 ぜひよろしくお願いします。
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中公文庫に入っている野村胡堂著『胡堂百話』ですね。 胡堂は『銭形平次捕物控』の著者として有名ですね。 実は、私は今、胡堂の友人の子息太田愛人氏の筆による『野村胡堂・あらえびすとその時代』(教文館、2003年)を丁度読んでいる所です。 この本には、彼を取り巻く多くの同時代人が描かれており興味をそそります。 例えば、石川啄木、宮沢賢治、高村光太郎・智恵子夫妻、内藤濯それに夏目漱石などといった文筆家や金田一京助、新渡戸稲造、内村鑑三、田中館愛橘、原敬といったキラ星のような有名人たちとの交流が爽やかに描かれており、巻末の参考図書の中には、多くの人物論に関する本が挙げられていますので、この中にあなたの求められているような本もあるのではと思います。 この本によると、胡堂は、報知新聞記者時代に処女出版した『傑物、変物、人類館』で、当時の有名人たちの人間像をゴシップ風に暴露し、大ひんしゅくを買い、その失敗がものすごいトラウマになったようですが、晩年になってインタビューした人物の回想を書いた『胡堂百話』及び『随筆銭形平次』、『面会謝絶』での筆致は、畏敬・尊敬に満ちており、『傑物、変物、人類館』の筆致とは大いに異なるようです。 他にも胡堂は多くの人物論のエッセーを書いているようですが、どれも人物描写の的確さが感じられ共感できそうです。氏が夏目漱石を訪ねる少し前に、「吾輩は猫」の孫が亡くなってしまい、タッチの差で会えなかった話とかも書いてあるようです。 その漱石にも、明治政府のお雇い外国人として東京大学で哲学、西洋古典学を教えた『ケーベル先生』http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/card770.html と題した小品があり、漱石の数多いエッセイ(例えばほかに『満韓ところどころ』など)の中でも最高傑作だという人も多いようです。 尚、数ある当時の人物評論の最高傑作といえば、やはり漱石の『吾輩は猫である』ではないでしょうか?
お礼
回答ありがとうございます! 太田愛人さんとは、はじめてお名前を聞きました。 胡堂百話でも啄木や田中館博士のお話はたくさん出てきましたので、 おすすめされた本をさっそく読んでみようと思います。 胡堂百話の中でも、少々人物の見方に偏りがあるように思われ、 またそこが人間味を感じてとても面白かったです。 ケーベル先生はいまは青空文庫で読めるのですね。 漱石は多く読みましたので、なつかしく思いました。 教養ある方からのご返答大変うれしかったです。ありがとうございました。