- ベストアンサー
「美し」を「はし」と読みますか。
「美し」は「うつくし」「うまし」「いし」「うるわし」等の他に、「はし」とも読んでいるのを短歌か何かで見たように思うのですが、辞書には見当たりません。「はし」と読む例はないでしょうか。ご存知の方教えてください。
- みんなの回答 (5)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
「美」を「はし」と読むのは、一に「名乗り」の範疇にあるようです。 「名乗:ハシ、ハル、ヨシ、ミ、ミツ、トミ、ヨシミ(姓)」(「大字典」講談社) 「なのり:うま、うまし、きよし、とみ、はし、はる、ふみ、みつ、よ、よし」(「学研漢和大字典」) 「人名:はる、はし、み、よし、みつ、とみ、よしみ」(「角川漢和中辞典」) 古訓の範疇に限定すれば、近いのは奈良期に「美麗」の意味を持ち「花ぐはし」「名ぐはし」「香ぐはし」と使われた「くはし」(参考:大野晋「日本語の年輪」)が近似と思われます。あるいは「波之(万葉仮名)」と記される「愛(はし)」との連想なのかも知れません。 いづれにせよ「名乗り」に用いられただけの「はし」は、訓はもちろん古訓でさえないので、人名用当て字として使用する以外では、芸術的表記に限ってのみ、その「邪宗門」の例のように、必ず振り仮名を添わせて表記すべき扱いであってしかるべきでしょう。
その他の回答 (4)
- Postizos
- ベストアンサー率52% (1786/3423)
古文でという事でしょうか? 岩波古語辞典には はし【愛し】 いとしい。可憐だ。したわしい。→うつくし とあり うつくし【愛し・美し】 《親が子を、また夫婦が互いに、かわいく思い、情愛をそそぐ心持ちを言うのが最も古い意味。 平安時代には、小さい物をかわいいと眺める気持ちへと移り、梅の花などのように小さくかわいく美である物の形容。中世末から近世にかけて、さっぱりとしてこだわりを残さない意も表した。 — 以下略 —》 とありますので「はし」に「美し」をあてる例が無いとは言えないのでは。 http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/nukata.html み吉野の玉松が枝ははしきかも君が御言(みこと)を持ちて通はく(万2-113) 「はしきかも」の万葉集原文は「波思吉香聞」のようです。 http://tmkc.pgq.jp/manyou/0113.html はしきに「愛しき」をあてている例が多いようですが 万葉仮名→後世訓読みをあてる という道をたどっているわけですよね。 http://gakubugakka.shingakunet.com/rnet/gakumon/p/column/78gakumon_column/19.html ここに — 『万葉集』における「美し(はし)」という言葉について研究しています。「はしきよし」と「はしきやし」など、わずかな違いで言葉の意味や印象が異なり、その違いを生み出した意図もちゃんとあるんですよ。 セルモ/私大 文学部 日本文学科 言語コース 4年 — と言っている人が居ます。日本文学科で指導教員も居ての研究と思いますのでおそらくあるのだろうと思料いたします。 また上の【愛し、美し】の経緯が正しいとしたら「美し」で「はし」の読みはありではないかという感想です。 ただ現代では通じにくい、はし→「愛し」のほうが妥当、という判断が普通かなとも思います。 現代短歌などで「愛し」と書きたくないのであえて「美し」ではしと読ませるのはありではないでしょうか。(読んだ人に質問者の方が感じたような違和感を持たせるのが狙いなのかもしれない。それが良い悪いという判断はしませんが。) 現代での使用例はこちらにありました。 http://www.google.co.jp/#hl=ja&q=%E2%80%9C%E7%BE%8E%E3%81%97%EF%BC%88%E3%81%AF%E3%81%97%EF%BC%89%E2%80%9D&oq=%E2%80%9C%E7%BE%8E%E3%81%97%EF%BC%88%E3%81%AF%E3%81%97%EF%BC%89%E2%80%9D&aq=f&aqi=&aql=&gs_sm=12&gs_upl=0l0l1l9855l0l0l0l0l0l0l0l0ll0l0&gs_l=serp.12...0l0l1l9855l0l0l0l0l0l0l0l0ll0l0&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.,cf.osb&fp=8117468f9995dcea&biw=1190&bih=752
お礼
各所から大変詳しく事例を挙げていただきありがとうございます。「美(は)し」については、以前から問題にされていたんですね。大いに参考になりました。 実はその後、『日本国語大辞典』(電子辞書版)を見たところ、「はし(愛)」の項に「いとおしい かわいらしい 慕わしい」だけでなく、「美しい」もあり、その用例として北原白秋の「邪宗門」の一節「かの美(ハ)しき越歴機の夢は・・」が引いてありました。そこで白秋の「邪宗門」を調べてみると、確かに「美」に「は」と振り仮名が付いています。ただほかにも「屋(いへ)」「大理石(なめいし)」「薫(くゆり)」等とあり、かなり当て字になっています。しかし少なくともかの有力詩人である白秋が「美(は)しき」と読んだことは判明しました。 従って「美(は)し」は広く通用はしていないが、日本語として許容範囲にあると言ってよい、と思いましたが、どうでしょうか。
- acerocker
- ベストアンサー率38% (5/13)
こんにちは。 今度は回答にもならないですが再度失礼しますw 中途半端な知識で回答しちゃってごめんなさい…w そこまで深く掘り下げると国語学者とかの レベルじゃないと難しいかもしれませんねw すくなくとも私くらいじゃ無理ですw 今回の質問は日本語の美しさ、楽しさ何なんかを 再認識させてくれたので私としては有意義でしたw ありがとうございます。 私ももう少し勉強してみますねw
お礼
感想をありがとうございます。
- acerocker
- ベストアンサー率38% (5/13)
こんにちは。 再度回答させていただきます。 美し→はし は いしい と昔は読まれていたそうです。 それが いし となり 響きが良い はし と読むようになったそうです。 私も学生時代に同じ疑問を持ったことがありましたw 古典の先生に聞いた話なので概ね当たっていると思っています。 (正直、こんな疑問を持つのは私だけだと思っていました) 辞書に載っていない理由は はし と 一緒くたにくくられているせいじゃないですかね? (これは私の意見です…)
お礼
いし→はしの説、ありがとうございます。 ただ辞書で見ると、「美(い)し」は今の「おいしい」の語源のようですので、「美(は)し」が美(うつく)しいというニュアンスの意味なら少し違うようにも思えますね。ご紹介の 小春日におろして美しき鯛の肉 陥ちてなほパリ美しと聞く冬の虹 についても、「小春日・・」は句意から「いしき」とも取れそうですがどうでしょう・・。「陥ちて・・」は句意から「はし」でしょうね(これも「うつくし」と読めないこともないですが・・)。 はっきり「美(は)し」と読んでいる例を更に教えて頂ければ有り難いです。
- acerocker
- ベストアンサー率38% (5/13)
こんにちは。 小春日におろして美しき鯛の肉 陥ちてなほパリ美しと聞く冬の虹 などありますね。 愛(は)しきよしなんかより強調するときに使われたりします。 現代の日常で使わないですけどねw
お礼
早速に明快な回答をありがとうございます。すっきりしました。ただ辞書(手元の古語辞典も)に無いのはどうしてでしょうね。お礼まで。
お礼
一般的訓読みではなく人名用「名乗り」の読みからとのご見解、当方には新知識でしたので漢和辞典などにも当たってみましたが納得できました。とすればやはり白秋の例などから考えても、広く許容ということではなく詩歌などに限って使用も可、というあたりが現段階では妥当な判断かと思われました。大変参考になりありがとうございました。