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「解消」の使用法
「(電車の)踏み切りを解消する」と言う用法は間違いではありませんか?最近何かと話題の開かずの踏み切り(状態)を解消すると言うように状態であるとか、契約等は「解消する」かと思うのですが、踏み切りその物に対して「解消する」を使用するのはどうしてもおかしいような気がしてしまうのですが。 ご回答よろしくお願いいたします。
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「踏切を解消する」という言い方は,都市計画や交通工学といった方面では,昔からよく使われている用法です。 たしかに,国語辞典などを見ても,おっしゃる通り解消されるものは「状態」「契約」などとなっており,本来の言い方としては 「踏切を取り除くことで交通渋滞を解消する」なのでしょうが,「渋滞の解消」とならんで「踏切の解消」もでてきます。 理由を考えてみたのですが,おそらく「踏切」という言葉の受け止め方が,一般の人と,関係者とで異なっているのだろうと思います。 一般の人は,踏切=「鉄道線路と道路が同じ平面上で交わる所」(日本国語大辞典より)のように,「場所」としてとらえることが多いでしょう。 しかし,都市全体の計画だとか,道路交通の把握などといった視野に立って考えた場合,「踏切」はおそらく「状態」という意識になるのではないでしょうか。 つまり,「線路と道路を交わらせる場合の,交わらせ方の一つ。」という感覚です。 交わらせ方には,他に鉄道を高架にするとか,逆に道路のほうを下にくぐらせるとか,場合によっては「事故が増えたので踏切を廃止して,柵を作って,車や人は迂回してもらう」とか,いろいろ選択肢があるわけで,その「選択肢のうちの一つ」 として“ここの交差点(鉄道と道路が交わるところ,の意味です。念のため)は,今は「踏切で交わる」という状態になっているけれど,「高架で交わる」という状態に持っていきたい”とか,そんな感覚でとらえるのだろうと思います。 その結果,「踏切を解消して立体交差にする」といった言い回しになるのでしょう。 いいかえれば,一般の人は,踏切に立って遮断機が上がるのを待ちながら,目の前の「踏切」という交差点だけを見ているのに対し,鉄道会社や道路の管理者や自治体の担当者などは,鉄道・道路網の全体像を視野に入れながら,どうやったら渋滞が減らせるかを考えている,という違いです。 (あと,しょっちゅう使っているうちに,長いので省略されてしまい,「パーソナルコンピュータ」が「パソコン」になったように,「踏切を取り除くことで交通渋滞を解消する」→「踏切を解消する」となった,という要素もあるでしょうね。) いくつか,インターネット上で見つけた事例を紹介しておきます。「踏切を解消」の部分は【 】で囲んであります。 「連続立体交差事業とは、2ヵ所以上の都市計画道路と鉄道を連続的に立体化することで、【踏切を解消し】、道路交通の円滑化や運転保安度の向上を図ると共に、周辺の街づくりにも大きく貢献するもので…」 (京王帝都電鉄 会社概要より) http://www.keio.co.jp/company/gaiyou/keio50/3_2/01.htm 「JR南武線(矢野口駅~南多摩駅付近)及び京王線(調布駅付近)の連続立体交差事業は、【踏切を解消し】、交通渋滞の解消、道路・鉄道の安全性の向上、市街地の一体化を図るものであります。」 「連続立体交差事業により【踏切を解消し】、交通渋滞の解消、道路・鉄道の安全性の向上、市街地の一体化を図るものであります。」 (国土交通省 地域戦略プラン「多摩川中流部の架橋、区画整理事業、連続立体交差事業など都市基盤整備」) http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/chiikiplan/tokyo22b.html 「渋滞の原因となっている交差点や橋、踏切などの【ボトルネック箇所を解消する】。」 「渋滞の原因となっている【踏切を解消する】とともに、鉄道と道路の安全性向上及び分断されていた市街地の一体化を図る。」 (東京都 「東京構想2000」より「道路交通の円滑化」) http://www.chijihonbu.metro.tokyo.jp/keikaku/2000/plan/plan2.htm 「今後、交通渋滞がボトルネックになっている【踏切の解消】に加えて鉄道沿線のまちづくり計画を総合的に進めるため、関係機関に働きかけていきたいと考えています。」 (東京都目黒区 「東急東横線都立大学~自由が丘駅間連続立体交差事業の推進に向けて」) http://www.city.meguro.tokyo.jp/tosikei/toyokosen/tyosa/index.htm 「○【開かずの踏切の解消】 ・朝夕の混雑時に発生していた交通渋滞が解消されます。 ・日常の移動時間を短縮するとともに、消防車などの緊急車両の到着時間が短縮されます。」 (国土交通省 中国地方整備局 建政部 「連続立体交差事業の効果」) http://www.cgr.mlit.go.jp/chiki/kensei/machi/002.html 他にも数多くの使用例が見られます。 一種の専門用語といってもいいかもしれません。 「自信あり」の方から,「NHKや新聞ではありえない」「私たちが普段使っているような変な日本語」という指摘がなされました。 確かに,ニュースや新聞記事などでは,字数に制約の多い見出しなどは別にして,本文ではなるべく,“「開かずの踏切」を解消”のような書き方で「状態」であることを強調しようとしているように見受けられます。 しかし,全く見られないわけではありません。 「…私鉄への補助金で、【踏切解消】に弾みをつけるよう求めている。」(東京新聞2003年11月24日朝刊) 「沿線自治体などは1969年、【踏切解消】と混雑緩和などを目的に、三鷹―立川間立体化複々線促進協議会を設立。」(読売新聞多摩版) 「(道路特定財源が)地方に手厚く配分される現状では、【踏切解消】は進まない。」(毎日新聞2001年6月16日朝刊) 「事業は調布駅周辺の【踏切解消】などのため、京王線と京王相模線の計3.7キロ間を地下化する工事。」(日本経済新聞2003年10月9日) また,ことは単なる日常会話での言い間違いというレベルではなく,専門用語・業界用語としては定着しているといってよい言い回しを,どう評価するかという問題なのです。 したがって,単に自分が耳慣れないからというだけで,「間違いだ」と決めつけ,マスメディアの質を云々するのは,ポイントがズレているのではないでしょうか。 次のような主張であれば,一定の筋は通ると思います。 たとえば, (1)「専門用語としては正しいからといって,マスメディアがそのまま流すのは誤解のもとだ」 (2)「そもそも,専門用語としてもこういう言い方は誤っている」 (3)「踏切は場所を指す言葉であって,それを「交差させる仕方の一つ」とか「状態」ととらえる発想自体がおかしい」 など。 なお,私個人の考えをかくと,(1)は一般論としては賛成。(2)(3)には反対です。つまり,専門用語としては合理性のある表現であり,そのまま使っていい。記事などではなるべく「状態」に限って「解消」という言い方をした方が,一般読者・視聴者にあまり違和感を与えずにすむが,文脈により他の言い方がしにくい場合などは,十分に意味が通ると思われればそのまま使ってもよいだろう,と思っています。 なんだか,理屈抜きに「おかしい」「誤り」の大合唱になりそうだったので,詳しく実例をあげて説明してみました。長文になってしまってスミマセン。
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- puni2
- ベストアンサー率57% (1002/1731)
No.3です。 >鉄道会社等から見ると踏切=悪、ゆえに「解消」と表現、と考えてもみましたが、日常の風景の中の踏切は、 >良い事も少なくありません。皆さんのお答えを拝見し、解消を使って良い踏切と悪い踏切があっ >ても良いのかもと思いました。 そうですね。おそらく,鉄道会社の人も,踏切をなくすことを全部「解消」とは言わないのではないでしょうか。 「解消」という言葉を使う時は,話の前提として「この踏切は,交通渋滞を引き起こしている」「なかなか渡れない」という問題があって,そのうえでそれを解決するために「踏切を解消する」という言い方をするのだろうと思います。 (回答といえるほど自信はありません。半分感想のようなものです)
お礼
またまた有り難うございます。鉄道会社の方が人がホームから落ちて電車にひかれたり、駅の階段から転げ落ちて骨折するのは踏切事故と比べれば規模が小さいからいいと言っていたのを思い出してしまいました。そう言う所こそ解消してくれると良いですよね。(と勝手に同意を求めてしまいました。)
- osa-kun
- ベストアンサー率64% (48/74)
日本語の正しい使い方としてはおっしゃるとおり誤りです。明らかにおかしいです。 「問題を解消する」ということでしょうから、伝えたいことはわからないわけでもないのですが…。 おそらく民放の番組でお触れになっているかと思いますので、もしお気に召さないようであれば、 その局の視聴者センターに堂々と意見しておきましょう。 同じメディアでも、NHKのニュースや新聞の報道ではありえない話です。 意識レベルやチェック体制の違いの表れといえるでしょう。 私たちが普段使っているような変な日本語をテレビなどのオフィシャルな場で使うことは、 その影響力からしてNGでしょう。ご質問の例以外でも、「押しも押されぬ」や「とんでもございません」、 「的を得る」などを誤りとするのは、日本語の成り立ちからして説明がつかないからです。 そのような説明のつかない日本語を慣用的に使うことは慎むべきだと思います。 “隗より始めよ”ではないのですが、「ことばが乱れている」とたびたび問題視しているメディアこそ、 言葉やその使い方を意識しなければならないと思います。
お礼
言葉の乱れなのか、時代の流れに沿った変化なのか難しい面もありますが、私自身、まずは判りやすく、人に不快感を与えないような言葉使いを心がけるべきであることを、気付かせていただきました。有り難うございました!
- jenna
- ベストアンサー率13% (46/340)
貴方のおっしゃるとおりで,言いたいこととは違った意味になりますね.本来は「踏切の開かずの状態を解消する」と言うべきところを,『の開かずの状態』を省略してしまっていると思います. 踏切をなくすという意味で,踏切を解消すると言ったとしてもまたおかしいですよね.
お礼
有り難うございました。「正しい」「正しくない」は別としても、「おかしい」と感じる方が他にもいらっしゃることが判ってちょっとほっとしました!
お礼
長編大作のお答え有り難うございました。随分時間をお取り頂いてしまった事と思います。鉄道会社等から見ると踏切=悪、ゆえに「解消」と表現、と考えてもみましたが、日常の風景の中の踏切は、良い事も少なくありません。皆さんのお答えを拝見し、解消を使って良い踏切と悪い踏切があっても良いのかもと思いました。