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セシウム137の人体への影響
- セシウム137の影響が心電図に現れる
- 体内に取り込んだセシウム137の影響は10E-10gから生じる
- 地域の放射線量からセシウム137の存在量を推定する
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放射線による人体への影響ですが、基本的には放射線による「電離」によって、細胞が破壊されたり、癌化したり、遺伝子に損傷を与えることにより発生します。ただし、人体には局所的な細胞レベルの損傷を修復する力もありますので、特に「少量を長期に」被ばくした時の影響は、明確なことは分かっていません。 これを踏まえると、 >"30Bq/kgのセシウムを取り込んでいる幼児には心電図などで影響が出る" の意味が分かりません。もともと、人体には放射性の炭素14やカリウム40が存在しており、体重60kgの人で6000ベクレル程度の放射線を体内で出しています。10kgの幼児でも1000ベクレル、1kgあたり100ベクレルです。 「30Bq/kgのセシウム」でどんな影響が、しかも急性で発生するというのでしょうか。しかも、放射線で「心電図などで影響が出る」ことは考えられません。 この情報の出典は一体何でしょうか? 不確実な情報に基づく無駄な議論はやめましょう。 従って、「A」は「30Bq/kgのセシウム」では影響が出るとは考えられません。 ちなみに、「セシウム137は3E12Bq/g」というのは、「天然には存在しないセシウム137を1g集めたら」という意味であり、そんなに集中して存在することはあり得ません。 この手の議論には、とてつもない桁数が出てきますが、そもそもグラムオーダーの物質の「原子の数」は、「アボガドロ定数:6×10E23」の世界ですので、幻惑されないように注意してください。 「B」については、セシウムは、骨に蓄積されるストロンチウムや、甲状腺に蓄積されるヨウ素と違って、特に蓄積・吸着することはないといわれています。従って、取り込まれた場合には、通常の生体の新陳代謝の流れで一定期間体内にあるということになります。この間、体内で被ばくすることになります。 下記のWikipediaでは、「経口で10000 Bqを摂取した時の実効線量は0.13 mSv」とあります。単位時間のmSv/hではなく、体内に留まって被ばくする「積算量」であることに注意してください。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0137 「C」については、下記の「日本物理学会」サイトにあるように、セシウム137はベータ線を出し、ベータ線は空気中でも1~2m、人体の皮膚程度で止まるので、外部からの影響はほとんどなく、危険なのは体内に取り込んだ内部被ばくです。 http://radi-info.com/q-293/ ただし、セシウム137はガンマ線も出します。この影響は、上記Wikipediaのよれば「1 mの距離に1.00 MBqの線源があった場合、ガンマ線によって1日に1.9 µSv」とのことです。「1日に」ですから、 µSv/hに換算するとこの1/24ということです。 外部のセシウム137の影響はこの程度ということです。 結論からすると、「A」「B」「C」とも、「大した影響はない」ということになるのでは。 ただし、最初に書いたように、少量の被ばくを長期間継続すると、どのような影響が表れるかは分からない、といううことですので、少ないに越したことはありません。ただし、「ゼロ」以外は危険、という「0か1か」ということではなく、上にも書いた「自然界の放射性物質により、体重60kgの人で6000ベクレル程度の放射線を体内で出している(これは一生続く)」という現実との定量的評価で判断する、という論理的な対応が必要と思います。(ベクレルは、1秒あたりに発生する放射線の数です) なお、放射線の影響は、「放射線の種類」(ベータ線、ガンマ線)、被ばくのルート(対外、体内)と被ばく線量、人体への影響、といった側面から評価することが必要です。 質問者さんがおっしゃる、 >Bqは崩壊できる回数。崩壊する物質が決まれば完全に安定した物質になるまでに放出されるそうエネルギーEが決定される >この総エネルギーEは全方向に当方的に放出される。そのエネルギー密度(フラックス)は距離と崩壊頻度(半減期など)によって定まる。 >このエネルギー密度E/m^2sを人体の有効断面積Sで乗じて、生物に影響を与える係数を乗じたものがSv/sだと理解しています。 に関しては、これらのプロセス全てを考慮して「シーベルト(Sv)」という単位になっています。「シーベルト」は、「生体の被ばくによる生物学的影響の大きさ(線量当量)の単位」ということです。たたし、これは「積算量」「総量」であって、線量の測定には単位時間当たりの被ばくの量として「シーベルト/時」(Sv/h)が使われます。この2つは、混同すると大変なことになりますので、注意してください。(マスコミも、事故直後は混同することが多かったようです) 質問者さんは「自分は一応理工系ですのである程度の物理概念は理解できる」とのことですので、是非ご自分の手で「定量的な計算」をしてみることをお勧めします。残念ながら、日本のマスコミはほとんど「おかみの発表」「東電の発表」を伝えるだけで、それがどの程度のものなのか、適切に理解・評価して報道できていませんので。「重大なこと」と「些細なこと」をきちんと第三者の立場で検証して伝えてほしいものです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 遅くなってしまい申し訳ございません 大変わかり易い説明有難う御座います。 おっしゃるように概算してみようと思いまして必要そうなデータを集めていたのですが いかんせん放射線に対するリテラシーがないので嘘っぱちのデータとかが全く見抜けないので困っています。 セシウムがあまり人体に蓄積せず 10000Bq分吸い込んで排出されるまで0.13mSvとなるのは理解できました。 Svは言ってみればJのオーダーなのですね。 とおもってwikiをみてみたら/kgがついているのか・・・ どこからきたのでしょう? 吸収線量の単位自体が1J/1kgとなっていますけど これはつまり体重50kgの人と10kgの人に影響する放射線は5倍違うのでしょうか? (もしこれが正しいのならば、人体への影響を一律でmSvとかの単位で扱っているということは、放射能の人体への影響は倍半分とか10倍くらいのオーダー程度の精度?分解能?しか持たないということになるのでしょう。) さて、件のデータですが引用がダメかも知れないので本から見つけたと記しましたが実際は 北区・放射線・守る会でヒットする10/30の日記からです。 それによりますと "セシウム"を30Bq/kg蓄積すると、と書いてあります。 人体が100Bq/kg程を持っていることは全く知りませんでしたが、その事実があるならば、この文章はセシウムだけで30Bq/kg相当体内に蓄積してしまった場合と読めるのかなと思います。 (ただ、放射性物質の塊である人体の中でセシウムが30Bq/kgあるよと観測する装置があるということに興味を覚えます。自分も一応実験系ですので、100Bq/kgのノイズがある中で30Bq/kgを特定する難しさはなんとなくイメージわくのですが、このデータやっぱり胡散臭いのでしょうかね?(笑) ここではこの文章が正しいと仮定して、 となると、短期的には10000Bq吸い込んだ場合0.13mSvの影響を人体は受、セシウムはほぼ完全に排出されますが、 10000Bq吸いつづけるととやはり完全には排出されずに長期的には30Bq/kg程度の蓄積で人体に悪影響が出ると理解できるのかなと思いました。 ここのデータだけだと30Bq/kgの蓄積に至るまで幼児がどの程度の放射能に曝されたのかデータがありませんのでこの事に関する概算はこれだけじゃ無理なようですね。 ひとまず10000Bqで0.13mSvというのはおかげ様でわかりましたので、 最悪のケースとして燃料棒がすべてセシウムになったとして日本全国に散らばった場合日本は平均何Bqのセシウムが単位面積?あたりに存在するのか計算してみます。 この計算でかなり低い値が出れば放射能はあんまり気にしなくていいんじゃないかなって結論になると思っています。 やっぱり体内に取り込まれたセシウムは最終的には下水に流れることになるのでしょうか?