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不確定性原理の解説
- 不確定性原理とは、ミクロな物質の位置や速度を確率的にしか測定できないという原理です。
- ミクロな物質の一部を正確に測定しようとすると、他の部分が不正確になっていくという性質があります。
- このため、未来の出来事を予言することや過去の出来事を確率的に表現することしかできないのです。
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>(1)「電子のようなミクロな物質は位置や速度が確率的にしか測定できない」 >(2)「ミクロな物質は、ある部分を正確に測定しようとすると他の部分が不正確になっていく」 おお、これを素直に理解されるとは。素晴らしいです。この二つを、ひじょーーに、大雑把に式の「ようなもの」で、まとめてみましょう。下で示す式は特に(2)をよく表します。 「位置」と「運動量」の測定誤差の関係が有名ですから、それを使いましょう。この二つをできるだけ正確に測定しようとしても、 「位置の『測定誤差』」×「運動量の『測定誤差』>「不確定性原理がいうある一定の値」』 となるんですね。運動量では今回の話がすっきりとは見えにくいので、運動量=質量×速度ということで書き直すと、 「位置の『測定誤差』」×「速度の『測定誤差』>「不確定性原理がいうある一定の値」』 ということになります。位置を正確に測定すればするほど、速度の測定誤差がそれに対応すて大きくなってしまう。測定が速度を正確にすれば、位置の正確さが犠牲になる。そういう、測定の正確さが、位置と速度で、両立しない、つまり、片方をよく見ると、もう一方がぼやける、というわけですね。 測定するのを、電子としましょうか。電子は、観測していないときは、「確率的に分布」しています。これは、お聞きになったことがあるでしょうし、それに基づいて計算した結果をイラスト化した、そうですね、高校化学の教科書や参考書の巻頭カラーページのイラストで奇妙な形の原子が描いてあったりしますね。 しかし測定してみると、そんな雲は見えず、ちゃんと点に近い感じで、どこかある位置に、ある速度で存在していることが測定できます。逆に言えば、上述のような雲を観測することはできません。観測すれば「確率的に分布する」ことを、電子は止めてしまうのです。 ちょっと量子力学誕生以前の、19世紀の物理学に戻ります。量子力学のように正確さの制限はなく、理屈ではどこまででも正確に分かると思われていました。 19世紀の終わりごろ、物理学は発展し尽くして、もうこれ以上研究することがないと思われていました。 ニュートン力学の有名な公式、F = maのaって加速度ですけど、これは速度vの微分(微分は変化の率ですね)、さらに速度は位置xの微分(速度と同様)です。時間をtすると、力Fが時間で変化することがはっきりするよう念を入れてF(t)と書くことにすると、 F(t) = m×dv/dt, F = m×dx^2/d^2t という微分方程式というものができます。二つの粒子を考えると、F(t)は、二つの粒子のそれぞれの質量と距離で決まる万有引力、同様に電荷(どれくらい電気を帯びているか)で決まる電磁気力で確定することができます。 宇宙に、たった二つの粒子しかないとして、ある時刻の二つの粒子の位置と速度が分かれば、その時刻以降の二つの粒子の、動き(位置と速度)は上の二つの微分方程式で、どんあ時刻tでも、完璧に計算できます。つまり、二つの粒子の未来(位置と速度)は、直後からどこまで遠くの未来だって、完璧に分かります。 ここで、二つの粒子の過去はどうかと考えてみます。実は、上の二つの微分方程式は時間tをマイナスの方向に、つまり過去へと遡るようにしても、未来へと全く同じに何も問題なく答えを出せます。つまり、未来の場合と同様、直前からどんな遠い過去(位置と速度)でも、完璧に分かります。 これが、粒子が二つであろうが、どんなにたくさんであろうが、個数が無限大でない限り、つまり有限の個数なら、同じく全ての粒子の未来でも過去でも、それぞれの位置と速度は完璧に計算できます。そして、物質は電子と陽子と中性子という粒子(素粒子)でできていることが既に分かっていて、その質量も電荷も分かっていました。 そのため、次のようにように考えられていました。 「いつでもいいから、ある時刻tでの、全宇宙の全ての粒子の位置と速度を知ることができて、無限大の能力の計算機があれば、全宇宙の無限の過去から無限の未来まで、全て完璧に計算できる。つまり、宇宙の無限の過去から無限の未来までの歴史が、計算で完璧に分かる。」 これができる存在(人間でも天使でも悪魔でもいいんですが)を、「ラプラスの悪魔」の悪魔と名付け、宇宙は人間では力不足で分からないけど、理屈では全てのことは無限の過去から、あらかじめ決まっていると考えていました。 そこで量子力学が登場して、不確定性原理を実験などで証明して、「位置と速度は、どっちも同時に完璧に測定することなんてできないよん! ざまあみろ!」と宣言しちゃいました。 つまりラプラスの悪魔は絶対にありえないことを証明してしまいました。完璧に測定できない、を量子力学的に言い換えると、確率的にか分からない、ということです。 宇宙のある時刻tの、どんな粒子だって、位置と速度は、確率的にしか分かりません。 ですので、未来の様子を計算しようとしても、「確率的にしか未来は分からない」、つまり遠い未来ほどかすんでぼやけて見えてしまうわけです。過去を振り返ろうと計算しても同じです。遠い過去ほどかすんでぼやけて見えてしまいます。 人間は無限の過去から宇宙を見ていたわけではありません。もちろん、未来を今みることができないのは、もちろんです。であれば、物理学の法則を使って、未来はもちろん、過去についても計算するしかありません。ところが不確定性原理が立ちふさがり、一定以上に正確には計算できないのです。 たった二つの粒子から全宇宙まで、不確定性原理的には同じです。どんな物事についても、未来は確率的にしか分からないし、そもそも確率的にしか決まっていない。過去はもう決まったものだけど、それを知ろうと計算しても、確率的にしか分からないわけです。
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- chiha2525
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(3)については、二重スリット実験を参考にされるのが分かりやすいと思います。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%87%8D%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E5%AE%9F%E9%A8%93 光子を1つ飛ばしたとき、2つのスリットのどちらかを通って後ろのスクリーンに到達しているはずですが、どちらを通ったのかは分からないのです。
お礼
回答ありがとうございました。参考になりました。この実験についても勉強してみたいと思います。
- tac351115
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具体的な例で言うと、小さいものを見るには顕微鏡で見ますね?見るためには光を当ててその反射光を観測します。ところが、小さいものに光をあてるとそれだけで弾き飛ばされて軌道が変わったり状態や位置が変わってしまうので正確な位置と速度が同時にはわからないのです。 電子顕微鏡の場合は、光の代わりに電子を当てて観測しますが、この場合も同じことが言えます。
お礼
回答ありがとうございました。とても分かりやすい解説で納得が行きました。
お礼
詳しい解説ありがとうございました。とても参考になりました。なるほど、確定した過去を計算で割り出そうとしても確率的にしか分からない、という事だったんですね。この点は疑問が解決しました。