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歴史小説に登場する彗星とは?
- 歴史小説には「ほうき星」の描写がよくありますが、これはフィクションです。
- しかし、一部の小説では実際の事実を元に描かれている場合もあります。
- 彗星は物語の雰囲気や登場人物の心情を表現するために使われています。
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まず有名な周期彗星であるハレー彗星は、歴史的に記録が残っている出現だけで、1986年、1910年、1835年、1759年、1682年、1607年、1531年、1456年、1378年、1301年、1222年、1145年、1066年、989年、912年、837年、760年、684年、607年、530年、451年、374年、295年、218年、141年、66年、紀元前12年、同87年、同163年、同240年と30回以上ありますので、このころに彗星が現れたと言う記述があれば、ハレー彗星である可能性がひとまず想定されます。 持って回った言い方になっているのは、ハレー彗星が回帰してきた年に明らかに別の明るい彗星が出現した例があるためです。例えば1910年のハレー彗星は5月に明るくなりましたが、この年の1月には別の明るい彗星が出現しています。また684年9月の出現は「日本書紀」に記載されていますが、この年には他にも2つ彗星が出現しており、このうちの一つ(年末から翌年初に出現)は日本書紀にも書かれています。したがって文学に登場する彗星をハレー彗星であると断定するには、年だけでなく月日や出現した位置(見えていた星座)、形、明るさなどの情報が必要な場合もありますが、歴史小説にそこまで詳細な描写を求めるのは酷かもしれません。 この他の彗星について、周期彗星と単発的に出現した(放物線に近い長周期の軌道の)彗星を合わせて年表形式で網羅的に紹介したサイトがあればご質問の目的に最もかなって便利だと思いますが、そうしたサイトの有無を私は知りません。 周期彗星とそれ以外の彗星については、wikipediaなどに別々の一覧表として出ています。「彗星の一覧」検索してみてください。なお周期彗星の過去の出現や、単発的に出現した大彗星の個別の見え方に関しては天文関係のサイトに詳しいものがあります。 書籍では「日本天文史料」(神田茂著)と「近世日本天文史料」(大崎正次編)は、彗星だけでなく天文現象全般に関する日本の史料を出典付きでまとめたもので、基本史料集として役に立ちます。前者が慶長5年(1600年)まで、後者が慶長6年(1601年)から慶応3年(1867年)までを扱っています。この両書は復刻版や再版も含めて大きな図書館にはあるのではないかと思います。また「大日本史」巻之三百五十九や「古事類苑」天部二(星)などにも彗星関係の記載が豊富です。 一方中国関係では正史には「天文誌」や「天象誌」がありますので中国史を扱った小説を読むときの参考になると思います。ただし、日本や中国では彗星の出現を天変地異や凶事と結びつける考え方が強いので、昔の史書の記載にはこの点についての配慮もあり、現代の客観的な観測記録とは性格が異なることには注意が必要です。なお余談ですが中国では彗星をその形・色などで細かく分けて彗星以外でも様々な名称で呼んでおり、中には「蚩尤之旗」など、天体とは思えないようなものさえあります。
補足
たいへん詳しい解説をありがとうございます。 「日本天文史料」と「近世日本天文史料」は図書館にあり、借りられることも確認できました。 とりあえず、この2書の記述を覗いてみようと思います。 彗星の軌道要素の一覧表は「Catalogue of Cometary Orbits」に発見年月日の記述もあったように思いますが、その昔に眺めただけなので不確か。 これは図書館では見当たらず、Amazonで1983年版(963円)を見つけましたが、発見年月日の記述を確認したいし、どうせならもう少し最近の版が欲しいので、ただいま検討中です。 まずは日本の歴史に出てくるものから齧りはじめてみようと思います。 中国史を扱ったものはそれから先のハナシとして、ご説明を心に留めておきたいと思います。 たくさんの情報をありがとうございました。 ●回答各位 日本の歴史小説に彗星、ほうき星、箒星などが出てくる場面がありましたら、書名とその場面を探すための情報(ページなど)を教えてください。 この質問はしばらくノンビリご回答を待ちたいと思います。 よろしくお願いします。