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ダイヤモンドって自然に黒鉛化するの?
物質物理に詳しい方教えてください。 ダイヤモンドについて本に書いてあったことで気になることがありました。 「ダイヤモンドは超高圧下で安定であり(常温常圧下では準安定)、われわれの生きる常温常圧下では炭素固体相は黒鉛が安定相であり、安定相でないダイヤモンドはやがて黒鉛化する・・・その進行速度が極めて遅いので永遠に黒鉛化しないよう見えるだけ・・・」というような内容のことが書かれておりました。 650度C以上の高温下ではダイヤモンドは大気中の酸素と結びついて二酸化炭素化が進行しやがて蒸発してしまうことや、850度C以上の無酸素雰囲気下では黒鉛化が進行することは知っていますが、仮に永遠に常温常圧条件が成り立つとして、それでも十分時間がたてばダイヤモンドは酸化・蒸発したり、黒鉛化するのでしょうか?
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人工でのダイヤモンドと天然ダイヤモンドのつくりはあまり変わりません。 しかし、いま市場に出回っているのは天然ダイヤモンドで、だから、ばかに高いのです。 人工ダイヤモンドはもし市場に出回るとすれば天然ダイヤモンドよりも格段に安いですが、市場には出回っていません。人工ダイヤモンドの目的は、工業での使用なのです。 結晶は等軸晶系で、6面体、正8面体、12面体、24面体などの結晶形をとります。
お礼に回答いたします。 ダイヤモンドができる過程として、プレートの移動や、マグマの露出、地殻変動によって黒鉛のもととなる物質が地下深くでとどまり、高圧をうけて微量のダイヤモンドになったりします。 このため、火成岩の中にあるものや、変成岩のなかや、マグマとの接触部分などにふくまれていることがまれにあります。このように、ダイヤモンドが自然界に存在するとはいえますが、それをみつけるのはかなり大変なことです。ですから、ダイヤモンドの産地というのは限られているのです。 今話したとおり、ダイヤモンドが酸素に触れたりすることはごくまれで、ほぼ閉じ込められているという状態で地球上に存在しているわけです。 ですから、蒸発というよりは、高圧による黒鉛化の方が進行が早いと思います。 また、目に見える岩石で黒鉛化をしているものを見たことがないとありますが、これは、もちろん目に見えるということは酸素と触れているということとほぼ同じですから、無酸素中での黒鉛化という条件にそぐいません。 また、人工ダイヤモンドと天然ダイヤモンドにたいした変わりはありません。値段だけです・・・(笑)
お礼
素晴らしい回答をご教授をいただき、誠にありがとうございます。 自分の無知を痛み入ります。 小生、宝石学の方を少しかじっており、宝石品質の原石やカットされたダイヤモンドはなじみぶかいのですが、固体物理や熱力学、反応速度論的な角度からは無知でして・・・・。 非科学的ですが、消費者は何百万円もするダイヤモンドに永遠性を期待しており、商業的にも永遠不滅的なイメージを持たせておりますよね・・・。 学術的厳密さから言えば、いつかは蒸発してしまうとか、黒鉛化してしまう存在ですとは、口が裂けても言えない話ですが・・・。 ご回答の明晰さから教授か専門家の方だと推察致しますが、もし合成ダイヤモンド(X線光学素子用)のことに詳しければ、結晶性についてご教授いただければ・・・と思います。
します。 ただ、熱を加えながら酸素を吹き付けることで、蒸発させるという実験をしたことがあります。 酸化というのは、常温でも起こっていますが、熱を加えることで進行を早めることができます。 そのため、少しずつ蒸発ということは言えるでしょう。 しかし、常温常圧の条件内では、酸素があるため、結びつき、黒鉛化よりも蒸発の方が進むと思われます。さらに、黒鉛化が進むのと同じように、逆に、黒鉛に高い圧力を一瞬でかけると、ダイヤモンドに変わります。これが人工ダイヤモンドといわれるものです。 あと、「度C」という書き方はやめましょう。
お礼
ご回答ありがとうございます。 また「度C」なとと無学をさらけ出す書き方をして恥ずかしい限りです。申し訳ありませんでした。 ダイヤモンドの燃焼実験をされたのならその分野のかたとお見受けします。 さらにご教授いただければありがたいです。 何億年も前に地上に噴出したキンバーライトの中にダイヤモンド原石があるわけですが、現実にダイヤモンドが豊富に存在するということは、その程度の時間では黒鉛化や蒸発は、ほぼしないということでしょうか? 原石表面の融解の痕跡は、高温のまま地表に上がった際に発生していると思えます(キンバーライト表面に露出してなければ酸素に触れないから)その後もわずかに進行していると考えていいのでしょうか。 また、インクルージョンとして黒鉛がみられる原石は多いですが、原石全体がほぼ均質に黒鉛化進行途中(アモルファス状態?)と思える原石を私は見たことがありませんが、そのようなものがあるのでしょうか? また、HPHT合成ダイヤモンドやCVD合成ダイヤモンドは天然ダイヤモンドより常温常圧下での酸化や黒鉛化は早いのでしょうか? もしご存知でしたらご教授ください。
お礼
何度も質問し、そのたびご丁寧な回答を下さり、ありがとうございます。 ただ合成ダイヤモンドについては、工業用砥粒はともかく、宝石品質の大型単結晶(特に高純度タイプIIa)は、天然ダイヤモンドより数倍高いのです。 理由は、人工的に5万気圧・摂氏1500度を発生させ、非常に高精度に制御し、1カラット程度に成長させるのに、その状態を1週間持続させなくてはならず、コストが非常にかかるからです。しかも一度に数個しかつくれません。 (CVDもありますがクオリティー的にHPHTには及ばないようです。) 原理は簡単ですが現実に行うのは困難なものなのです。 日本では唯一S電工が製造しておりますが、10年ほど前購入した時は1カラット程度で200万円以上しました。(低欠陥タイプIIa) 天然の最高品質であるD・フローレスをも凌駕する値段でした。 もっとも<窒素不純物の多い黄色いタイプIbならもっと安価です。 外国製のインクルージョンの多いイエローダイヤが宝石にカットされてマーケットに現れることがあります。 しかし、カラーレスの大型単結晶合成ダイヤモンドは、今もって天然よりはるかに高価なのです。 1970年にアメリカのGEが開発しておりますが、コストの点で商業的に不可能だということでお蔵入りしていたのですが、80年代後半にS電工がタイプIIbを商業生産ベースに乗せることができるようになりました。 タイプIIaについては10年後の90年代に成功しましたが、低欠陥なそれは相変わらず非常に製造が難しい状態です。 ちなみにspring8などで放射光による分光分析用の結晶として使われるほどクオリティーが高いものです。 ご親切にいろいろご教授していただき、誠に感謝しております。 ありがとうございました。