スパイ説は、昔からあるが、
・ 1948年の夏に、下院非米活動委員会において、FBIに逮捕されたエリザベス・ベントリー女史が
NKGBアメリカ支局長ボリス・ブコフ大佐指揮下の秘密工作機関について、その一員に彼の名前があったため、非米活動委員会に召還された。委員会において彼は自分がスパイであることを否定した。
(ただし、これはいわゆるマッカーシズムの影響で誇大に報道されたが、免責を得るために、かなりおおげさ、かつ不正確な証言であると後日検証されている)
このころのアメリカでは、多少なりともソ連を利する行動したものは、スパイと呼ばれる傾向あった。
ハリー・ホワイトの経歴、リトアニアからのユダヤ人移民の子ということなどから、
彼は、個人的に、ナチス・ドイツへの反感と同程度にスターリン・ソ連も嫌っており、
ソ連に征服されたリトワニア亡命政府に肩入れしており、
ハーバードで近代経済学で博士となり、ケインズの高弟として財務次官補
にまでなった彼が、ソ連のスパイとなる動機は、うすい。
ソ連崩壊後、いくつかのKGB文書、工作員の証言に
ハリー・ホワイトが登場する。あるものは共産主義を信奉する同志スパイとし、
別のものは、単に情報提供の接触対象としており、矛盾しており確証はない。
結局、1997年に 元KGB工作員パブロフがNHKのインタビューに答えたように
「ホワイトには利用するために接触したが、彼はソ連のスパイではない」
という程度ではないか。
(ゾルゲ事件で言うと、社会主義の立場からゾルゲ指揮下のスパイとなった尾崎でなく、
ゾルゲを友邦ナチ・ドイツの記者として信用し語り合った西園寺公一、犬養健に相当する)
※ソ連は独ソ戦となり、日独双方から挟撃されるのを恐れていた。
パブロフは、日本軍を満州から撤兵させるきっかけをつくるために
ワシントンでホワイトに接触。
「日本軍を満州から撤退させる」 コトの重要性をさりげなく説いたようです。
これに影響されたか???
後にハル・ノートの原案を作成したが、
その内容は、確かに関東軍の大半が撤退し、かつ、太平洋戦争は確実に回避されたであろう
ものであった。
ホワイトが書いた 「ハルノートの原案」 とされる書簡の内容は↓
日米交渉を妥結させるための条件を提示しています。
<アメリカ政府がとるべき措置>
1.太平洋からアメリカ艦隊の大部分を撤収する。
2.日本との間に20年間の不可侵条約を締結する。
3.満州問題の最終的解決を推進する。
4.英・仏・日・中・米の合同委員会で、インドシナの利益を擁護する。
5.中国における全ての治外法権を放棄する。
6.日本人のアメリカへの移民を禁止した 「移民法」 を廃止する法案を議会に提出する。たいへいようせんそうは
7.日本との貿易協定を折衝し、日本に最恵国待遇を与える。
8.向こう20年間に渡り、年利2%で20億ドルの借款を提供する。
9.ドル・円の為替レート安定のために基金を創設する。
10.在米日本資産の凍結を解除する。
11.日本がアメリカ・イギリスと同じように世界の原材料を確保できるようにする。
<日本政府がとるべき措置>
1.全ての陸海軍および警察力を中国(1931年の国境線)、インドシナから撤収する。
2.「国民政府」以外の中国における政府への支援を中止する。
3.中国に流通している全ての軍票・傀儡紙幣を円貨幣に交換する。
4.中国における全ての治外法権を放棄する。
5.中国再建の援助のために、年利2%で10億円の借款を提供する。
6.ソ連が極東の前線から撤兵する条件で、2個師団を除き満州から全日本軍を撤収する。
7.現在の戦争資材の生産量の4分の3を限度として、アメリカにこれを売却する。
8.全てのドイツ人技術者・軍職員・宣伝員を国外退去させる。
9.日本はアメリカと中国に最恵国待遇を与える。
10.米・中・英・蘭・フィリピンとの間に10年間の不可侵条約を交渉する。
そして 「日本側の利点」 として、ホワイトは書いてます。
アメリカと戦争しないで済む。
・面子を失わずに中国から撤兵できる。
・対外貿易の飛躍的増大が期待できる。
・その勢力や資本を日本の再建、満州の建設、貿易拡張に充当できる。
残念ながら、日本に余り譲歩しすぎるとして
ハル国務長官により、ほとんど却下されたが、
ソ連の影響で作成したかは、ともかく
ホワイト原案のままのハルノートが提示されたら、
いくら頑迷な帝国陸軍も、これを受け入れ、
太平洋戦争は
おきなかっただろうから、
残念と言えば、残念である\(^^;)...
お礼
ありがとうございました。 偶然見つけたのですが、1940年から1948年までアメリカからモスクワに送られていた暗号電波をアメリカ政府が1980年に解読して冷戦後CIAにより公開されたベノナ文書というのが根拠のようです。 これによると当時アメリカ政府に300人もの共産党スパイがいてハリーホワイトもその一人だったようです。 こういう文書がでなければkusirosiさんの見解が通説になるのかもしれませんね。 スパイ同士が話をしていてもお互いを同志だと気づかないなんてことは当然かもしれませんが。 私のブログです。よろしければおいでください。 http://nomorepropaganda.blog39.fc2.com/