チタンは生体適合性が良く、人工歯根、骨折治療用のボルト、閉塞血管拡張の為の
ステント等の医療用途に広く使われている・・・と言われていることを、そんなに深く
考えずにチタン加工のコンサルティングや調査をしていました。
相性がいい=生体適合性と見て、ネットを探すと、チタン+生体適合性関連が山の
ように検索に掛かります。ただ、適合性とは何かを説明しているHPは、私の根気が
許す限りでは、見つかりませんでした。
唯一歯科関係で「チタンは生体適合性が良いために骨の再石灰化を妨げない・・」との
記述が見つかりました。
それでWikiを調べましたが「生体適合性」の項目は有りませんでした!!
英国のWikiには、広く使われているが概念と定義の曖昧な言葉として5つの定義が
挙げてありました。
生体適合性を要約すると、体組織に拒否反応や炎症を起こしたりしない毒物を生成したり
有害物質を溶出しないと言うことの様です。
インプラントとして体内で使われた時にその周辺で炎症が起これば体組織の回復、
骨の場合は周辺の骨の再生、を妨げることになります。
Ti=生体適合性が高い=体組織の再生を妨げない。
これが骨とくっつくと言われている理由ではないでしょうか。人工歯根の場合は、歯根
部に段々(凸凹)が形成してあり、再生された骨がこの段々に入るように噛み合うのでは
ないでしょうか。化学的に結合しているわけではないようです。
これに対してアパタイトセラミックスなる人工歯根は骨の石灰と無機化合物として結合
しています。
チタンは決してイオン化し難い金属ではありません。手許の「チタンの加工技術」日刊工業
新聞刊という専門書では、チタンの耐食特性は・・・・・・・・・・表面に安定な不動態被膜が
生成しやすいということを考えるべきである。・・・・(この膜は)一旦局部的に破壊されても
瞬時に再補修されるというありがたい特性を有している。しかしながらこの被膜が破壊した
場合、チタンの腐食速度は、鉄より大きくなることを認識しなければならない。」
ここで言う不動態膜は酸化チタンTiO2で、その厚さは数~数十nmとされています。
不動態膜というのはアルミや鉄でも酸化被膜の形成として見られます。錆びやすい
金属も不動態膜の形成により錆びにくくなります。
金とチタンでは、No.2の回答に有るようにチタンの方がイオン化し易いのです。
しかし、イオン化し難い金でもピアスのアレルギーが報告されているのに、チタンの
アレルギーは聞いたことがありません。チタンは安いためピアスには使われないのか
不動態膜のお陰かは判りません。
チタンの保護被膜は瞬時に再補修されると書いてありますが、私が愛用している
チタンのメガネのフレームは錆びて凸凹になっています。弾力性のあるフレームが
耳に掛かりずり下がらないように引っ張る、スポーツ用のメガネなので登山、自転車、
スキーの時の強力な汗にはかなわないようです。だからと言って耳がかぶれることは
ありませんでした。
補足
なんの回答にもなってませんが。