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排水を伴う水槽におけるポンプの循環回数
- 排水を伴う水槽において、ポンプの循環回数を規定の回数以上にする方法について考えます。
- 容量10tの水槽から、7t/日の割合で排水される場合、ポンプの流量をどのように設定すれば、循環回数3以上を保つことができるでしょうか?
- ポンプの流量を21t/日以上に設定することで、排水される水の循環数を最小値4循環に近づけることができます。
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[1] 「排水される水が必ず3循環以上させた水に」というのは、「水のどの部分も最低3回はポンプを通過した後に排水される」ということでしょう。「水のどの部分も」というのは、「全ての水分子が」と言い換えても良いかと思います。 残念ながら、それはこの構造じゃ保証できません。どれだけ凄い勢いでどれだけ長時間ポンプを回しても、ポンプを1度も通らない水分子が残っている可能性があります。たとえば「水槽の隅っこに淀みがあって、ひとたびそこに入った水はポンプに流れることは絶対にない」という場合もあるからです。 [2] それじゃ話にならないんで、水槽の中を常時十分に撹拌して淀みをなくしてある、という条件を付け足しましょう。 手始めとして話を簡単にするために、注水・排水をしない場合について考えます。 水槽の容積=水の総量をV[トン], ポンプの流量をF[トン/日]として、ポンプを1度も通過していない水の量P(T)が時間T[日]によってどう変化するかを計算しますと、微分方程式 dP/dT=-FP(T)/V, P(0)=V より、 P(T)=Vexp(-FT/V) です(expは指数関数)。確かに、Pは時間と共に急激に0に近づいていく。 さて、Vトンの水は有限個の水分子からできているんで、P(T)が1分子の占める体積よりも小さくなる、という時間が存在します。それが1日以下になるにはFを幾らにすればいいかを計算しましょう。水1mol = 18グラムあたりアボガドロ数N=6×(10^23)個の水分子があるので、水1トンあたりK=N×(10^6)/18=(1/3)×(10^29)個の水分子がある(10^29は、10の29乗)。Pが1分子未満になるってことは P(T)<1/K であり、それに掛かる時間Tが1になるようにFを決める。 F> V ln(KV) /T です(lnは自然対数)から、T=1, V=10を代入すると F> 679.8 ですから、「注水・排水なしで、水槽の中を常時十分に撹拌した状態で丸々1日運転して、1度もポンプを通っていない水が1分子も残らないようにする」というだけでも680トン/日の猛回転でポンプを回す必要があるわけです。 [3] 現実の工学の問題を立てる場合には、「全ての水分子が最低3回はポンプを通過」という要求は幾ら何でも過剰であって、たとえば「水分子がポンプを通過する平均回数が10回以上」とか「全ての水分子のうち99.999%以上が最低3回はポンプを通過」というような条件を考えるのが適切でしょう。それなら、Fが現実的な量に収まると思います。 で、ご質問中で計算なさっているのは「水分子がポンプを通過する平均回数が3回以上」という話なのです。
お礼
お返事大変おそくなり申し訳ありません。 大変参考になりました。概念的なことは理解できました。