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鉄錆びと不動態皮膜について
鉄錆びと不動態皮膜について教えてください。 鉄の不動態皮膜はFeOOH(オキシ水酸化鉄)やFe2O3などの鉄化合物で構成されていると知りました。 しかし、FeOOHが低い導電性であるのに対してFe2O3は非常に導電性が高く、内部の鉄から電子が比較的自由に表面に流れることができます。よって、Fe2O3を通して Fe -->Fe2+ + 2e- の反応で生成した電子がFe2O3の表面で酸素に受け取られることが可能だと思います。 つまり、内部の鉄の腐食(Fe2+の生成)は進行し続けることが可能だと思います。 この考えのどこが間違っているのでしょうか?
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簡略化した図で説明してみます。 (ブラウザ上で見にくい場合は、メモ帳などに貼付後、適当なフォントに 変えてみて下さい:こちらは「MS GUI Gothic」で確認) ●:酸化皮膜 ○:金属鉄 ◆:鉄イオン △:放出電子 1)酸化皮膜で保護された状態 ●●●●● ●○○○● ●○○○● ●○○○● ●●●●● 2)(仮に)鉄の一部が電子を放出 ●●●●● ●○○○● ●○○◆●△ ●○○○● ●●●●● →電子を放出した分、内部は正電荷が過剰な状態 3)周り全てが酸化皮膜に覆われているため、正電荷を打ち消すには 一旦放出された電子(又は代わりの電子)を再度取り込むしかない ●●●●● ●○○○● ●○○○● ●○○○● ●●●●● →結果として、元の状態に戻る(=平衡) つまり、電子を放出した後は、正電荷が打ち消される必要があるわけ ですが、表面全体が緻密な酸化皮膜で覆われていると、その相殺は 電子でしか行えない、ということです。 (酸化皮膜が緻密であれば、電子以外の負電荷(陰イオン)は、内部 に生じた鉄イオンと対になれないため、相殺できない、と) 仮に、一部が酸化皮膜で覆われていない場合は、電子だけではなく 何らかの陰イオンによっても「正電荷の相殺」が可能になるため、 腐食が進行することになります。 2')鉄の一部が酸化(下面に酸化皮膜に覆われていない部分あり) ●●●●● ●○○○● ●○○◆●△ ●○○○● ●●○○● 3')鉄内部で電荷が移動 ●●●●● ●○○○● ●○○○●△ ●○○○● ●●○◆● 4')表面に現れた鉄イオンと外部の陰イオン(×)が対となる(→電荷相殺) ●●●●● ●○○○● ●○○○●△ ●○○○● ●●○ ● ◆・×(溶出) →酸化皮膜に覆われていない下面で、腐食が進行 ※この機構での保護は、放出電子が、酸化皮膜上で「自由電子」となる 場合に限られます。 (放出電子が「表面の酸化皮膜を還元」してしまうような状態になる 金属の場合は、実質酸化皮膜で覆われていないのと同じ、と) (ステンレスのクロムによる保護も、クロムの方が酸化しやすく、鉄では 酸化クロムを還元できないために、より効果的に保護できている・・・ ということかもしれません: あくまで個人的推測・憶測ですが(汗))