シアンは物騒なので一回も使ったことがありません。
溶融塩はやったことがなく、条件が異なる場合があります。
したがって、間違いを書くときがあります。
溶融塩の場合と水系の違いですが、最大の違いは、界面での原子の移動です。酸化物(シアンでも文献では同じ扱い、ただし、私の知識は昭和30年代から40年代の内容)では、大体融点程度(絶対温度で融点の九割以上の温度程度)では、結晶の振動が激しく隙間が多いので、外部から酸素が内部に入って行きます。しかし、これよりも低い温度ですと、内部から外部に向かって金属原子が移動してきます。
SUS304の表面に存在する酸化ニッケル膜の融点付近ならば、酸素に代わってシアンや炭酸(より高温が必要、場合によっては炭酸が分解し酸素と一酸化炭素になっていて、酸素や一酸化炭素が進入する場合がある)が進入しますが、低温では、酸化膜の表面に付着したシアン(酸素とシアンではシアンのほうが結合が強いと記憶しています。もしシアンの結合が酸素よりも弱い場合には、以下の内容は間違いになります)に、内部からニッケル原子が移動して結合し、隣に格子欠陥ができます。格子欠陥が拡大するとこうしょくになります。
高温の場合には、酸化膜を破壊して内部に向かってシアンや一酸化炭素が進入して行き、こうしょくになります。
孔食の発生、これが「不動態皮膜を損傷し、」の意味です。
後半、金属ニッケル・金属鉄と、シアンや炭酸との反応は、比較的簡単です。穴の隙間より表面酸化ニッケル膜の内部の金属と直接反応できる位置に、「塩浴」が流れこんで反応します。
「酸化雰囲気」というのは、「塩浴」が酸素を溶かしているのでしょう。あるいは、既に書いたように炭酸が熱分解して、一酸化炭素と酸素にわかれて、酸素が存在することを意味しているのかもしれません。
酸素があれば、金属と容易に反応して、腐食が進みます。
複数の金属が存在するときには、反応しやすい成分と先に反応して、その後残った成分と反応します。FeとNiでは、Niの方がイオン化しやすく、さきに反応することになります。だから、結晶粒界(りゅうかいのほうが、格子欠陥が多く、反応性が高い)に付近にあるNiが反応して溶けだし、崩れ落ちる様にボロっとSuS304が錆びます。
以上の内容でわかりますか。
補足
usokoku様、返信ありがとうございます。 塩浴剤の物質名ですが、CN及びCNOが10%ほど含有した炭酸カリ、ナトリウム の溶融状態のものです。金属を熱処理するのに用いられるものです。 宜しくお願い致します。