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ES細胞が赤ちゃんにならない理由

ES細胞について調べていたところ、あるサイト(http://cont.trc-net.ne.jp/basics/02_03.html)で「ES細胞は時に万能細胞と表現されていることもありますが、そのままで胎児に成長していく受精卵と違い、ES細胞は個々の細胞、組織、器官にはなり得ますが、そのままでは胎児になることはありません。万能細胞という言葉は受精卵に譲って、やはり多能性細胞と呼ぶほうが正確でしょう。」 と説明がありました。 ES細胞が多能性を持っていて、それは万能(というか全能?)とは違う、ということはわかったつもりなのですが、それでは、その違いというのは何に由来するものなのでしょうか。 私が思ったES細胞と受精卵との違いといえば、栄養外胚葉の有無くらいでした。 つまり、ES細胞を作るために、受精後の早い段階での胚盤胞の内部細胞塊から細胞を取り出して培養する際、栄養外胚葉から細胞を取り出すことになるので、将来胎盤ができないことになりますよね。 でも、これだけが「ES細胞が赤ちゃんにならない理由」なのでしょうか。それとも、他に何か違いがありますか。 どうぞよろしくお願いします。

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  • ruehas
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回答No.2

こんにちは。 そう言われてみれば、受精卵とES細胞の構造的な違いって、いったい何なんでしょうね。 少なくともES細胞は三回以上分裂を行なっていますし、分化を指示するマスター遺伝子も既に始動しているはずです。ただ、この辺りは私的な見解ですので根拠はありません。 興味を持って色々調べてみたのですが、やはりES細胞と受精卵の違いは質問者さんが考えている通りのようです。但し、「栄養外胚葉」を持つか持たないかと言うよりは、返って大雑把になりますが「胚としての機能」を持つかどうかということらしいです。 ES細胞は「そのままでは」個体に成長できない、と但しが付いています。 これに就いては、つまりES細胞はあらゆる細胞に分化する能力を持っているが、分化するだけでは個体は愚か肝臓や血管など、臓器としての構造を形成することさえできない、ということですよね。これならば、ES細胞が「そのままでは」胎児にならない明確な理由と思って間違いないと思います。 ですが、では「そのままでは」とはどういう意味かということになれば、ES細胞に「胚としての機能」を補助してやれば個体に成長する可能性はあるということになります。 >栄養外胚葉から細胞を取り出すことになるので、将来胎盤ができないことになりますよね。 ですから、何らかの方法でES細胞から発生をさせてやれば、それは胚盤胞を経て栄養外胚葉への分化が起き、やがて胎盤を持った個体に成長できるということです。 マウスなどを使った実験では、未だ正常な個体に成長した例はないそうですが、それが仮に奇形であったとしても、上記のような処置を施すことによって全く方向性を持たないES細胞が個体、もしくは構造を形成しようとしたと考えることは充分できると思います。ですから、その能力を引き出してやることができさえすれば、ES細胞が個体に成長しないという理由は特に見当たりません。如いて言うならば、その能力は受精卵のみが蓋然的に持っているものだとすることはできますが、それがどのような能力であるのかはまだ良く判っていないのですから、現時点ではES細胞が個体に成長しない理由もきちんと説明することはできないと思います。 ということですから、ES細胞の取扱いを巡る倫理的見解にも色々と相違があるようです。そもそも、質問者さんが閲覧したサイトにそのような説明が記されていたのも、もしかしたらこの辺りが起因ではないかと思います。 結局、質問に対する回答は見付かりませんでしたが、参考にURLをひとつ提示します。関連の記事が3件ほど載っていますので、宜しければ順番に読んでみて下さい。投稿者の書籍なども紹介されていますので、そちらの方も参考になると思います。

参考URL:
http://homepage2.nifty.com/jyuseiran/news/newsmokuji.html
akaishi
質問者

お礼

こんにちは。回答ありがとうございます。 ES細胞が「胚としての機能を持たない受精卵」であるというのはとてもわかりやすかったです。 分化だけした細胞が、将来的な臓器や個体の一部を担おうとする方向性というか意志(といったら語弊があるかもしれませんが)のようなものが「胚としての機能」ですね。 クローン技術の応用への倫理的な警鐘として「臓器工場」なんていうのがよく出てきますけれど、上のような考え方をすると、例えてみるならば胚としての機能を持たない条件におかれ、再生医療の材料作りなどに応用されていくであろうES細胞というのは、人間としての尊厳を奪われ、臓器生産のためだけに生まれさせられたクローン人間みたいな感じもしてしまいますね。個体としての、生物的な方向性を他人の都合によりスイッチオフされている状態というか。とても端的な表現ではありますが。 それはともかく、ES細胞は、胎児になりうる能力をも内包している「条件付全能細胞」である可能性があるわけですね。 私の疑問に興味を持っていろいろ調べてくださってとてもうれしかったです。 的確な参考URLもありがとうございました。とても興味深い議論だと思います。このような不確かさ自体の故にES細胞を用いた研究に反対する立場もあるのですね。

その他の回答 (2)

  • e4011001
  • ベストアンサー率32% (9/28)
回答No.3

こんにちわ。 私自身、ES細胞を使った実験を少ししているのですが、まだまだ初心者で、わからないことが多く、専門家ではありません。そのため、ずばっとお答えできず残念ですが、これから書くことが参考になれば幸いです。 多能性幹細胞(ES細胞)は、受精卵をはじめとして発生初期に存在する胎児本体のずべての細胞に分化する能力を持つ細胞です。受精卵が分裂を繰り返し発生が進んでいくと、胚を構成する細胞は様々な細胞系譜に別れ、その分化能が制限されていきます。胚盤胞の内部細胞塊やエピブラストは多能性を持つ幹細胞です。 つまり、内部細胞塊を取り出す時点(マウスで受精後3.5日くらい)までに進んだ発生のために個体にはなれないと思われます。 牛では、8~16細胞期までの割球なら、個体になれるという報告もありますし。 また、ES細胞は樹立される時にもかなりの選別をかけられており、例えば、受精後3.5日目の胚から取り出された内部細胞塊は、まだ胎盤などを作る細胞である栄養外胚葉への分化能を持っていて、このままでは栄養外胚葉へ分化し、未分化細胞は失われてしまいます。そのため、もう少し発生させて栄養外胚葉へ分化できないようにしたりします。 つまりこの時点で、受精卵の持っている全能性は失わされてしまい、受精卵とは異なります。 こういった理由から、個体には発生できないのですが、様々な細胞系譜にはなれる、万能だが全能ではないと思います。

akaishi
質問者

お礼

こんにちは。回答ありがとうございます。 内部細胞塊を取り出す時点までの発生によってすでに全能性が失われてしまっているというのはおもしろいですね。 >内部細胞塊は、まだ胎盤などを作る細胞である栄養外胚葉への分化能を持っていて、 >このままでは栄養外胚葉へ分化し、未分化細胞は失われてしまいます。 この部分が良く理解できなかったのですが、内部細胞塊がすべて栄養外胚葉に分化してしまうわけではないですよね?

  • SCNK
  • ベストアンサー率18% (514/2762)
回答No.1

昔、生物の教科書にイモリの受精卵を分割したときに、軸索ができる溝の部分を両方に含めれば双子となるが、片方のみだと、もう一方は細胞分裂が途中で止まってしまうという説明がありました。つまりこの後者にあたるということではないでしょうか。 でもそれぞれの臓器になれるのですから、何かしらの方法で個体にまで成長させることも可能だと思います。

akaishi
質問者

お礼

そうですね、いろいろな臓器になれる可能性を持つのに胎児にはなれない理由には、やはり何かが欠けていることが関係していると考えるのが自然ですね。 回答ありがとうございました。

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