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長期修繕計画のない中古マンションの購入
長期修繕計画のない中古マンションの購入 自己居住用として購入した中古マンションに長期修繕計画がない(=購入時に「重要事項説明書」の付属書類として手渡されたものは管理組合承認のものではなく、管理会社が売主に提出した管理会社の内部資料だった)ことが購入後判明しました。 今や長期修繕計画はマンション住民にとって大きなテーマとなっており、私も購入時に計画がないことが分かっていれば購入しなかった(または値引きを交渉した)と思います。 そこで、虚偽の書類を作成した管理会社または売主に対して何か法的な措置がとれないものかと考えています。 例えば、 『不動産鑑定評価基準 各論』では、 第1章 価格に関する鑑定評価 >第2節建物及びその敷地 >IV 区分所有建物及びその敷地 >1.区分所有建物及びその敷地の価格形成要因 >(1)区分所有建物が存する一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因 >(3) 建物及びその敷地に係る要因 において、 ウ長期修繕計画の有無及びその良否並びに修繕積立金の額 が挙げられていて、長期修繕計画の有無がマンションの価格に影響するようです。 これ(=計画がない前提での鑑定評価額)を根拠に、購入価格または計画がある前提での鑑定評価額との差額の損害賠償請求を行うことは可能でしょうか。 その場合、 (1)相手方は売主・管理会社のどちらになりますか。 (2)裁判になった場合(勝訴した場合に限られると思いますが)、上記鑑定費用を相手方に負担させることはできるでしょうか。 また、上記以外に何か起こせるアクション(「売買契約の錯誤無効」など)があればご教示ください。
お礼
poolisherさん、回答ありがとうございました。 また、お礼が遅くなり申し訳ありません。 ご回答についての議論に入る前に、少し引いた視点での話をしたいと思います。 本件の発端は、購入時の説明書類に虚偽があったことに対する補償を求めたい、という希望ですが、いろいろと調べていくうちに、不動産に関する情報開示という問題が底流にあるような気がしてきました。 それは、日本の中古不動産市場の未整備について記した以下の文書などから伺い知ることができます。 ■『住宅ローンの買取・証券化に関する研究会報告書』 :(株)NTTデータ経営研究所のホームページ(URL: http://www.keieiken.co.jp/monthly/repo0510-1/#pdf )に掲載されています。(3ページから「3 中古住宅流通市場の未発達と建築廃棄物による地球環境負荷」という項目があり、参考になるかと思います。) 既に2000年には、アメリカから構造改革要求の1項目として挙げられており、「消費者が必要とする情報の入手困難さ」が指摘されています。 ■『規制撤廃および競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブに基づく日本政府への米国政府年次要望書 2000年10月12日』 :アメリカ大使館のホームページ(URL: http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j055.html#j1 )に掲載されています。(「住宅」という項目) なかなか進展していないようですが、一方で、この状態が放置されることによって購入者には自己責任的に物件情報収集の責任が押し付けられる形に事実上なっていて、極論すれば「クソも味噌も一緒(同じ値段)」に売られており、後で「味が違う」ことが分かってもそれは買った者が悪いという状態に等しいと思います。(最近の新築物件には、「住宅性能評価基準」というものが適用されているようですが、それらが中古として市場に出るのはまだ先の話でしょうし、本件とは関係がありません。) こうした状況は、以下でも海外の状況にも触れながら記述されています。 ■『週刊ダイヤモンド別冊(2010年10月16日) マンション・戸建て 最強の「中古」を探せ!』(p.16-17) マンション修繕には長期的には購入価格と同額の支出が必要という説もあるくらい金額的には重要なものです。最初の質問に書いたように『不動産鑑定評価基準 各論』でも、 第1章 価格に関する鑑定評価 >第2節建物及びその敷地 >IV 区分所有建物及びその敷地 >1.区分所有建物及びその敷地の価格形成要因 >(1)区分所有建物が存する一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因 >(3) 建物及びその敷地に係る要因 において、 ウ 長期修繕計画の有無及びその良否並びに修繕積立金の額 と明記されています。 また、ある不動産鑑定士に伺ったところでは、マンションの現状から将来予想される修繕費用等を想定して、現状の修繕積立金で十分かどうかも検討しながら、価格を査定することになる(他の価格形成要因に差がない場合で長期修繕計画がなく積立金等がない場合は、将来予想される追加費用の現在価値相当分が価格差になる)、という主旨の見解をいただいています。 さて、以上を踏まえて、いただいた回答についてですが、 私の、 >根拠もなく「修繕積立金は確保されているということであれば、修繕計画の有無の 資産価値に与える影響は軽微だと思います。」 のようなことを言うのも控えるべきだと思います。 という記述に対して、 >「存在しないものの根拠を示せ」というのはとても困難なことです。 「神が存在しないことを証拠を上げて示せ」というようなことです。 と言われていますが、上のような事情から、マンションの鑑定評価において長期修繕計画が一定の重要性があるのは疑いようがないと思います(「計画を策定する主体である管理組合の状況も価格形成要因となり、組合の状況や理事会の状況についても説明義務を負うことになる。」かどうかはともかくとして)。 過去の鑑定事例において「修繕計画に言及している物件はありません。」ということであれば、過去の鑑定の慣行を疑ってみる必要があると思います。(「組合の方針はもとより経済状況や高層建築の規制等によって大きく変動する可能性がある。」ということですが、現状の鑑定でもそういった要素は多分にあるのではないでしょうか。) 最後に、私は、素人とはいっても発言にはそれなりの根拠を持つべきと思います。 既に上のような見解も聞いていたので、「攻撃的な態度」に見えてしまったかもしれません。決して、単に「意に沿わない回答だから」ではありません。誤解を与えたとしたら、お詫びします。