こんばんは。
変身を語るときには、やはりそれを書いたカフカと、それが書かれた
時代背景を考慮すると、作品をさらに深く味わえると思います。
フランツ・カフカは1883年、つまり19世紀末のプラハに、ユダヤ系の商人の
長男として誕生しています。
当時のプラハはオーストリアとハンガリーの両帝国の
はざまにあり、
一般の人々はチェコ語を、富裕な人々はドイツ語圏である
オーストリアにならってドイツ語を話しました。
カフカの父もまた、富裕な商人であったため、カフカは
ドイツ語を語り、ドイツ語で小説を書くことになります。
そうした世紀末の重苦しい雰囲気を作品は反映しています。
「変身」が世に出たのは1912年、29歳のときであり、その二年後の1914年には
第一次大戦が始まっています。
多くの文芸評論家は、ここに「時代の予見」を感じ取ります。なぜなら、
カフカの描く小説世界は常に「不安」がキーワードだったからです。
ある朝目が覚めると大きな毒虫になっていた、というまるでSFかホラーのような
作品の冒頭から、不安と迷い、どうにもならない自分を深く見つめた作品は、
まさに時代の変わり目に立つ当時の人々の不安を象徴していた、といえます。
そうした時代背景を考えながら「変身」を読み解くと、単なるストーリーの
面白さを超えた、人々の心の奥底にある不安をあぶり出すものとして
味わい深い作品となっています。
ちょっと抽象的ですが。。。
URLも参照にどうぞ。略年表もあります。
↓