講師の言葉にあなたが混乱し、疑問を抱いたのは無理もありません。
「技術」の定義がなんにせよ、その講師のアドバイスはそもそも論
理的に整合性がないからです。
技術がない人でも少なからず合格したという事実は、技術以外のポ
イントが一部の人に合格基準を満たすものとして加味された可能性
を導き出してくれるだけです。
合格するためにもっとも大切なのは技術ではないという結論を導き
だすことはできません。
あなたもお察しのとおり、恐らく講師は「通り一遍のテクニックを
磨いただけでは他のそこそこ優秀な受験生の作品と差をつけること
ができない。合格に一歩近づけるためのなにかが欲しければ、そう
したテクニックだけではなく、表現力をみにつけなさい」このよう
に言いたかったにちがいありません。
さて描画技術の文脈で言う「テクニック」を定義してみれば、ある
目的を達成するために合理化された手段の体系…とでもなるのでし
ょうか。
受験デッサンに対しての心構えとして絡めて言えば、失敗したらも
う一年というハイリスクを抱え、一定時間に合格に値するだけのハ
イクオリティーな作品を描かなければならない受験をクリアするに
は、このテクニックが必要であることは言うまでもありません。
絶対に軽んじるべきではありません。
表現とテクニックは車の両輪のようなものでどちらも欠けてはいけ
ないのです。表現力がなければ、人の目を引く美しい作品として仕
上げることはできませんし、テクニックがなければ、受験時間中に
効率的に一定のクオリティの作品を仕上げることができません。
ですから結論としてはつまらない話になりますが、表現力もテクニ
ックもどちらも大切にしてください。それがデッサン力の向上につ
ながります。どちらも大切にしないと受験には対応できなくなります。
ともかくがんばってください。それでは。
お礼
とてもわかりやすくご丁寧な回答をありがとうございます。 やはり、技術は大切なのですよね。 講師の先生に技術以外で一番大切なもの(正確には技術と同時にということですね)は何かをその場で質問できなかったことをずっと悔やんでいました。 今回のご回答で、表現力というキーワードを目にして、とてもすっきりいたしました。 そして、自分が描画技術の文脈で言う「テクニック」の定義を、ちょっと違う風に理解していたことにも気づかせていただきました。 表現力とテクニック、どちらも大切にしてデッサン力を向上すべく努力していきたいと思います。