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ガリウムヒ素と窒化ガリウムはどちらが発光ダイオードにより適していますか

ガリウムヒ素と窒化ガリウムはどちらが発光ダイオードにより適していますか? どちらも直接遷移型バンド構造ですか? 発光ダイオードに適する適さないは直接遷移型バンド構造かというところですか?

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  • ベストアンサー
  • inara
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回答No.2

>これはガリウムリンかガリウムヒ素のどちらでもよいということでしょうか? いえ、適しているのはガリウムリンでなく、窒素ガリウムのほうです。 シリコン(Si)、ガリウムリン(GaP)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンカーバイド(SiC)は間接遷移、ガリウムヒ素(GaAs)、窒素ガリウム(GaN)は直接遷移です。 LEDとして適しているかどうかは、バンド構造が直接遷移型か間接遷移型かで本質的には分けられるのですが、前の回答にあるほか条件がそろわないために、間接遷移型が先に商品化されることがあります。現在、緑色と青色のLEDはGaN系材料が主流ですが、GaN系LEDが登場する前の1980年代まで、黄色と緑色は間接遷移型のGaP、青色LEDは間接遷移型のSiCを使ったLEDが商品化されています。前の回答にある条件の1つのpn接合が可能だったのが、1980年代までは、GaPとSiCはだけだったのです。GaN系材料は当時、pn接合が作りにくかっため非常に暗いものしかできていなかったのです。GaPとSiCは間接遷移型なのでLEDには適していないのですが、全く発光しないわけではありません。発光効率が直接遷移型より数段劣るりますが、当時は、緑や青色で発光するLEDで最も明るかったのが GaP と SiC だったのです。 >さまざまな色の発光を得るには禁制帯幅が大きいことが必要と書いてあったのですが、これは間接遷移形の話で、直接遷移形には関係ないですか? LEDの発光色は発光層材料の禁制帯幅で決まります。禁制帯幅が小さいと波長の長い赤外光しか出せません。禁制帯幅が大きいと波長の短い可視光も出すことができます。禁制帯幅は発光可能な最短波長を決めるもので、同じ材料を使ってその波長より長い波長の光を出すこともできます(たとえば不純物を混入させることで、禁制帯幅の半分のエネルギーに相当する長い波長の光を出すことも可能です)。そういう意味で、1つの材料でさまざまな色の発光を得るという条件なら、それは禁制帯幅が大きい材料でなければできないことです。しかし、実際には、その波長に最も適した材料のLEDを使います(それが最もエネルギー効率が良いので)。 >これは間接遷移形の話で、直接遷移形には関係ないですか? 上で説明したように、発光させるだけなら間接遷移型でも可能です。間接遷移型のGaPでは、不純物を混入させることで、黄色から緑色までの光を出すLEDを作ることが可能です(1つのLEDで波長が連続的に変わるのではなく、黄色から緑色までの中の、一つの色のLEDがいろいろ作られているということです)。GaN系材料では、GaNに加えるInの量を変えたLEDがいろいろ作られていて、青~青緑~緑~黄緑色のいりいろな発光色のLEDが商品化されています。

gglmasa53
質問者

お礼

LEDの歴史的な流れから、LEDに求められる条件を事細かに教えて下さりありがとうございます。 また、半導体関係で分からないことがあったら教えて下さい。

その他の回答 (1)

  • inara
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回答No.1

どちらも大量生産されていますのでどちらも適しているといえます。ガリウムヒ素(GaAs)は赤外線を出す発光ダイオード(LED)、窒化ガリウム(GaN)は紫外線を出すLEDです。GaAs LEDが登場したのは 1962年と古いですが、GaN系LEDが商品化されたのは1994年です(http://www.led.or.jp/publication/handbook/a_1_1_0_led_rekishi.htm)。GaAsにAl(アルミニウム)を加えたAlGaAsを使って発光波長を短くした赤色LEDもあります。GaNにIn(インジウム)を加えたInGaNを使った緑、青色LEDもあります。どの材料も直接遷移型です。ここ(http://jstshingi.jp/abst/p/09/905/shizuoka5.pdf)の4ページにあるように、材料によって、効率良く発光できる波長範囲(網点のかかっていない白い部分)が決まっているので、GaAs系は長波長(赤外~赤色)のLED、GaN系は短波長のLED(緑~青~紫外)とはっきり分かれているので、どちらが優れているというものではありません(赤外から紫外までのLEDを作るにはどちらも必要)。 >発光ダイオードに適する適さないは直接遷移型バンド構造かというところですか? 必要条件は「直接遷移型のバンド構造」ですが、他にも以下の条件を満たす必要があります。    ・適当なキャリア濃度のpn接合が作れること(電子と正孔の結合で発光するため)    ・発光の妨げとなる要素(結晶欠陥など)が少ないこと(これが多いと発光効率が低下したり素子寿命が短くなる)    ・金属とオーミックコンタクトが取れること(これがうまくできないと動作電圧が高くなる→変換効率が低下)    ・高い密度の光や電流に対して十分な耐久性があること    ・製造コストが高くないこと GaAs系もGaN系もこの6つの条件を全て満たしています。開発段階で消えたり、発売後消えていったLEDはこの条件を全て満たさなかったものです。

gglmasa53
質問者

お礼

補足の補足ですみません。 教科書を調べてみると、さまざまな色の発光を得るには禁制帯幅が大きいことが必要、と書いてあったのですが、これは間接遷移形の話で、直接遷移形には関係ないですか?もし、直接遷移形にも関係するなら様々な発光が可能なバンドギャップの大きな窒素ガリウムの方が発光ダイオードに適していることになりそうですよね。

gglmasa53
質問者

補足

詳しく、かつわかりやすいご説明ありがとうございます。 大学院入試の問題で、 シリコン、ガリウムリン、ガリウムヒ素、シリコンカーバイド、窒素ガリウム、ゲルマニウムのいずれかの半導体で発光ダイオードを作成するとき最適な半導体はどれか、とあったのですが、これはガリウムリンかガリウムヒ素のどちらでもよいということでしょうか?

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