コンピュータソフト関係で26年。
1)科学技術計算
2)有限要素法による構造解析
3)3D CG
4)3D CAD(曲線・曲面など幾何計算、形状モデラ)
5)電波系シミュレーションソフト
6)GIS
7)ブロードバンド通信による次世代3Dブラウザ
8)顔画像解析、動体検出などの画像解析
などをやってきました。実は私も学生時分は「こんなもの何の役にたつんかいな?」と疑問に思っていました。その当時学園闘争があり、教授なんてまるで信用してなかったし..。
しかし、以下の学問分野を以下のように使いました。もっと真面目に勉強しておくべきだったと反省しています。以下自分の体験に限り、具体的に説明します。
A)複素関数論:
A0)波動に関するものは基本的に複素数扱いします。その方が便利だからです。
A1)移動電話の電波シミュレーションで、建物や地面での反射・回折を考える時、位
相ずれによる干渉を考慮するには、複素数での扱いが必要です。任意地点での電界強度を知るには、あらゆる経路からの電波を複素積分するのです。騒音解析でも同様。横波・縦波の違いはありますが、波動としての扱い方はほぼ同じです。
B)行列とベクトル(=線形代数):
B0)構造解析でも、CGでも、CADでも、3次元処理をするには、座標変換が必要です。これには線形代数は欠かせません。
B1)ベクトルの内積・外積は、殆ど掛け算の九九感覚で使いこなさなくては話になりません。たとえば、面や線の方向判定、局所座標系構築、..。
B2)行列の固有値問題:構造解析での動解析(人工衛星に搭載する機器や、タービンブレードなど)は固有値、固有ベクトルを求める問題。また、画像からの特徴抽出にも固有値問題が応用。
C)数値解析:
C1)NewtonRaphson法とその応用:学校で習った知識だけでなく、ある点から曲面・曲線に最近点を下ろしたりする時、この考えを使うと、高速に解が求まる。GISでは、UTM(横メルカトール)座標を経緯度に変換する時、よくしられたその逆変換をそのまま利用して、3回程度の反復で精度よく高速に解を求めた。真面目に解析的な手法でも求まるはずだが。
C2)連立一次方程式の解法:ガウスザイデル法、ガウスジョルダン法など。問題は様々。
D)ブール代数:
計算機屋のイロハ。特に「ド・モルガンの法則」は事務系プログラムでも便利。これを知らずに、「A || B」の否定を「!A || !B」などとやる人があまりに多い。
E)電磁気学:
上記電波系のシミュレーションシステムには必須。
F)関数解析:
境界要素法、フーリエ級数、ベクトル、など、あらゆる工学部門の基礎にもなっている。フーリエ級数における正規直交系など、高校で学んだ「矢印」のベクトル概念では理解不能。FFT、即ち、高速フーリエ変換は、ありとあらゆる工学分野で使われ、私関係では画像圧縮や、電波のスペクトル解析などで利用。
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疲れたので、あとはその他の方から..
お礼
具体例をいただきありがとうございます! 非常に参考になりました。 実は私も線形代数が何の役に立つのか、といいかげんに(?) 勉強してきたきらいがあります。 しっかり理論を学んでおく必要がありますね。