No.2、No.3の方が仰っている1ヶ月分の平均賃金の支払とは「解雇予告手当」の事ですが、これを支払ったとしても正当な解雇理由がないならば、解雇権の濫用で不当解雇に該当し、そもそも解雇自体が無効となります。解雇予告手当は解雇の手続面での要件であって、解雇予告手当を支払えば従業員を解雇することができるというものではありません。また、正当解雇で解雇予告手当の支払がなかった場合でも解雇そのものが無効となるわけではなく、解雇自体は法的には有効で、単なる労働基準法に違反をしているということだけです。
No.4の方の言う勤務不良などの場合などについても労働基準監督署の認定はかなり厳しいものです。
規定上は次の様なような場合に認定がされます。
(1)きわめて軽微なものを除き、事業所内で盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為、あるいは事業所外で行われた行為であっても、それが著しく当該事業所の名誉、信用を失墜するものなど
(2)賭博、風紀紊乱等により、職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合など
(3)雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合など
(4)他の事業所へ転職した場合
(5)原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
(6)出勤不良又は出勤常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合など
しかし、刑法犯などの場合では単に逮捕というだけではダメで、自供などの状況により判断が行われているようで無実を主張している場合には認定が行われない事も多くあります。通常は勤務不良をもってここまで持ち込むのは難しく、また、解雇を行う場合には就業規則の整備も必要ですので注意が必要です。
しかし、解雇についてはかなり厳しいものがありますが、「従業員に退職を勧め、従業員が退職に応じる」という形であれば法律上問題はありませんし、解雇予告手当ての支払、労働基準監督署の認定などの問題も生じません。就業規則が存在しないようなケースでもOKです。つまり、「解雇だ」と言えば解雇ですが、「辞めてもらえないか?」と言う場合は解雇とは言えず、退職を勧めたということです。
「明日から来なくていい」といって「わかりました」という場合も解雇ではなく退職勧奨に応じた例とされる場合もあるようです。
また、解雇の場合は一方的に「解雇通知」などを発行しますが、退職勧奨の場合は通常「退職届」を提出させます。退職届が存在するので後々トラブルも生じにくくなります。退職をせまる時に「退職届を出してくれないか?」「退職届の署名してくれないか?」という言い方も多いようでこれもひとつのテクニックです。
先ずは、退職の勧奨をし、従業員を説得し、それでも解決しない場合に「解雇」を考えることが良い方法ではないでしょうか。
望まれない状況で働く事は従業員にとっても、経営者にとっても好ましいことではありません。そのあたりを従業員に理解してもらうことが大切です。
参考Urlは大阪府総合労働事務所の労働相談Q&Aですが、「懲戒処分に関する労働相談、解雇に関する労働相談、退職に関する労働相談」のあたりを参考にしてください。
お礼
ありがとうございます。もうしばらく考えてみます。