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最近新生ニューロンに関する話題が盛んですね。

最近新生ニューロンに関する話題が盛んですね。 老年期にいる人に対してこれからどのような展望があるとお考えですか? 認知に関する改善策がとれる 新生ニューロンを維持することにより若返りが期待出来る などのご意見お待ちしております。 よろしくお願いします。

みんなの回答

  • ruehas
  • ベストアンサー率68% (816/1194)
回答No.1

こんにちは。 近年、成体脳においても細胞の新生が確認され、脳細胞は再生されないというこれまでの定説が覆されました。このため、我々の脳細胞は新しく作り変えられるものだと思うひとが非常に多くなりました。ですが、これは明らかな誤解です。 現在、細胞新生の機能を持つ「神経幹細胞」の働きが確認されているのは「海馬」や「側脳室」といったごく限られた領域だけであり、大脳皮質などでの新生細胞はほとんど発見されていません。質問者さんはご存知だと思いますが、これが冷静な事実であります以上、あまり楽観的な論議はできないと思います。 「認知」といいますのは基本的には皮質連合野の機能であり、いきなりこれと結び付けてしまうことはできません。それから、決して重箱の隅を突くわけではありませんが、我々の脳は若返るのではなく、「海馬は若さを保つことができる」ということです。 海馬は「認知の指令塔」としての役割を果たしていますので、関係ないということはありませんが、少なくとも認知症、健忘症といいますのは連合野の器質性障害であるため、細胞新生はここで行われませんと修復はできないわけです。ですが、成体脳でも細胞新生が行われるというこの事実は、神経系における「再生治療」に大きな展望をもたらすものです。ならば、今後の研究がその構造をより明らかにすることにより、脳の様々な機能損傷に新たな治療の道が開けるのだと思います。 新生細胞の形成が何故限られた領域でしか確認できないかはまだ分っていません。そもそも存在しないのか、あるいはその機能が休止していると考える学者さんもいます。 分化後の神経細胞といいますのは二度と分裂することはありませんので、神経組織といいますのはこれによって修復されることはありません。ですが、何らかの損傷が引き鉄となって幹細胞の休眠が解除されるのであるならば、それは、我々の脳は修復機能を持っているということになります。まだ海のものとも山のものとも分りませんが、これが解明されるならば、幹細胞の活性化によって機能障害を回復させられる可能性も生まれてきます。 最も期待が近いのは実際に新生の確認されている海馬ということになります。近年、PTSDなどの神経疾患では海馬のはっきりとした萎縮が確認されおり、海馬新生細胞の発見によって因果関係が浮上してきました。心的ストレスによって機能が停滞し、栄養因子の不足が細胞の新生を低下させます。新生機能があるならば、この悪循環を取り除いてやれば海馬の萎縮は元に戻せます(神経可塑性仮説)。 PTSDやうつ病は不測のストレスが原因であり、幼児虐待は抵抗力の弱い海馬を作ってしまいます。このような心的外傷を治療するのはたいへん時間の掛かることですが、海馬の再生機能を利用することによって医科的な支援が可能となります。 現在、脳科学は老化に関する社会の認識を改めようとしています。 脳の老化で最もポピュラーなのは「物忘れ」と「物覚え」です。ですが、本当にそうでしょうか。 海馬といいますのは「記憶の形成」を司る組織ですから、これは「物覚え」に関わることです。長期記憶の劣化が年齢と関係するか年数と関係するのかは定かではありません。ですが、昼飯に何を食べたかといったことは短期記憶ですから、これは「物忘れ」ではなく「物覚えが原因」ということになります。 では、海馬には新生機能がありますので、ストレスを回避し、生活習慣を改めれば老化はしません。動物実験で比較してみましたところ、老齢の脳でも海馬の記憶機能は低下していないことが確かめられました。 にも拘らず、どうして年を取ると新しいことが憶えられなくなるのでしょうか。これは、お年よりは体力や気力が衰えることによって日常生活に海馬を使う意欲が不足してくるからだと、この実験を行った学者さんは結論付けています。そして、この状態に陥りますと、果たして栄養因子の不足が海馬の萎縮を進行させることになります。 これがどういうことかと言いますと、我々の社会はお年寄りから生きる気力を奪ってはならないということです。もちろん、これは全ての脳機能に同じです。 年を取ったのだから仕方がない。 脳が老化するのは当たり前だ。 お年よりは頭が悪い。 このような考え方がお年寄りを不安にさせ、生きる意欲を奪います。このため、脳科学はこれまでの老化に関する認識を見直そうとしていいます。 脳細胞は新生する、これはお年寄りにとっては朗報であり、我々の将来の希望でもあります。ですが、若いうちの暴飲暴食や仕事のストレスなどの生活習慣が見直されないのであれば脳は老化しないという新宣言にも決して保障はないのです。まして、体力が衰え、様々な病気に見舞われるお年寄りがこれだけで脳の若さを保つのはたいへん困難なことです。我々はこのようなお年寄りのハンディーを十分に理解した上で、常に新しい論議を重ねてゆかなければいけないと思います。

ruuua
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 とっても分かりやすく説明して頂きありがとうございます。 ruehasさんの言葉をお借りしますと、 新生ニューロンと皮質連合野の機能の認知と直結するものではなく、 「海馬」や「側脳室」などの領域での1,2%の新生ニューロンの発見により、 新生ニューロンは「神経系における「再生治療」に大きな展望をもたらすもの」であるために 「脳の様々な機能損傷に新たな治療の道が開けるのだ」ということを知ることが出来ました。 それから、私の知らなかった学者さんの説も知ることが出来て嬉しいです。 どうもありがとうございます。 重箱のすみを突くわけではないとおっしゃっていましたが、 調べ直したら誤解していました、私が勝手に解釈していました、 新生ニューロンを維持するメカニズムが発見されれば、 例えば海馬の領域で若返るかもしれないと誤解していましたが、 若返りが出来るということではなく機能の低下を遅らせたり保てたりする状態に導くことが出来るかもしれないということなのですね。 常に新しい論議を重ねてゆかなければいけない、 そうですね、説には他方面からの見方が出来るからこそ議論の余地をするべきものなのですね。 もしかしたら暴飲暴食が新たな細胞を作り出したおかげで他の細胞と結合して何か今までとは異なる、劣性ではない優勢の遺伝子(まではいかないにしても新たな細胞を)が作られるのかもしれませんね、試行錯誤の結果によって説は生きるかもしれません。 色々文献にも書かれてありますが、新生ニューロンについてのメカニズムが解明される中で、どのように他の神経ネットワークと結合しているのかなどや他細胞との連携から何が分かるのか等についても、また新薬開発や、既存の薬や食品の組み合わせの効果証明についても、また将来的に新生ニューロンを維持する方法が発見されることについても、色々なことを多くの人が期待しています。 みんな老いていきますから、老いに対しての潜在的な不安から言葉で説明できる理論を欲しているのかもしれないと思います。 回答、ありがとうございます。

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