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刺激が脳に伝えられる仕組みについて詳しく分かる方、教えてください!
音や映像などの刺激が感覚受容器で捕らえられて脳に伝えられる仕組みについて詳しく教えてください!
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こんにちは。 音や光といった物理的な刺激を神経信号に変換する細胞を「感覚受容細胞」といい、耳や目などの感覚受容器は、それに対応した受容細胞で作られています。 視覚では網膜上に「光受容細胞」が配置されており、ここには「桿体細胞」と「錐体細胞」の二種類があります。桿体細胞は「光のある無し」に反応し、主に「輪郭やコントラスト」の情報を捉えています。これに対しまして、錐体細胞は「光の波長」に対応する三種類の異なるタンパク質を持ち、それぞれが「赤、緑、青」の刺激を信号に変換しています。 この視覚信号は視神経、外側膝状帯を通って「後頭葉:一次視覚野(V1)」に入力されます。ここではその入力信号が「約1mm角のコラム(細胞集団)」に振り分けられ、一つひとつのコラムはそこに入力された信号を基に「色」や「線分の傾き」といった特徴を抽出します。 このように、感覚器官から送られた神経信号が大脳皮質の一次感覚野で「細かい特徴」に仕分けされることを「知覚処理」といいます。 後頭葉V1で細かく分割された知覚情報はV2,V4を経て「側頭葉:視覚連合野」に送られ、ここで視覚野のコラム配列に従ってもう一度組み立てられます。これにより、線分や色の配置が繋ぎ合わされ、知覚された情報の「全体の特徴」が把握されます。そして、我々の脳がこの特徴を基に「それが何であるか」の判断を行うことを「認知」と言います。 「内耳(耳の一番奥)」で鼓膜の振動を信号に変換するのは「有毛細胞」という受容細胞です。この有毛細胞には周波数ごとの受け持ちがあり、どの細胞がどのくらい反応したかによって「音の高さと大きさ」が特定されます。 この情報は「側頭葉:一次聴覚野」に送られます。ここには「周波数局在地図」というのがあり、入力された周波数に応じた知覚処理が行われます。 例えば、局在地図で440Hzと880Hzの反応が発生したとしますならば、それ以外の音は聞こえなかったということです。 440Hzといいますのは「ラ」の音であり、これがその音の音程です。では、880Hzといいますのはオクターヴ上のラの音なのですが、440Hzを基本周波数とし、ここにこのような整数倍の周波数が混ざり合いますと、音程は同じなのですが「音質」が変わります。これにより、ここではその入力から「音程」「音量」「音質」という特徴が抽出されたことになります。そして、この知覚情報は「側頭葉:聴覚連合野」で認知されます。 では、我々が見たり聞いたりしている現象は、このような物理刺激だけで作られているわけではありません。 例えば、「物の動き」といいますのは、先に入力された情報と後に入力されたものを比較することによって判断されます。また、音の方向や距離といった三次元情報は、これは両耳の「時間差」と「強度差」によって把握されます。同様に、我々の「立体視」といいますのは、 「輻輳(両目の角度)」 「調整(眼球の焦点距離)」 「両眼視差」 などによるものであり、「網膜情報(二次元情報)」だけでは生み出すことはできません。 では、このような時間、空間に関わる情報は刺激情報とは別に「頭頂葉:体性感覚連合野」に送られます。体性感覚連合野といいますのは身体感覚を統合する連合野であり、ここには我々の体の「身体地図」というのが作られています。そして、ここに入力された情報は、この身体地図を基準とした「空間座標」に書き込まれます。これにより我々は、それが何処に見えるのか、その音が何処から聞こえるのかを知ることができます。