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ちょっと物騒な話ですが・・・ 「殺人依頼契約」について。
以下は、決していい加減な質問ではないんです。 民法の関係で、学生たちに質問されて即答できなかったので、どなたか詳しい方のアドバイスを頂ければと思いました。 要旨はこうです。 (1) 「殺人の依頼」など、「犯罪に掛かる契約」に関しては、公序良俗に反する観点からも、無効である。 (2) 賭け麻雀の負け分も、そもそもが賭博行為に当たることから、同様に支払う義務は無い。(遊ぶだけ遊んだ後の、友達関係がどうなるかは別として・・・) (3) ただし、(2)で、仮に負け分を払った場合、後から上を理由として返金を請求することは出来ない。(民法700何十条かにあるそうですが。。。) と、ここまでは良いのですが、(1)の「殺人の依頼契約」の場合、仮に500万円支払ったとして、「受けた方」が、やっぱり怖くなって殺人を行わなかったとした場合、依頼した側は、「返金請求する権利」はあるのでしょうか。。。 という質問です。 たとえ契約書の作成までしたとしても、民法上「無効」とされるでしょうから、そもそもが不埒な考えを起こした方の支払い損で、「返還請求する権利は無し」となるような気もするし、でもそれだと、いかがわしいサイトでそういう依頼を募集するだけして、お金を受け取り実行しなければ、全て丸儲けになってしまうという理屈もあるし・・・(刑事罰は別として) 現実の法解釈ではどうなるのかを、ぜひアドバイス頂きたいと思います。重ね重ね、変な質問で申し訳ありません。
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>すると、本例の場合、実行に未着手だろうと、未遂だろうと、返還請求権は無し。ということなんでしょうかねぇ。 殺人依頼契約が公序良俗違反で無効なのですから、被依頼者に殺人を行う債務もありません。債務がないのですから、被依頼者が殺人をしないのは債務不履行ではなく、従って、依頼者は債務不履行を理由に本契約を解除して被依頼者に対して500万円の返還を求めることができません。 また、本契約は無効なので、被依頼者は、法律の原因なく500万円という利得を得る一方、依頼者は、500万円を損失していますから、本来でしたら、不当利得返還請求ができるはずです。しかし、自ら不正なことをしておきながら、いざとなったら、不正を理由に法律の保護を求めるというのは正義に反します。そこで不法原因給付である場合は、不当利得返還請求することはできないことになります。 もっとも、不法な原因が受益者(本件では被依頼者)についてのみ存したときは、不当利得返還請求できますが、殺人の依頼をした依頼者の不法の方が大きいでしょうから、やはり、不当利得返還請求はできないと解されるでしょう。(法は返還の手助けしないということであって、当事者間で合意して任意で500万円の返還を受けるのはかまいません。) 民法 (公序良俗) 第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。 (履行遅滞等による解除権) 第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。 (解除の効果) 第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。 2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。 3 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 (不当利得の返還義務) 第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。 (不法原因給付) 第七百八条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
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- kybos
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当初の質問は返還請求権の話で、(刑事罰は別として)とあるんだから、 当然民事の法律関係のみだよね。 >例えば、刑事罰の訴上に乗れば、「何某かの刑罰を受けつつ、500万円は没収!」というような、「どちらも得しない」という結果にはならないのでしょうか・・・ もちろん刑事罰なら付加刑として没収はありうるけど、 それは刑事罰を受けるような罪を犯した場合に限られる。当たり前だけど。 だから、実行に着手したけど未遂に終わったというなら、殺人未遂に問われて没収もありうるだろうね。
お礼
なるほど、なるほど、返還は「あり得る」ということです。 すくなくとも可能性はあると。。。 少し分かってきました。ありがとうございました!
- kybos
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返還請求権はないよ(民法708条)。 「法は不法に手を貸さず」ってやつだ。
お礼
そうそう、708条だったですね。そこまでは存じてます。 すると、本例の場合、実行に未着手だろうと、未遂だろうと、返還請求権は無し。ということなんでしょうかねぇ。 例えば、刑事罰の訴上に乗れば、「何某かの刑罰を受けつつ、500万円は没収!」というような、「どちらも得しない」という結果にはならないのでしょうか・・・ う~ん、すっきりまではもう一声ですねえ。 ひとまずは、ご協力ありがとうございました!
お礼
>自ら不正なことをしておきながら、いざとなったら、不正を理由に法律の保護を求めるというのは正義に反します。そこで不法原因給付である場合は、不当利得返還請求することはできないことになります。 >もっとも、不法な原因が受益者(本件では被依頼者)についてのみ存したときは、不当利得返還請求できますが、殺人の依頼をした依頼者の不法の方が大きいでしょうから、やはり、不当利得返還請求はできないと解されるでしょう。 >(法は返還の手助けしないということであって、当事者間で合意して任意で500万円の返還を受けるのはかまいません。) なるほど~ かなりすっきりしました。これなら学生にも説明できそうです。 自分のことを棚に上げて、都合の良いことだけ要求は出来ないこととなりそうですね。 ご協力ありがとうございました!!