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ショットキーバリアダイオードについて
ショットキーバリアダイオードについて質問です。 一般的にSBDは ・順方向電圧が低い ・耐圧が低い ・逆電流、逆損失が大きい と聞きますが、これらの詳しい理由がわかりません。 ご存知の方がいらしたら教えてください。
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- inara1
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ショットキーダイオードでは、整流作用の元となるエネルギー障壁がPN接合ダイオードより低いので、順方向電圧が低くなり、逆方向(リーク)電流が大きくなります。 ダイオード電圧 V (V) と電流 I (A) との関係は、ショットキーダイオードでも普通のPN接合ダイオードでも同じで I = Is*{ exp(V/Vt) - 1 } --- (1) で表わされます。Vt は熱電圧と呼ばれるもので温度一定なら定数(室温で0.026Vくらい)です。Is は飽和電流と呼ばれる量で、これが逆方向リーク電流の大きさになります。なぜなら、V < 0 (逆バイアス)にしたとき、exp(V/Vt) は非常に小さくなるので、逆バイアス電圧が大きいときは I ~ -Is となるからです。ショットキーダイオードではこの Is がPN接合ダイオードよりもはるかに大きいのでリーク電流が大きくなります。一方、0 < V (順方向電圧)のときは、Is が大きいと同じ電圧で大きな電流が流れるので、順方向電圧(立上がり電圧)が小さくなります。 ショットキーダイオードで Is が大きいのは、整流作用の元となるエネルギー障壁がPN接合ダイオードより低いからですが、エネルギー障壁は参考URL3ページの右下の図(スライド番号18)で、Au N型と書かれた左側の図の ΦB のことです。ショットキーダイオードではこの高さがSiのバンドギャップエネルギー(1.1eV)より小さくなります。ΦBが小さいと、半導体側のバンドの曲がり(ビルトイン電圧qVbi)も小さくなります。半導体側のバンドの曲がりは洗面器の斜面のようなもので、これが深いほど、洗面器を大きく傾けないと中の水(電子)が外に流れ出ません。ダイオードの場合も、ビルトイン電圧 qVbi が大きいほど、順方向電圧を大きくしないと電流が流れません。ショットキーダイオードでは qVbi が小さいので、PN接合ダイオードよりも小さい順方向電圧で電流が流れます。Is の値は、4ページのスライド20の式(5.4)にあるように Is = q*K1*exp(-Vbi/Vt) で表わされます(Vt = q/kB/T = 0.026V@室温)。ショットキーダイオードで Vbi = 0.6V、PN接合ダイオードで Vbi = 0.9V として計算してみると、Is の大きさはショットキーダイオードのほうが10万倍ほど大きくなります。PN接合ダイオードのリーク電流 Is を10pAとすれば、ショットキーダイオードのIs は100nAとなります。この値を使って式(1)で立上がり電圧を計算してみると、I = 10mA とするのに必要な順方向電圧は、PN接合ダイオードでは V = 0.56V、ショットキーダイオードでは V = 0.32Vとなります。 耐圧が低いのは、リーク電流が大きいためにアバランシェ降伏が起きやすいからだと思います(自信なし)。知恵袋では回答が来ないですね。
お礼
わかりやすい回答ありがとうございました。 詳しく勉強していきたいと思います☆